国有企業の1~10 月利益 6.1%増
2014年11月28日
中国の国有企業の今年1~10月の総収入は前年同期と比べ伸び率は上昇したが、コストの伸びが収入の伸びを上回った。
チャイナ・ウオッチが新華社=共同通信電として伝えるところによると、中国の国有および政府過半出資企業(以下、国有企業)の今年1~10 月の総収入は前年同期比 4.5%増の39 兆 3,171 億 5,000 万元、総コストは 4.8%増の 37 兆 9,754 億 6,000 万元だったことが、11月25日に公表された財政省の最新データで明らかになった。
1~10 月のデータから見て、国有企業の経営状況は楽観できない。総コストのうち、財務費用が依然伸び率が最も高く、18%に達し、販売、管理費用の6%と 3.3%の伸び率を大きく上回った。また、負債の伸びが資産の伸びを上回った。10 月末時点の資産総額は前年同月末比 11.9%増の 100 兆 4,111 億 7,000 万元、負債総額が 12.1%増の 65 兆5,129 億元、所有者権益(持ち分)が 11.5%増の 34 兆 8,982 億 7,000 万元だった。
財政省によると、前年同期と比べ利益総額がプラスの伸びとなった業種は鉄鋼、交通、自動車、施工・不動産、電力で、マイナスの伸びとなったのは非鉄金属、石炭、化学工業、石油・石化、郵便通信だった。
1~10 月の国有企業の経営状況について、中国企業研究院の李錦・首席研究員は次のように指摘した。現在、企業の間接コストを重点的に注視すべきだ。財務コストの急増が国有企業の赤字の最も重要な原因となっている。財務コストは主に資金調達コストの上昇で、資金調達難、調達コスト高の問題が国有企業のレベルまで広がっていることを意味し、一部生産能力過剰業種や収益が悪い企業は現在、銀行からの借り入れが難しくなっている。
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香港の大規模デモ、強硬派の拠点撤去完了
2014年11月27日
香港の裁判所執行官と警察隊は26日、デモ隊の強硬派が集まる九竜地区の繁華街旺角(モンコック)で、幹線道路「ネイザンロード」に設置されたバリケードやテントの撤去を完了し、車両の通行を復旧させた。撤去中にデモ隊が激しく抵抗し、厳戒態勢を強いていた警官隊が共青排除した。チャイナウォッチが香港発共同電として伝えた。
旺角での強制排除は2日連続。25日深夜以降、旺角で警官隊とデモ隊が断続的に衝突し、警察は148人を逮捕した。
次期行政長官選挙の民主化を求める大規模デモで、一度に100人以上の逮捕者が出たのは初めて。9月28日のデモ開始以来、最大の衝突となった。
学生団体は26日、リーダーの一人である黄之鋒氏が逮捕されたと明らかにした。
警察は数百人のデモ隊が占拠していたネイサンロードに4000人以上の警官隊を投入、執行官とともに、バリケードや鉄策を次々と撤去した。
デモ隊の中に旅行者と見られる日本人男性1人が確認された。
26日夜以降、一部のデモ隊が拠点奪還を図って、25日に続く大きな衝突が起きる懸念があり、多数の警官が周囲で警戒にあたっている。
デモ隊の占拠でマヒしていた交通の復旧がこのまま続けば、九竜地区にデモ隊の拠点がなくなり、残る拠点は金鐘(アドミラリティ)とコーズウェイベイ(銅鑼湾)の2箇所になる。
警察は26日、148人の逮捕者のうち、93人は違法集会や公務執行妨害容疑、55人は裁判所の占拠禁止命令違反の容疑で逮捕したことを明らかにした。
河北省が鉄鋼など海外移転計画
2014年11月26日
過剰生産が問題になっている鉄鋼、セメント、ガラスなどの生産能力を海外に移転する計画を中国河北省が発表した。
チャイナ・ウオッチが新華社=共同通信電として伝えるところによると、河北省の計画は、2017 年までに鉄鋼 500 万、セメント 500 万トン、ガラス 300 万重量ケース、2023 年までに鉄鋼 2,000 万トン、セメント 3,000 万トン、ガラス 1,000万重量ケースを海外移転の目標としている。
河北省は鉄鋼生産が国内最大で、年産能力が約2億トンに達し、全国の4分の1を占めている。同省冶金業協会の宋継軍副会長は、2億トンの粗鋼生産能力を 6,000万トン圧縮することが大気汚染対策の面から求められ、また河北の鉄鋼業界の構造調整とタイプ転換・高度化のためにも差し迫って必要となっていると指摘した。
