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サービスロボット市場拡大の期待

2015年01月30日

 高齢化の加速で中国のサービスロボット市場の拡大に期待が高まっている。

 チャイナ・ウオッチが北京発新華社=共同通信電として伝えるところによると、中投顧問の郭凡礼研究総監(研究最高責任者)は、国内人件費の上昇によるサービス業に対する影響も大きくなり、サービスロボットの市場が徐々に開拓されつつある、と語っている。郭氏によると、2012 年から 17 年にかけて、世界のサービスロボット市場の年平均成長率は 17%を超え、17 年には市場規模が 500 億ドル近くになる見通しだ。これに比べ、世界の産業用ロボットは 13 年から16 年までの市場の年平均成長率6%。サービスロボットの伸びが著しく、各資本が注目する理由が分かる。

 民政省の竇玉沛次官は昨年初め、中国の60 歳以上の高齢者数がすでに2億人を超えており、総人口の 14.9%を占めていることを明らかにしていた。ある学者は、中国の高齢者数は20年には2億4,300万人に達し、総人口の17.2% を超えると見込んでいる。高齢化の加速に青年・中年人口の増加率低下が加わり、サービスロボット、特に介護ロボット、家事ロボットなどの市場開拓をもたらした。

 重慶市ロボット・スマート装置産業発展連盟の王瑞・秘書長(事務長)の説明によれば、現在家事補助ロボットは毎年 10%の伸び率でわれわれの 生活に進出しており、少なめに見積もってもその市場は 1,000 億元を超える。国内ロボット企業、優必選公司(UBTECH)の肖満意副総経理(副社長)は、ロボットは現在、モノのインターネット(IoT)の「最もよい媒体」で、ユーザーはロボットに声で命令し、エアコンをつける、ご飯を炊く、洗濯をするなどの生活サービスを実現することができる、と語っている。

 国家物聯網(IoT)協会会長、北京科技大学電子情報学科主任の王志良氏も「今後IoTとロボット、自動車、介護など各業界が結びついて、山ほどの旧産業が消え、山ほどの新産業が台頭するが、家庭用ロボットはこの新興産業の典型的な代表だ」と予測している。

 ロボット製品の鍵となる部品は、サーボシステムと減速機で、両者のコストは完成機の ほぼ半分を占める。高工ロボット産業研究所のあるデータによれば、日本の2社だけで世界の減速機シェアの 75%を占めるなど、これら2つのコア部品の多くは国外の企業が独占している。上海のある有名な証券会社のアナリストは「コア部品国産化の動きはますます速くなっている。特に市場が初級段階にあるサービスロボット分野では、国内企業と他国企業の差は大きくはないことから、将来海外の同種製品を抜くのも不可能ではない」と語っている。

 

中国の航空会社による外国人旅客輸送数が初めて3000万人を突破

2015年01月29日

 中国の航空会社が昨年輸送した外国人旅行客が、昨年より18%増加して初めて3000万人を突破した。チャイナ・ウォッチが北京発新華社・共同電として伝えた。

 中国民航局の王志清副局長は新華社の取材に応じ、次のように語った。昨年は中・欧路線、中国・オーストラリア路線、中・韓路線の輸送人員が2ケタの伸びを保った。これは中国の航空会社がボーイング747-8、ボーイング777-300ER、エアバスA380などの大型旅客機を中国と米国を結ぶ路線に投入したからで、中・米路線では中国人旅行客が占める割合が初めて55%を上回った。

 国際航空運送協会の予想によると、中国の国内航空路では今年、輸送人員が前年と比べて10.8%増える見込みだ。中・米市場は8-10%の伸びを保ち、中・欧市場は7-9%、アジア太平洋市場は2-4%の伸びを記録すると見られており、中・韓市場は好ましい増加傾向を維持する。

 中国国際航空、東方航空、南方航空は、今年もワイドボディー機の投入を増やし、多くの航空会社が国際便の運行を増やし、国内外の格安航空会社が競争に参加し、航空会社の協力が穏やかな同盟協力から、より緊密な共同経営方式に移行する。

 人民元高、ビザ発給政策の緩和、所得増などにより、個人観光客や自由な観光を楽しむ旅行客が増え、中国の民間航空市場の急速な発展を促すものと見られている。

 

中国初の前立腺がんデータベース

2015年01月28日

 前立腺がん患者が急増している中国に初めての前立腺がんデータベースがつくられた。

 チャイナ・ウオッチが新華社=共同通信電として伝えるところによると、非営利のデータベースをオープンしたのは浙江省腫瘤病院で、呉階平医学基金会が構築した。中国の前立腺がん患者の診断、治療、訪問観察データを収集、管理する。がんの発生、進行の法則性を明らかにすることで、治療効果を高めるとともに、臨床診療規範化の拠り所を与えると期待されている。これまでに浙江省腫瘍病院を含む全国13 カ所の指定病院のデータベースからデータを取り込んだ。

