工業後進・過剰生産能力淘汰企業第2次リスト発表
2014年08月29日
中国政府の過剰生産能力削減策が進んでいる。
チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えるところによると、工業・情報化省は2014 年第2次工業後進・過剰生産能力淘汰〈廃棄〉企業としてリストとして、計 10 業種、 132 社に及ぶリストを発表した。レアアース業のほか、製鋼、鉄合金、銅精錬、セメント、板ガラス、製紙、製革、プリント、鉛蓄電池の業種が含まれている。関係省(自治区、直轄市)に対し、効果的な措置を取って、今年年末までに公告リストに入っている企業の生産ラインを閉鎖し、関連の本体設備を解体し、生産の再開や他地域への移転を確実に禁止することを求めている。
リストに上ったレアアース(酸化物)企業 28 社が淘汰しなければならない生産能力は 、10 万 3,710 トン。中でも内蒙古の企業が 15 社と最も多く、関連する生産能力は6万 2,210 トンで、第2次で淘汰されるレアアース生産能力の6割を占める。
セメント業種では、16社、生産能力計 285 万トンが淘汰対象となっている。データをみると、今年上半期、全国の累計セメント生産量は前年同期比で 3.6%増加したにすぎず、伸び率は同6ポイント低下していた。だが、昨年全国で新設されたセメントの生産ラインは 72 本で、今年上半期はさらに 22 本が新設されている。
また、安徽、江蘇など7省の鉛蓄電池企業17社の計 1,536 万 7,000 キロボルトアンペア時(kVAh)の生産能力も淘汰の対象とされた。内訳は極板の生産能力が 970 万kVAh、組み立て能力が 566 万 7,000kVAhだった。
関連記事
- 2014年08月18日
- SPCデイリーチャイナ「人民日報、『新常態』を連日報道」
- 2014年05月28日
- SPCデイリーチャイナ「来年中に省エネ・環境産業 4.5 兆元規模に」
- 2012年03月01日
- 科学技術ニュース「中国の各大都市で今年からPM2.5のモニタリング開始」
- 2010年07月26日
- 科学技術ニュース「中国 立ち遅れた火力発電ユニットの閉鎖、前倒しで完了」
中国、外資全額出資の病院を認可へ
2014年08月28日
中国商務省と国家衛生計画出産委員会は27日、外資が全額出資する病院の設立を沿海部の7つの都市で試験的に認めると発表した。チャイナウォッチが北京共同電として伝えた。
全額外資の病院設置が認められるのは北京、上海、江蘇省、天津市、福建省、広東省、海南省の7つの地域。外資に市場開放することで、医療水準やサービスの向上を目指す。習近平指導部が進める経済構造改革の一環だ。
病院の設置は、新設する場合と既存の病院を買収する場合の双方を認める方針だ。「国際的に進んだ管理とサービス」や「先端的な技術と設備」を提供することが設置許可の条件となる。
中国では日本で健康診断やがんの診断を行うツアーが人気となるなど、高度医療に対するニーズはきわめて高い。日本企業にとっても商機となりそうだ。
習指導部はこれまで製造業が経済のけん引役だった経済を、サービス、金融、医療などの産業を強化することで構造改革を図る方針だ。
科学技術サービス業振興で国務院常務会議が5つの措置
2014年08月27日
イノベーションを重視する中国政府が科学技術関連サービス業の発展を後押しする5つの措置を打ち出した。
チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えるところによると、8月19日に開かれた国務院常務会議は、科学技術サービスで科学技術成果の移転・実用化、企業のイノベーション能力と競争力の向上をサポートする5つの措置を打ち出した。前日の18 日に開かれた第7回中央財経指導小組会議で、習近平総書記は重要演説を行い、イノベーションによる駆動の発展戦略をとることの重要な意義を明らかにしている。
5つの措置は次の通り。
第1は、秩序だてて市場参入を自由化し、市場メカニズムの機能を発揮させ、社会の資本による積極的な参加を誘導し、ジェネラル・パートナーシップ(合名会社)、リミテッド・パートナーシップ(合名会社で、一部に有限責任の社員がいる)の科学技術サービス企業の発展を支援する。
第2は、重点実験室、大型科学技術機器センターなど公共の技術プラットホーム建設を積極的に推し進め、一般社会にサービスを開放する。