このところ中国の鉄鋼市場は生産能力過剰から「冬」が続いている。河北鋼鉄集団の于勇・会長は、業界は低価格・薄利、生産能力過剰、需要不振を特徴とする新常態(ニューノーマル)に入ったとし、生産力を適正化する大変革期を迎えていると指摘した。
河北省のプランは、東南アジア、アフリカ、西アジアの国を重点とし、省内の鉄鋼企業が海外の鉱物開発と海外資源の高度加工を組み合わせ、鉱物の豊富な地域で鉱物資源を開発し、鉄鋼生産加工拠点を築き、製錬・加工産業チェーンを延ばし、鉄鋼の販売、貿易を拡大することを奨励するとしている。
河北省政府は各市、各官庁に対し、海外投資事業の許認可や届け出、企業設立、外貨、設備・製品輸出通関などの手続きを最大限簡素化し、効率を高めるよう要請し、また企業の海外投資を奨励する政策・措置を定め、特別資金を利用し、生産能力移転企業を支援するよう求めている。
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中国人民銀行、予想外の金利引き下げ
2014年11月25日
中国人民銀行は21日、金融機関の貸出・預金金利を22日から引き下げると発表した。チャイナウォッチが伝えた。
貸出金利を1年物で0.4%引き下げて5.6%に、預金金利を0.24%引き下げて2.75%とする。金利の引き下げは2012年7月以来、2年4ヶ月ぶりのことだ。
中国の国内経済は、不動産市況の悪化などにより、先行きに不透明感が強まっている。金融緩和により、企業が資金を借りやすくして景気を下支えすることが狙いだ。
人民銀行は中国経済の現状を「企業の資金調達難の問題が突出している。経済背一様にした押し圧力がある」と分析し、利下げは「安定成長にとって有意義だ」と説明した。
中国は2014年7-9月の国内総生産(GDP)が、前年同期比7.3%増となり、リーマンショックの影響により成長が落ち込んだ09年1-3月期以来、5年半ぶりの低水準を記録した。
また政府が発表する工業生産や不動産開発の指標は軒並み悪化、英金融大手HSBCが20日に発表した景況感を示す11月の製造業購買担当者指数は50.0と半年振りの低水準となった。
中国は中小企業の資金調達を助けるため、一部で金融緩和を行ってきたが、効果が限定的だったため、主要な金利の引き下げに踏み切ったものと見られる。
日本の1~10月対中投資42.9%減
2014年11月21日
今年1~10月の中国への日本の投資額が前年同期比で42.9%の減少となった。
チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えるところによると、中国商務省は11月18日、日本から中国への1~10月の直接投資実行額が前年同期比42.9減の36億9,000万ドル(約4,300億円)だったと発表した。欧米からの投資も減少した。人件費の高騰などを背景に、企業が中国への投資に慎重になっている。
米国から中国への投資は23.8%減、欧州からも16.2%減、東南アジア諸国連合(ASEAN)からも15.2%減と、軒並み落ち込んだ。世界全体から中国への投資も、1.2%減だった。
記者会見した商務省幹部は「生産能力の過剰などで、製造業を中心に投資が減っている」と説明した。鉄鋼や家電の生産がだぶついており、新たに工場を建てようという外資系企業が減っているようだ。
中国は経済成長に伴って工場労働者などの賃金が上昇しており、1年間に1~2割の賃上げも珍しくない。都市部では事務所や店舗の賃料も高騰し、進出企業の収益を圧迫している。日本の場合、日中関係が悪化したことも投資減につながった。ただ11月10日に日中首脳会談が実現するなど関係改善への動きもあり、環境の好転を期待する声も出ている。
直接投資実行額は、企業が現地に工場や法人を設立したり、現地企業に出資したりする際の投資額を示す。
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日中の医師が中国人の心臓病患者16人を共同で治療
2014年11月20日
遼寧省兵山県の農民、佟長新さん(41)は17日、心臓血管カテーテル手術が成功し、執刀医の日本人医師村松俊哉医師と中国の欒波医師の手を握り、涙を流しながら感謝の言葉を述べた。村松医師らは16人の心臓病患者を治療していずれも成功した。チャイナ・ウォッチが伝えた。