第3は、税財政支援を強め、ハイ・ニューテク企業と認定された科学技術サービス企業には企業所得税で 15%の軽減税率を適用する。
第4は、投融資体制を改革、刷新し、多様な資金投入システムをつくり、財政資金の持つテコの作用を生かし、政府によるサービス購入、「事後補助」などの方法で公共科学技術サービスの発展を積極的に模索する。
第5は、人材の誘致と育成に力を入れ、国際的交流・協力を強める。
国務院発展研究センターの王忠宏研究員は、「中国経済の発展は投資による駆動からイノベーションによる駆動へ転換する大事な段階に入っており、科学技術サービス業の発展を加速することは、生産能力過剰など産業構造の問題を解決し、サービス業の分業を細かくし、産業の高度化を速めて経済をミドル・ハイエンド・レベルへ進めるための重要な措置になるだろう」と語った。
アジア開発銀行中国駐在員事務所のシニアエコノミスト荘健氏は「サービス業振興は産業構造調整加速の重要な現れで、中でも科学技術サービス業は、中国経済の国際的影響力の向上にとってはもっと大事だ。科学技術のイノベーションを加速するための一つの突破口は、科学技術の成果をどう生産力に転化させるかにある。今回打ち出された5つの措置は市場指向を前面に出し、市場参入の緩和を通じて、民営資本の進出を奨励し、これを投融資改革と租税優遇で補っている。また人材の育成を強調し、多くの研究開発成果が市場の需要と食い違う現状を脱するよう努力し、科学研究企業に発展のためのよりよい環境を与えている」と語っている。
関連リンク
- 科学技術発展 第十二次五ヶ年計画「11.科学技術政策の実行と制定の強化、社会全体のイノベーション」
関連記事
- 2012年11月20日
- 柯隆が読み解く「新たな時代に突入した中国政治」
- 2011年09月15日
- 科学技術ニュース「江蘇、1千億規模の科学技術サービス業を構築」
- 2011年06月21日
- 科学技術ニュース「北京の科学技術競争力、中国大陸部でトップ」
核廃棄物持ち込みに反対=中蒙共同宣言
2014年08月26日
習近平国家主席とモンゴルのエルベグドルジ大統領は21日、ウランバートルで両国の全面的戦略パートナーシップ樹立・発展に関する共同宣言に署名した。チャイナウォッチが新華社の報道として伝えた。
宣言は主権、安全保障、領土保全について次のように述べている。一方の主権、安全、領土保全を損なういかなる活動も行わず、いかなる条約にも署名せず、いかなる同盟、集団にも参加せず、そうした同盟、集団による相手方に対する活動にも参加しない。いかなる第三国、組織、団体でも自国領内で一方の主権、安全、領土保全を損なう活動を行うことを許さない。
また宣言は、モンゴルは中華人民共和国政府が全中国を代表する唯一の合法政府で、台湾、チベット、新疆にかかわる問題で中国の立場を断固支持するとあらためて表明すると述べている。
一方で宣言は、双方はいかなる形でもモンゴル領内に核廃棄物を持ち込み、貯蔵することに反対するとしている。
さらに双方はモンゴルが提案した中国、モンゴル、ロシアの3カ国が首脳会議を行い、3カ国の協議メカニズムを一段と強化し、協力を推進することを支持するという項目を宣言に盛り込んでいる。
関連記事
- 2014年08月18日
- 川島真の歴史と現在「第一次世界大戦と中国(2)中国外交の新展開」
- 2014年07月04日
- 川島真の歴史と現在「第一次世界大戦と中国(1)中国外交の新展開」
- 2012年09月11日
- SPCデイリーチャイナ「中国南車の最新客車がラインオフ 国際列車として使用」
中日経済・貿易回復には時間が
2014年08月25日
チャイナ・ウオッチが新華社の報道として伝えるところによると、中日間の経済・貿易回復にはなお時間がかかるという見方が中国で強まっている。
1年に1度開かれるアジア製造業商談会では、これまで展示会に中国で業務展開する中日両国の製造業企業が集まっている。ところが9月初めに予定されている今年は、主催者側の話によると今年の出展企業募集で、両国企業の中日経済・貿易に対する模様ながめの気分がみられるという。アジア製造業商談会を主催する工場網は中日両国製造業のB2Bビジネスプラットホーム・ウェブサイトで、20 大分類の業界に属し1万 7,000 社を超える会員企業を擁している。
ところが、工場網責任者の兪ショウ(捷のてへんをおんなへんに)氏によると、今年の出展企業は 500 社余りで、総数は過去数年並みだが、出展業者の熱意は普通で、ためらっていた企業も少なくない。「過去数回の展示会の出展募集は年央に完了していたが、今年の募集作業は8月まで終わらず、これまでよりいくらか遅くなった」という。
諸々の経済データも、中日貿易取引の低迷が続いていることを示している。投資についてみると、今年上半期、日本の対中投資の落ち込み幅は 50%に近かった。これについて中国商務省研究院国際市場研究部の白明・副主任は次のようにみている。この数年、一部の日系企業が徐々に中国から撤退しているのは、中日関係の発展が妨げられていることと関係があるが、どちらかというと中国製造業のコスト負担が増大していることによるものだ。東南アジアに移転している日本企業は、大部分が労働集約型産業である。いまや中国の製造業は急速に発展しつつある。しかも中韓自由貿易圏交渉のプロセスが速まるのに伴い、日本製造業との同型性と同質性が強い韓国の製造業が日本の同業に大幅に取って代わりうる。さらに中独経済・貿易関係の温度上昇が加わっており、中国の「日本抜き」がもたらす「痛み」は日本の「中国抜き」で生じる「痛み」より小さいかもしれない。
輸出についてみると、7月の中国の対日輸出は前月比 3.9%の上昇にとどまった。これに先立つ6月、この伸び率はマイナスで、中国の欧州連合(EU)、米国、韓国向け輸出の伸びを大きく下回った。中国にある複数の日系企業は記者の取材に応じた際、中日関係は中国ビジネスに影響を与えており、それは主に売上高の減少に現れていると語った。三菱電機自動化(中国)有限公司の大株主は三菱電機グループで、現在常熟、アモイ、大連に工場を持ち、上海法人は主に販売を担当している。同公司加工機科の郭澄若副科長は次のように語った。
三菱の中国市場進出はもともと欧米の競争相手より遅く、そのため中国での販売ルート開拓は比較的難しかった。さらに 2013 年以降、中日関係の影響を受けて、会社の業績は落ち込んだが、今年は多少好転する可能性がある。
指月電機(上海)貿易有限公司の根本佳春取締役社長は、販売ルートの開拓が難しいほか、中国本土の製品と日本企業の製品の差も縮まっており、今後の競争は激しくなるだろうと語った。
関連記事
- 2014年08月04日
- 田中修の中国経済分析「年後半の経済政策」
- 2014年05月21日
- 和中清の日中論壇「中国市場における日本企業の課題(その2)」
- 2014年 5月20日
- 和中清の日中論壇「中国市場における日本企業の課題(その1)」
- 2014年01月17日
- SPCデイリーチャイナ「日本の対中投資4.3%減 関係悪化で進出見合わせ」
- 2013年07月25日
- 第2回中国研究サロン「日中摩擦時代に備えた今後の日中ビジネス新展開」(講師:範 雲涛亜細亜大学アジア・国際経営戦略研究科教授、弁護士)リポート「中西部向け攻めのビジネス戦略を」
- 2013年01月21日
- 和中清の日中論壇「中国経済はこれからどうなるか、日本企業はいかに対応すべきか(その2)」
- 2013年01月10日
- 和中清の日中論壇「中国経済はこれからどうなるか、日本企業はいかに対応すべきか(その1)」
- 2010年12月16日
- 中国実感「21世紀の巨龍中国と、如何に向き合うか?~WTO加盟10周年を迎える日中ビジネス最前線~ 」
中国、新エネルギー車の普及加速へ
2014年08月22日
中国の中央・地方政府が新エネルギー車の普及を加速させる措置を打ち出している。
チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えるところによると、国務院の関係3省庁は、今年から20 16 年まで中央・国家機関と新エネルギー車普及対象都市の政府機関および公共機関が購入する新エネルギー車について、車両年間配備・更新全体に対する比率を 30%以上とすることを決めた。その他の政府機関および公共機関は今年の比率を10%以上とし、来年は 20%以上、16 年は 30%以上とする。いずれも2016年以降年々、この比率を引き上げるとしている。
湖南省政府は最近、都市に対し、公共交通車両や公用車など公共サービス分野で新エネルギー車を普及させるよう奨励、支援する文書を発表した。同省の長沙、株洲、湘潭の3市は普及目標を今年は 2,000 台、来年は 4,040 台と定めた。