村松医師は日本の著名な冠状動脈カテーテル治療の専門医で、神奈川県横浜市の東部病院に勤務している。遼寧省人民病院の心臓血管内科主任の欒医師の招請を受け、中国で患者の手術を行った。佟さんを含めて患者16人が手術を受けた。いずれも冠状動脈の慢性完全閉塞病変で、様々な症状が見られた。
医師らによると、16人の患者はいずれも長期間患っており、冠状動脈の硬化がひどく、血流が悪く、手術は困難だった。
村松、欒両医師は重さ15キロの鉛の入った手術服を着て、のべ21時間にわたって、16人の手術を行った。
欒医師は、「中国は冠状動脈慢性閉塞病変の取り組みのスタートが遅く、手術の成功率が低い。日本はこの分野でリードしている。両国の医師が協力して、診察と治療をすることで、中国の医学はレベルを上げることができる」と語っている。
一方村松医師は、「医師に国境はない。0.1%の希望を100%の成功につなげ、患者の健康を回復しなければならない」と語った。
米国への留学生中国がトップ
2014年11月19日
米国の非営利機関「米国際教育協会(IIE)」が11月17日に発表した留学生数に関する報告書によると、2013~14の学年度に米国に留学した大学生、大学院生が最も多かったのは中国で、27万4,439人で全体の31%を占めた。前年度に比べ16.5%増えている。
中国に次いで多いのはインドの10万2,673人で全体の11.6%。3位以下は韓国6万8,047人(7.7%)、サウジアラビア5万3,919人(6.1%)、カナダ2万8,304人(3.2%)となっている。
日本は、1万9,334人(2.4%)で台湾の下の7位で、前年に比べて234人、2.7%減った。
IIEは2000年から毎年、この報告書を公表している。この15年で米国への留学生は72%増えた。中国からの留学生は15年間で5倍増となっている。
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今後20年の中国の旅客機新規需要5500機
2014年11月18日
中国航空工業集団が珠海の国際航空宇宙ショーで、今後20年間の中国の民用旅客機の新規需要は5483機、そのうち大型ジェット旅客機が 4491 機、小型旅客機が 992 機となるとの予測を発表した。チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えた。
これまでの20年間、中国の航空運輸業は年平均13.2%の急速な成長を維持してきた。今後の中国の航空運輸業の発展環境の分析に基づくと、今後 20 年間の中国の航空輸送市場は引き続き比較的速い発展スピードを維持し、旅客輸送量の年平均の伸びは 7.6%、貨物輸送量の伸びは9.4%と予測される。推計では、2033 年末までに中国の民用航空機の規模は2013年の3.2倍の6785機に達する。内訳は旅客機が6098機、貨物機が687機だ。
長期的にみると、中国経済の持続的成長、都市化の進展の加速、個人消費の高度化などの要素が航空輸送業の持続的発展にプラスとなる。だがパイロットの不足、空港と航路の混雑、高速鉄道との競争などの要素が、今後一定期間は中国の航空輸送業の発展にマイナスの影響をもたらす。
統計によると、2013年の中国の民用航空の旅客輸送量は前年に比べ12.6%増加し5659億人キロ、貨物輸送量は前に比べ3.9%増加の170億トンキロで、総輸送量は世界第2位である。中国の民用航空機の規模は増大を続け、2013年末には旅客機2048機、貨物機97機の合計 2145 機に達した。
過去2年間で、中国の航空市場は低コスト化と民営化の新たな波を迎えた。民営の航空持ち株会社が徐々に市場に参入し、市場発展の新興勢力となった。旅客のニーズの多様化が国内の格安航空会社(LCC)の発展を促し、大型航空会社も低コストの運営モデルを模索し始めた。また、中国の航空速達業務と国境を越えた電子商取引の急速な発展が、航空貨物の新たな競争を引き起こしている。
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習主席統計の透明性確保を表明
2014年11月17日
中国の習近平国家主席が11月16日閉幕した20カ国・地域(G20)首脳会合で、中国の統計の透明化を図る意思を表明した。
チャイナ・ウオッチがブリスベン発共同通信電として伝えるところによると、習主席は経済統計を国際通貨基金(IMF)の「特別データ公表基準」に沿って公表する予定だと明らかにした。水増しが指摘される中国の統計の透明性を確保する狙い。