エネルギー生産の多い山西省は新エネルギー車産業発展奨励基金を設け、また新エネルギー車について駐車料金を減免するなどの優遇策を決めた。同省は晋城市に全国最大の炭層ガス利用拠点を完成させた。同市は炭層ガス燃料車が 9,000 台を超えている。同省のエタノール車は初めて導入されてからこの 30 年余りに大幅に増え、省内のエタノール供給所が 50 カ所余り、エタノール改造車が5万台に達した。また年末にエタノール車年産能力 20 万台の生産ラインが稼働する。また同省の太原市は電気バス年産 5,000 台のプロジェクトを立ち上げ、江鈴重汽などの企業に委託し、炭層ガス燃料大型トラック2万台、ハイエンド大型トラック用エンジン8万台のプロジェクトを推進する。
中国の昨年の新エネルギー車の生産は前年比 39.7%増の1万 7,533 台、販売は 37.9%増の1万 7,642 台で、今年第1四半期は生産が 6,651 台、販売が 6,853 台に達し、共に前年を120%上回った。
中国政府が昨年採択した「省エネ・新エネルギー車産業発展計画(2012~20 年)」は 2020 年に純電気自動車とプラグインハイブリッド車の生産能力を 200 万台にし、生産と販売を 500 万台以上とすることを定めた。今年7月、国務院の関係3省庁は今年9月1日から 2017 年 12 月 31 日まで新エネルギー車の車両購入税を免除すると発表している。
関連記事
- 2013年09月16日
- 科学技術ニュース「中国、引き続き新エネルギー車の発展と普及を継続」
- 2013年02月21日
- 科学技術ニュース「中国、新エネルギー車特許出願件数で世界3位に」
- 2013年01月08日
- 科学技術ニュース「中国の新エネルギー車、約3万台に」
- 2011年08月23日
- 科学技術ニュース「中国一汽の新エネルギー車が初ラインオフ」
- 2010年12月08日
- 科学技術ニュース「新エネルギー車の販売台数伸び悩み」
中国、8月の景況指数下落=英HSBC調査
2014年08月21日
英金融大手HSBCは21日、中国の景況感を示す8月の製造業購買担当者指数(PMI)速報値を50・3と発表した。7月の確定値の51・7から下落した。景況判断の節目となる50は3カ月連続で上回った。
チャイナウオッチによると、生産や新規受注の動向を示す指数が低下。政府は景気下支え策を打ち出したが、前月と比べると製造業の勢いにやや陰りがみえる。
PMIは、企業で原材料や部品を購買する担当者を対象に今後の生産計画などを調査している。
関連記事
米で高まる中国語学習熱
2014年08月20日
チャイナ・ウオッチがニューヨーク発共同通信電として伝えるところによると、中国の経済力が伸び、国際社会での影響力増加を反映して米国で中国語を学ぶ子供たちが増えている。米中の両国政府がそれぞれの思惑で支援していることもあり、しばらく「中国語熱」が冷める気配はなさそうだ。
ニューヨークのある小学校の教室では、7~8歳の児童十数人が一斉に中国語で「ようこそ」と歓迎してくれた。壁には児童が漢字で書いた作文が張られている。教師の莫木蘭さん(39)=中国・広東省出身=が絵本「はらぺこあおむし」の中国語版を使い、中国語で「何が食べたいかな」と児童に語り掛けた。「中国語を身につければ就業機会も増える。将来、ビジネスで中国に渡る子供もいるはず」。莫さんの期待も大きい。「中国は世界のリーダー。果たしている役割を見て」とダベンポート校長。イソム副校長も「米中が地球温暖化問題などで協力するため、互いの言葉や文化を理解しなければ」と語った。
全米を網羅した政府統計はないが、全米外国語教育協会の推計によると、2000年ごろに幼稚園児から高校生で数千人程度だった中国語学習者は、05年には約2万人、08年には約6万人と急増し、その後も「増え続けているのは間違いない」(同協会の広報担当者)。
NPO「応用言語学センター」(ワシントン)は、中国政府が中国語教育機関を通じて米国の学校へ教師を派遣していることを要因の一つに挙げる。米側の協力団体は昨年、129人の中国人教師受け入れを発表した。航空券や給与の一部は中国側から支給されるという。中国政府のこうした動きをスパイ活動の一環だと警戒する見方もある。しかし同センターは「緊縮財政で語学教育の廃止を余儀なくされる学校も出る中、中国人教師の派遣は教育界にとって渡りに船」と分析する。