同基準は日米欧などが既に採用している。国内総生産(GDP)や貿易、金融関連の統計の素早い公表のほか、計算方法を明らかにすることが求められる。
新華社は「統計の国際比較が容易になり、経済のさらなる対外開放の基礎となる」と解説した。
朴大統領日中韓首脳会談を提案
2014年11月14日
韓国の朴槿恵大統領は11月13日、日中韓3カ国の首脳会談の開催を提案、近い将来の開催が現実味を帯びてきた。
チャイナ・ウオッチがソウル、ネピドー発共同通信電として伝えるところによると、朴大統領は、13日ミャンマーの首都ネピドーで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)の首脳会議で、日中韓3カ国の首脳会談の開催を「希望する」と述べ、開催を提案した。韓国大統領府が明らかにした。
これに先立ち、韓国外務省報道官は同日、韓国は日中韓首脳会談の開催に歴史問題などの条件は付けていないと表明した。
安倍晋三首相もASEANプラス3の場で「日中韓外相会議を早期に開き、首脳会談の開催につなげていきたい」と述べた。3カ国首脳会談は2012年12月の第2次安倍政権発足後は開かれていない。
朴氏は9月にソウルで3カ国が外務次官級協議を開いたことを挙げ、「これに続き遠くない将来に外相会談が開かれ、これを土台に首脳会談が開かれることを希望する」と述べた。日中韓は年内にソウルで外相会談を開くことで基本合意している。
外務省報道官は、韓国側が日韓首脳会談開催の条件として挙げている旧日本軍の従軍慰安婦問題での対応を日本が取らなくても、中国を交えた3カ国首脳会談は開催可能だと言明した。
韓国は、安倍首相が慰安婦問題で対応を変えないため、対日関係改善の糸口がつかめずにいる。安倍氏と中国の習近平国家主席が10日に北京で会談したことで、朴政権の外交政策が硬直しているとの批判が国内で噴出していた。
日中韓首脳会談は、各国間の懸案ではなく、3カ国の協力を協議する場と位置付けられているため、これを入り口に日韓関係の改善を模索するとみられる。
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米中首脳会談、温室効果ガスの削減目標や軍事活動連絡体制で合意
2014年11月13日
中国を訪問中のオバマ米大統領は12日午前、北京で習近平国家主席と2日目の会談を行った。オバマ氏は会談後、米国の温室効果ガス排出量を2025年までに、2005年に比べて26-28%削減する新目標を発表、習氏も2030年頃をピークに、二酸化炭素排出量を減少させる目標を表明した。チャイナ・ウォッチが共同電として伝えた。
世界の温室効果ガスの3分の1を占める二大排出国が、揃って前向きな目標を示したことで、来年パリで開かれる気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が目指す、温暖化対策の新枠組み合意に弾みがつきそうだ。また両国は軍事衝突を回避する目的で、軍事演習の実施など、主要な軍事活動について、相互の連絡システムを構築することで合意した。
気候変動に関し、米国が20年以降の削減目標を示したのは初めてで、中国が二酸化炭素排出のピーク年を明らかにしたのも初めてだ。目標を示していない日本政府は、早急な対応を迫られる。
米国は20年に17%削減の目標を掲げているが、火力発電所の二酸化炭素排出規制などで、さらに削減が可能と判断した。
一方中国は、30年ごろまでに、全エネルギーに占める原子力や風力、太陽光発電など、非化石燃料の比率を20%にする目標を立てているが、深刻化する大気汚染を減らす狙いもある。
また米中両国は、偶発的な軍事衝突を回避するための相互連絡システムの構築で合意した。
オバマ氏は沖縄県・尖閣諸島問題をめぐる緊張緩和に向け、日中首脳会談を歓迎すると評価し、関係改善を促した。
米中首脳会談は2日間にわたり延べ10時間に及んだ。
FTAAP実現に向け工程表承認 APEC閉幕
2014年11月12日
中国・北京で開催していたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は11月11日、域内全域を包括するアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想の実現に向けた「工程表」を承認し「可能な限り早期」の実現を目指すとした宣言を採択し閉幕した。
チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えるところによると、APEC首脳らはFTAAP実現への課題を探るため、2年間をめどに「共同戦略研究」を実施することでも合意した。中国は構想の実現目標期限を「2025年」と設定するよう提案したが、TPP交渉の機運が阻まれることを懸念した日米やカナダが抵抗し、宣言には盛り込まれなかった。
安倍晋三首相は閉幕後の記者会見で「環太平洋連携協定(TPP)の先には、より大きなマーケットをつくり上げるFTAAPの実現が視野に入ってきた」と地域経済統合への取り組みが進んでいるとの見方を示した。議長国・中国の習近平国家主席も工程表の承認を「アジア太平洋経済の成長に新たな活力を注ぐものだ」と歓迎した。
ただ安倍首相は「TPP交渉はいよいよ出口が見えてきた」とも強調し、FTAAPの実現に先駆け、TPP妥結を優先する考えを示した。TPP交渉はAPEC参加の21カ国・地域のうち日米など12カ国が進めている。中国は参加していない。
会議では、日本が唱えてきた「コストより質」に基づくインフラ開発の重要性も共有した。安倍政権が推進する女性の積極的な経済参画に関しても、女性に平等な機会を確保する具体策を進めていくことを確認した。
宣言は、新たな保護貿易主義的な政策導入を抑える期限を18年末へと、2年間延長することを確認した。世界貿易機関(WTO)交渉での貿易円滑化措置の実現が難航していることを懸念し、APECが「創造的な指導力」を発揮するべきだとした。
習政権提唱の国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」を評価する内容は盛り込まれなかった。首脳らはAPEC初開催から25年の記念声明も採択し「次の25年も努力を続ける」と宣言した。15年のAPEC首脳会議はフィリピンが主催する。
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尖閣の危機回避一致=戦略的互恵関係を確認 首相「村山談話継承」 日中首脳会談
2014年11月11日
安倍晋三首相と中国の習近平国家主席は10日昼(日本時間午後)、北京で会談を行い、関係改善に向けて戦略的互恵関係を発展させる必要性を確認したとチャイナウオッチが伝えた。日中の両首脳による会談が実現したのは、2011年12月以来約3年ぶり。
沖縄県・尖閣諸島周辺での不測の事態を回避するため、危機管理の枠組み「海上連絡メカニズム」の運用に関する協議を進める方針でも一致した。
習氏は「歴史の直視」を求め、これに対し首相は「安倍内閣は歴代内閣の歴史認識を引き継いでいる」として、過去の植民地支配と侵略を認めた1995年の村山富市首相談話を継承する考えを示した。
首相は会談後「日中両国の戦略的互恵関係の原点に立ち戻っての関係改善の第一歩となった」と記者団に意義を強調した。習氏も会談で「今後も徐々に関係改善の努力をしたい」と語った。
会談は約25分間。両首脳は、首相の靖国神社参拝や、尖閣をめぐる対立については直接的な言及を避けた。会談が日中関係修復と対話促進につながるかが今後の焦点になる。
会談では(1)東アジアの安定化に向けた協力(2)国民の相互理解推進(3)経済関係の深化(4)東シナ海での危機管理対応-で合意した。
習氏はまた安倍政権による集団的自衛権の行使容認などを念頭に「慎重な安保政策」も求めた。首相は「世界の平和と安定に貢献する」として、自身が掲げる「積極的平和主義」に理解を求めた。
首相は、対北朝鮮外交や感染が拡大するエボラ出血熱への対応で、連携の必要性を訴えた。
両首脳は会談を前に握手を交わした。日中両政府は会談を見据え、双方が尖閣をめぐり「近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有する」などとする合意文書を7日に作成した。
解説
2012年の野田政権による尖閣国有化以降、最悪となった日中関係は、今回の首脳会談で、ようやく関係改善への一歩を踏み出した。しかし歴史認識問題を含め、日中間の溝は深く、両国が本格的な関係改善に向かうかどうかは、まだ見通せない。
首脳会談がわずか25分だったことや、習主席が握手の際に一時も和らいだ表情を見せず言葉も交わさなかったことから、内外に「冷たい関係」との印象を与えた。
しかし世界第2位と第3位の経済大国である日本と中国が、「政冷経冷」の関係を放置しておいて良いはずがない。