一方、米政府は01年の米中枢同時テロを踏まえ、ブッシュ政権下の06年に「国家安全保障言語構想」をスタートさせた。「戦略的に重要な言語」である中国語やアラビア語に堪能な人材育成が狙いで、学校教育の支援のほか、中国語の夏季講座などを提供している。
関連記事
- 2014年07月16日
- 取材リポート「中国が米国超える国になると見る人49% 米調査会社の世界世論調査で判明」
- 2014年05月09日
- 取材リポート「双方向の日本語学習支援アジアで展開」
- 2013年08月14日
- 取材リポート「中国をアジアで最重要パートナー視 外務省の米国対日世論調査で判明」
- 2013年08月27日
- 取材リポート「中国の日本語学習者増加 韓国は減少―国際交流基金調査(暫定値)で判明」
- 2013年06月04日
- 日中の教育最前線「「孔子学院発展計画」-今後の中国語・中国文化普及事業の方向性」
- 2009年06月04日
- 日中の人材・機関・連携「立命館孔子学院の紹介 」
日系の車部品メーカー12社に罰金10億元超か
2014年08月19日
日系の自動車部品メーカー12社が、中国当局から独占禁止法の疑いで調査を受けている問題で、中国メディアは罰金の総額が10億元、日本円で166億円に上るとの見通しを伝えた。チャイナウォッチが経済参考報の報道として伝えた。
国家発展改革委員会は今月6日、日系自動車部品メーカー12社に対し、独禁法による調査を行ったことを明らかにした。社名や調査内容は公表していない。
独禁法に違反した場合、前年度の売上高の1%以上10%以下の罰金が定められている。
国家発展改革委員会は最近、外資系自動車メーカーに対する調査を進めており、ドイツのフォルクスワーゲン系企業、アウディ系企業、イタリアのフィアット系、アメリカのクライスラー系など複数社が調査を受けた。
商務省の沈丹陽報道官は18日、「独禁法調査は中国企業も受けており、外国企業だけを対象にしているわけではない」と強調、外資を狙い撃ちしているとの見方を否定した。
人民日報、「新常態」を連日報道
2014年08月18日
過剰生産能力やイノベーション不足に対する中国の危機感を表す言葉として「新常態」という言葉が使われ出している。
チャイナ・ウオッチが騰訊財経などの報道を引用して伝えるところによると、中国共産党の機関紙、人民日報が連日、「新常態(ニューノーマル)」に関する報道を続けたことに注目が集まっている。今回のキャンペーンは、従来の高速成長から中高速成長へと転換して経済構造の改革を進めるとともに、過剰生産能力問題や企業のイノベーション能力不足などを解決するという現政権の方向性をあらためて強調した形と言えそうだ。
人民日報は「中国経済新常態」と銘打った特別報道として、8月4日から4日連続で1面に掲載。中国経済の動向を複数方面から解説した。過去30年以上の高速成長を振り返り、経済の基数が大きくなった現状下では今後高速成長を維持できず、維持する必要性がないことを指摘している。中国経済は既に高速成長期を脱し、7~8%の中高速成長や経済構造の改革、イノベーションを主軸とする経済成長モデル、複数のリスク対応をそれぞれ進める「新常態」という新たな段階に入っていると説明した。
さらに同紙は、2012年11月の中国共産党第18回全国代表大会(党大会)で打ち出された、20年までに国内総生産(GDP)と国民1人当たりの収入を10年の2倍にする目標について「今後は毎年、7.5%前後の成長を維持すれば十分」との見方を示した。
「新常態」は、米国の債券運用会社ピムコの元CEO(最高経営責任者)、モハメド・エラリアン氏が提唱した。08年のリーマン・ショックによる経済危機が過ぎた後にも国際経済が以前とは異なったものになったことを示すが、中国政府幹部が中国経済が直面している状況を表現するものとして頻繁に使うようになっている。国家指導部としては、習近平国家主席が今年5月の河南省での視察時に初めて新常態に言及した。
国家発展改革委員会の王一鳴秘書長は新常態下で解決すべき25重要課題として、「産業の過剰生産能力◇生産コストの急上昇」「企業のイノベーション能力不足」「財政・金融リスクの増大――の4点を指摘している。
国家種子産業科技成果財産権交易プラットフォームが正式スタート
2014年08月15日
国家種子産業科技成果財産権交易センター(国家種業科技成果産権交易中心)および交易プラットフォームが8月13日、中国農業科学院にて正式にオープンし、全国の科研部門と種子企業が近く入居し交易が始まる見込みであると、2014年8月15日付の中国科技報ネット版が伝えた。
研究成果の財産権の交易プラットフォームが設置され業界に広く認められることは、種子産業の一連の改革の重大な措置を推進することであり,我が国の種子産業の改革の過程における象徴的な意義のある出来事であると言える。その目的は、あらゆるイノベーションの成果へのオープンアプローチおよび公正な交易であり,全国、そして全産業チェーンにおいて最適な配置を実現することである。
関連リンク
- 国家政策 国民経済と社会発展 第十二次五ヵ年計画第二編 農業・農民支援と社会主義新農村建設の加速 第五章 現代農業発展の加速
林農水相香港に農水産物・食品の規制緩和要請
2014年08月13日
林芳正農林水産相は8月13日から3日間の予定で香港を訪問し、食物衛生局長官に日本からの輸入品に対する規制緩和を要請する。また、14日は、香港最大の食品見本市である「香港Food Expo 2014」の開幕式典に出席する。
香港は、日本にとって最大の農林水産物・食品輸出国・地域。農水省の「農林水産物輸出入概況2013年(平成25年)確定値」によると、2013年の香港への農林水産物・食品輸出額は1,250億円で、農林水産物・食品輸出額5,505億円の22.7%を占めた。2位の米国(819億円)、3位の台湾(735億円)、4位の中国(508億円)、5位の韓国(373億円)を引き離している。真珠、乾燥ナマコ、菓子、小麦粉などが香港への主な輸出品で、輸出額はそれぞれ世界一だ。
日本の農林水産物・食品の輸出額は、2000年ごろから増加傾向にあった。しかし、福島第一原発事故などの影響を受けて2012年は前年に比べ0.3%減った。香港も日本の一部食品について輸入停止または証明書を要求する規制措置をとっている。安倍政権は成長戦略の一環として農林水産物・食品輸出額を年1兆円に増やす目標を掲げ、具体策を盛り込んだ「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」を昨年8月に公表した。その中で水産物については2012年実績の2.1倍の3,500億円、加工食品については同じく3.8倍の5,000億円に増やす食品別の目標値を設定している。
農林水産省ウェブサイト:「農林水産物輸出入概況2013年(平成25年)確定値」
農林水産省ウェブサイト:「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」
関連記事
- 2011年04月25日
- 柯 隆が読み解く「震災で中国シフトが加速する日本企業の課題」」
食品安全確保で草案公表、意見公募開始
2014年08月11日
中国国家食品薬品監督管理総局が、危険な食品から消費者の安全を守るため、健康障害を及ぼす恐れのある食品の回収などに関する法規「管理弁法」の草案を公表し、一般からの意見公募(パブリックコメント)を開始した。9月5日まで受け付ける。
草案は、死亡または深刻な健康被害が予想される危険を知った食品メーカーに対し、「緊急回収」として24時間以内に回収計画を行政当局に届け、直ちに回収にかかることを義務づけている。行政当局は届けを受けてから24時間以内に専門家チームを組織して、回収食品の範囲などが不十分と判断されれば是正措置を業者に監督する、としている。
緊急回収に該当しない一般回収の場合は、行政当局へ届ける期限が72時間以内となっている。食品メーカーの対応能力を超える場合は、行政当局が回収を主導する。
流通業者の責任、義務も明記しており、さらにネット上の販売食品に問題が見つかった際は、通販サイトの運営業者が商品の流通を停止させる義務を負うことなども含めている。
義務を果たさなかった食品取扱者に対する、罰金、生産・業務停止、許可取り消しなどの処罰も盛り込まれている。
関連記事
- 2013年10月23日
- 中国研究サロン「中国は脅威か」(講師:天児 慧早稲田大学教授)リポート「江西省新余市に太陽光発電レストランが登場」
- 2012年05月22日
- 科学技術ニュース「中米の3機関、食品安全研究で協力強化へ」
- 2012年05月17日
- 柯 隆が読み解く「中国の食品は、いつ安全になるのか」
今年の新規太陽光発電設備目標 1,300 万KW以上
2014年08月08日
太陽光発電の新規設備を今年1,300万キロワット以上にする、と中国国家発展・改革委員会幹部が語った。