国際社会にとっても懸念材料である沖縄県・尖閣諸島をめぐり、防衛当局間のホットライン「海上連絡メカニズム」の運用を早期に開始することで合意したことは、不測の事態を避けるための最低限の合意である。
また会談に先立って交わされた合意文書で、東シナ海での緊張状態について、「異なる見解を有する」と認めたことは、尖閣諸島の領有権問題が、依然「戦略的互恵関係に立ち戻る」上での、大きな障害であることを内外に示した。
一方、歴史認識問題については、「13億人の中国人の感情に関わる」と述べた習主席に対して、安倍首相が「平和国家への歩みを堅持する」と述べ、歴代内閣の歴史認識を引き継ぐことを表明した。
2012年の尖閣国有化以降、日中間の経済活動や民間交流は大きな影響を受けた。日本から中国への直接投資は激減し、民間交流はキャンセルが相次いだ。
対立が何も生まないことは、この2年間の日中関係が如実に物語っている。
日中が「戦略的互恵関係」を確実なものとするには、両国首脳の更なる信頼の構築が不可欠である。それが良識ある両国民の願いでもある。
(Science Portal China編集部)
中ロがガス供給拡大の覚書
2014年11月10日
ロシアと中国が、ロシア産天然ガスの中国への供給拡大に関する覚書に署名した。
チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えるところによると、11月9日北京でロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席の同席の下、ガスプロムと中国石油天然ガス集団(CNPC)が署名した。
西シベリアを経由して中国にガスを供給する内容で、ロシア政府系ガスプロムのミレル社長は「年間300億立方メートル、30年間にわたる契約になる」と述べた。
両国は今年5月、年間380億立方メートルを30年間供給することで合意している。ミレル氏は、これと合わせると将来的に「中国への供給が欧州への供給を超える可能性がある」と強調した。
ロシアのペスコフ大統領報道官によると、プーチン氏は9日、習氏との会談で、中国の通貨、人民元建てによる国防分野を含む貿易の可能性について協議した。報道官は人民元の地域の準備通貨としての価値を強めることにつながると述べた。米ドル依存を低下させる狙いがあるとみられる。
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シルクロード基金設立へ
2014年11月07日
チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えるところによると、中国の習近平国家主席は共産党の会議で、周辺国などでインフラ投資を進めるための「シルクロード基金」を設立すると表明した
中国が主導して設立する「アジアインフラ投資銀行」と並ぶ取り組みに位置づけ、インフラ投資を通じて、周辺国に対する中国の影響力を強めるのが狙いとみられる。
9月25日に科学技術振興機構中国総合研究交流センター主催の研究会で講演した青山 瑠妙早稲田大学教授によると、習政権の目玉戦略として打ち出されているのが「新シルクロード戦略」。中国が他国を支援する中で、中国を中心とした協力関係を築き上げることを狙っている。ロシア、中央アジア、ヨーロッパ、アラブ諸国、北アフリカをにらんだ「シルクロード経済ベルト」に加え、南アジアを通って海に出る「「海上シルクロード」、さらにミャンマー、バングラディシュ、インドを結ぶ「BCIM 経済回廊」、インドとの経済協力を目指す「ヒマラヤ経済成長区域」などをひっくるめた戦略という。
習主席は昨年10月、東南アジアを歴訪した際に、インフラ整備に必要なアジア各国の資金ニーズに応える「アジアインフラ投資銀行」の設立を表明した。日本や米国は、同銀行がアジア開発銀行に対抗するとの警戒心から、不参加の意向を示している。
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中国がAPEC会場でのネット規制を緩和
2014年11月06日
中国は5日までに、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の関連会場で、厳しくアクセスを制限している「ツィッター」や「フェイスブック」などを、閲覧できる措置を取った。チャイナ・ウォッチが北京発共同電として伝えた。