チャイナ・ウオッチが新華社=共同電として伝えるところによると、国家発展・改革委員会副主任で国家エネルギー局長の呉新雄氏は5日、分散型太陽光発電(PV)の健全な発展を一段と促し、今年の送電網接続の新規発電設備容量を 1,300 万キロワット以上にする、と語った。
浙江省嘉興で開かれた全国分散型PV現場交流会議で述べたもので、呉氏はさらに次のように指摘した。現在、分散型PVは装置の屋上設置や資金調達、送電網接続、電気料回収が難しいという現実的問題の解決が必要になっている。今後、国家エネルギー局は分散型PV市場をいっそう整備し、多様な応用市場を拡大する。各一級行政区の再生可能エネルギー割り当て政策を研究、実施し、地方政府が太陽発電を省エネ・排出削減メカニズムに組み入れることを模索する。太陽光発電所と分散型PVの補助金政策を検討、調整し、コストの引き下げと補助金の効果向上を促進する。
昨年7月発表されたPV産業の発展を促す国務院の意見(ガイドライン)23は、分散型市場を開拓し、各種電力需用家が分散型PVシステムを築くことを奨励するとしている。また新規発電設備容量を 2013 年から 15 年まで毎年 1,000 万キロワットとすることを打ち出した。
関連記事
- 2014年07月25日
- 科学技術ニュース「江西省新余市に太陽光発電レストランが登場」
- 2013年10月29日
- 科学技術ニュース「太陽光発電業界初の国家級実験室 検収に合格」
- 2012年05月15日
- 科学技術ニュース「西蔵 20メガワットの太陽光発電所が発電開始」
- 2010年01月11日
- 科学技術ニュース「山東省で第1号の太陽光発電所が運転開始」
- 2009年03月31日
- 科学技術トピック「中国の太陽光発電産業の現状およびその発展」
ブラジルのネットを中国の技術が保護
2014年08月07日
ブラジル最大のインターネットセキュリティー会社のPSafeは29日、次世代のネットセキュリティー製品を発表したが、そのコア技術は中国の奇虎360カギ有限公司が提供した。チャイナウォッチが新華社電として伝えた。
PSafeが今回発表したネットバンクのリスクに対処するPSafeの全く新しいソリューションには、パソコンのセキュリティー、ブラウザ、ウェブサイト・ナビなどが含まれており、ブラジルで急増する需要を満たすことが期待される。
PSafeのマルコ・デ・メロ最高経営責任者は、奇虎360は最大の技術提供者として、ブラジルだけでなく、ラテンアメリカ地域全体のユーザーのセキュリティーに貢献していると語った。
ブラジルでは9000万人のネットユーザーを抱える世界3番目のパソコン市場で、携帯電話市場としても世界4位である。中国技術のサポートによるPSafeのセキュリティー製品は、ブラジルのシェアの40%を占めており、メキシコ、アルゼンチンなどのラテンアメリカ諸国にも進出している。
ベンツ上海に立ち入り調査
2014年08月06日
国家発展改革委員会の独占禁止調査チームが4日、ドイツ自動車大手ダイムラーの「メルセデス・ベンツ」ブランドの上海事務所(上海市閔行区)に立ち入り調査した。
チャイナ・ウオッチが、8月5日付環球時報などの報道を基に伝えるところによると、立ち入り調査は事前の通知なく行われた。中国自動車大手の北京汽車集団との合弁、北京梅賽徳斯―奔馳銷售(北京市朝陽区、北京ベンツ販売)の幹部や販売、アフターサービスの責任者を含め多数の企業責任者から聞き取りを行い、事務所のパソコンも調べたもようだ。
中国商務省は6月から、自動車を含めた多くの業界で独占行為を厳しく取り締まる方針を明らかにした。その際、ベンツ中国法人、梅賽特斯―奔馳(中国)汽車銷售(朝陽区、ベンツ中国)のニコラス・スピークス最高経営責任者(CEO)は発改委と連絡を取り合っていることは認めたものの、独禁法関連の調査を受けていることを否定していた。
ベンツ中国は8月3日、9月から修理用部品価格を平均 15%引き下げることを決定したと発表しており、市場関係者の間ではベンツは部品値下げ措置で独禁法の調査対象にならないとみられていた。今回の立ち入り調査は、ベンツの完成車販売価格、最低転売価格の制限政策、修理部品の高価格が対象になっているとみられ、当局が独禁法取り締まりを強化する姿勢を示した形となった。
関連記事
- 2014年07月30日
- SPCデイリーチャイナ「マイクロソフトを調査」