中国は政府に批判的な情報へのアクセスを防ぐため、「グレート・ファイアーウォール(ネット版万里の長城)」と呼ばれる検閲システムを構築し、ソーシャルメディアや検索エンジンの利用を厳しく制限している。
APECでは世界各国から多数のメディアが取材に訪れることから、メディアの批判をかわすため、一部ソーシャルメディアの規制を緩和したものと見られる。
チャイナ・ウォッチによると短文投稿サイトの「ツィッター」と「フェイスブック」などの閲覧が可能になったとの事だが、「グーグル」や「ライン」など、他のサービスが利用できるようになったかどうかは不明である。
中国は「アラブの春」などで、ソーシャルメディアが大きな役割を果たしたことを警戒しており、通常は中国の人権問題や少数民族問題を扱ったサイトなどを閲覧することができない。
5年間で234兆円 森林の価値中国が初公表
2014年11月05日
中国の森林がもたらした恩恵は、この5年間で昨年の国内総生産(GDP)の約22%に相当することが分かった。
チャイナ・ウオッチが北京発の共同通信電として伝えるところによると、中国内の森林が2009~13年にもたらした水資源の保全などの恩恵は、金額で表すと年平均12兆6,800億元(約234兆円)に上ったとの報告書を、国家林業局と国家統計局がまとめ公表した。13年の国内総生産(GDP)56兆8,845億元の約22%に相当する。
中国メディアによると、同国が森林の経済価値を公表したのは初めて。中国では環境保護より経済発展を優先させた結果、森林破壊が深刻化している。政府は乱開発など生態系を軽視した発展に対して「大自然が赤信号をともしている」(李克強首相)との危機感を強めており、試算公表により森林の価値を再認識させ、環境に配慮した企業活動や行動を促す狙いがある。
国家林業局などは「生態系サービス」と呼ばれる水資源や土壌、生物多様性の保全、二酸化炭素(CO2)の吸収、大気浄化など、人類が生態系から受ける恩恵を分かりやすいように金額で表現した。
サービスがもたらした森林の価値は、13年の国内林業の生産総額を2.68倍上回り、1人当たり毎年9,400元(約17万4,000円)相当の恩恵を受けた計算になるという。
報告書はまた、調査対象期間の末期の時点で、全国の森林地帯の資産総額は21兆2,900億元になると試算した。
有力経済紙、21世紀経済報道によると、報告書をまとめた国家林業局の幹部は「森林の生態システムの機能は軽視されがちだ。試算を出すことにより、経済、社会、文化などさまざまな面の機能を伝えることができる」と強調した。
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中国と米国の大学が、クラウドロボットの実験に成功
2014年11月04日
中国科学技術大学ロボット実験室はこのほど、米カーネギーメロン大学ロボット実験室と共同で、初めてクラウドロボットの実験に成功した。チャイナウォッチが新華社・共同電として伝えた。
中国・合肥にある科技大の「可佳(KeJia)」ロボットとペンシルバニア州ピッツバーグにあるカーネギーメロン大学の「可宝(CoBot)」ロボットは、クラウドプラットフォームを使って、遠 隔協調作業と資源共有のテストを実施した。
クラウドプラットフォームは双方のロボットに、多様な知識とデータのソースを提供、「可佳」は「可宝」に言語理解と自動計画サービスを伝送し、「可宝」は「可佳」にビッグデータの分析サービスを伝送した。
これらの知識の共有と遠隔強調作業によって、それぞれ単独ではできなかった任務を完了した。
科技大人工知能センターロボット実験室主任の陳小平教授は「世界各地にあるロボットは、ハードと基本ソフトが異なり、持っている能力と知識がそれぞれ違う」と述べた上で、もし異なるロボットを、ク ラウドプラットフォームでつなぎ、他のロボットから知識やデータが得られれば、ロボット同士や人とロボットの強調作業を実現でき、ロボットの能力を拡大するとともに、開発コストを抑えることができると話している。
中国と米国のチームは2010年以降、それぞれ基礎的な研究を展開した。科技大は知識の獲得、自動推理、人とロボットの言語理解などに重点を置き、研究を外部に開放した。米側はビッグデータの分析、人 とロボットの強調などの研究を行った。
米側の責任者であるカーネギーメロン大学のベローゾ教授は「成果を世界各地のほかのスマートロボットに広げたい」と語っている。