- 2012年05月23日
- 中国の法律事情「中国独占禁止法のいろは」
- 2011年09月06日
- 柯隆が読み解く「中国自動車産業の行方」
南中国海珠江河口盆地の油田プロジェクト稼働
2014年08月05日
チャイナウオッチによると、中国海洋石油有限公司(中海油)は31日、南中国海の珠江河口盆地に位置する油田プロジェクト「番禺10―2/5/8」が稼働したと発表した。
説明によると、海域は平均水深が約100メートルで、番禺10―2、番禺10―5、番禺10―8の三つの油田からなり、近くの番禺4―2油田の関連施設を使って開発を進め、新規建設の主要生産施設は一つの油井プラットホームと9本の生産井。現在4本の生産井が稼働し、原油の日産量が約9000バレルで、来年1万3000バレルのピークに達すると予想されている。中海油の単独事業で、100%の権益を有している。
関連記事
- 2012年05月16日
- 科学技術ニュース「中国 南中国海の石油ガス資源を独自探査・開発可能に」
- 2012年05月10日
- 科学技術ニュース「「海洋石油981」が南中国海で初掘削に成功」
- 2009年10月19日
- 科学技術トピック「中国海洋における鉱物資源およびその探査・開発の展望」
632m骨格完成 中国一の超高層ビル
2014年08月04日
上海で建設が進む中国一の超高層ビルが、計画の632メートルに達した。
チャイナ・ウオッチが、北京発の共同電として伝えるところによると、中国上海市の金融地区で建設中の超高層ビル「上海センタービル」頂上部に8月3日、最後の骨組みが取り付けられ、計画通り地上632メートルの高さに達した。2015年の完成を目指している。
これまで中国で最も高いビルは、同じ金融地区に日本の森ビルが建設した「上海環球金融センター」(492メートル)。中国紙によると、中国では、広東省深圳市で16年に高さ約660メートルのビルが完成する予定だ。
(注)世界で最も高い超高層ビルは、アラブ首長国連邦のドバイに2010年完成したブルジュ・ハリファ(最上階636メートル、尖塔部分を含めると828メートル)
関連記事
- 2013年10月23日
- 科学技術ニュース「中国のミサイル技術 高層ビルの迅速な消火を実現」
- 2012年11月02日
- 日中トピック「庶民が付けたビルの『あだ名』」
- 2012年01月18日
- 科学技術ニュース「中国一の高層ビル 高さ230Mを突破」
地理情報産業発展計画発表
2014年08月01日
中国は地理情報を利用した産業を重視した産業発展計画を発表した。
チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えるところによると、「国家地理情報産業発展計画(2014~20 年)は、2020 年に地理情報産業の生産総額を8,000 億元(約1兆4,000億円)以上にし、国民経済発展の新たな成長ポイントにすることを打ち出している。
国務院弁公庁の意見に基づき、地理情報資源の合理的開発・利用を促し、地理情報産業のコア競争力を高め、産業を強大にするため、国家発展・改革委員会が国家測量・地図作成局とともに計画を発表した。「計画」は次のように提起している。
20 年までに地理情報産業の政策法規体系を基本的に確立し、構造が最適で、配置が合理的で、特色が鮮明で、秩序ある競争が行われる産業発展の枠組みを初歩的に形成する。技術革新(イノベーション)能力が著しく高く、コア・基幹技術の研究開発・応用で大きく前進し、国際競争力が比較的高いけん引企業と成長性の比較的高いイノベーション型中小企業を誕生させ、国際的影響力のある自主ブランドをつくる。産業の年平均 20%以上の成長を維持する。
「計画」は測量・地図作成リモートセンシングデータサービス、測量・地図作成地理情報装置製造、地理情報ソフトウエア、地理情報とナビゲーション・位置測定の融合サービス、地理情報応用サービス、地図出版・サービスの六つの重点分野の発展任務を提起し、政策環境の最適化、基礎条件の充実、自主革新の促進、人材養成の強化、サービス管理の強化、対外協力の展開、統計分析の七つの面の支援策を打ち出し、「計画」の任務・目標を実現するための保障措置を示した。
関連記事
- 2010年12月20日
- 科学技術ニュース「地理情報産業の成長率20%超」
- 2010年01月25日
- 科学技術ニュース「地理情報産業 規模750億元に 09年」