 高齢化の加速と生活様式の変化により、この 20 年で中国の前立腺がん罹患率は10 倍余りに高まった。すでに男性の悪性腫瘍の6位に入っており、泌尿器系の中で罹患率が最も高い腫瘍となっている。中国抗がん協会泌尿器男性生殖系腫瘍専門委員会のデータによると、昨年時点で、年間の新たな前立腺がん発症者数は330万にも達している。専門家は、高齢化の加速と前立腺がん検査手段の普及により、中国の前立腺がんの発症例はまだ急増するだろうと話した。

 

シンクタンクを50―100設立へ=ソフトパワー向上図る

2015年01月27日

 中国共産党中央弁公庁と国務院弁公庁は、中国の特色ある新しいタイプのシンクタンク整備強化に関する意見(ガイドライン)を発表した。チャイナウオッチが新華社電として伝えた。

 「意見」は国が必要とし、特色が鮮明で、制度が新しく、発展をリードする専門的なハイレベルのシンクタンクを今後50-100カ所重点的に設立し、国のソフトパワーを高めるとしている。「意見」は、中央党学校、中国科学院、中国社会科学院、中国工程院国務院発展研究センター、国家行政学院、中国科学技術協会、中央の重要なニュースメディア、一部の大学、研究所、軍の重点教育科学機関および条件のある地方がハイレベルのシンクタンクづくりを先行するのを支持すると述べている。

 また「意見」は2020年までに位置づけと特色が鮮明で、規模が適切で、配置が合理的な中国の特色ある新しいタイプのシンクタンク体系を築くことを打ち出している。「意見」によると、これらシンクタンクは戦略問題と公共政策を主要な研究対象とし、党と政府の科学的、民主的、法に基づく政策決定に寄与することを目的とする非営利の研究諮問機関となる。

 

北京市大気汚染対策に年間2千億円投入へ

2015年01月26日

 微小粒子状物質「PM2.5」などによる大気汚染が深刻な北京市が、今年大気汚染対策のため、計108億5,000万元(約2,063億円)を投入することを明らかにした。

 チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えるところによると、王安順北京市長が1月23日、北京市人民代表大会(議会)で表明した。

 北京市では昨年、PM2.5の年平均濃度が前年比 4%しか下がらず、目標としていた約5%減を達成できなかった。 同市は、今年も年平均濃度を前年比約5%下げることを目標に設定しており、石炭の使用量を減らすほか、新たに粉じんを排出する工事を対象に「粉じん排出費」を徴収する方針だという。

 

北京市民の環境対策支出に月120元

2015年01月23日

 PM2.5など環境汚染対策のため北京市民は、毎月平均約 120 元(約 2,300 円)使っていることが分かった。

 チャイナ・ウオッチが1月21日付京華時報を引用して伝えるところによると、北京市社会心理工作連合会などが発表したリポートは、健康被害を防ぐための製品を購入した北京市民が 73.5%に上ることを示した。大気汚染と水汚染に関係する支出が最も多く、家庭用浄水器は 44.5%、微小粒子状物質「PM2.5」対策マスクは 42.3%、空気清浄機は 31.6%の市民が購入している。一方、いずれの対策も取っていない人も 26.5%に上った。支出額は月平均 119.5 元で、300 元以下が過半数の 53%を占めた。300元以上は 7.0%、ゼロの人は 12.5%だった。未回答は 27.4%だった。

 北京の環境問題を「非常に深刻」または「比較的深刻」と回答した人は合計で 86.9%に上った。「普通」と答えたのは 11.0%、「そんなに深刻ではない」または「深刻ではない」を選んだ人は合計で 2.1%にとどまり、市民が環境問題に強い危機感を抱いていることが明らかになった。

 健康を損なう恐れが強いと認識している人の割合が多い環境問題は、主に◇大気汚染:92.2%◇飲用水汚染:56.6%◇生活ごみの処理:47.2%◇騒音:41.6%◇建築材料の汚染:32.7%◇土壌の重金属汚染:19.7%――の6つだった。

 調査は、北京市で近年、深刻な大気汚染が発生しているのを受け、市民の環境問題への意識や行動を把握するのを狙いに実施された。社区(居住区)住民2,796 人から回答を得た。

 

中国関係団体データベースが始動

2015年01月23日

 独立行政法人科学技術振興機構中国総合研究交流センターは21日、中国関係団体データベースをオープンさせた。

 中国関係団体データベースは、主に中国に関する研究や日中間の交流活動を事業としている日本国内のシンクタンク、研究機関、友好団体などの情報を集約し公開。またキーワードによる団体検索も可能となっている。

 さらに各団体が開催するシンポジウム、講演会などの情報を一括して閲覧することが可能となり、イベントカレンダーも備えているため各イベントのスケジュールについても一目瞭然となる。

 このデータベースが中国に関する団体情報の総合的なプラットフォームとなり、中国に興味、関心のある諸氏に各団体の活動などの情報が広く知れ渡り、また団体同士の交流もより活発になることが期待できる。

中国関係団体データベース:https://spc.jst.go.jp/cdb/pages/home

独立行政法人科学技術振興機構中国総合研究交流センター
E-mail: crc mail
TEL:03-5214-7556

 

四川・雲南国家地震予報実験場の建設がスタート

2015年01月22日

 地震の予測・予報は世界の科学的な難題である。中国は地震の予測・予報に対する探究の度合いを強めるため、2014年に川滇(四川・雲南)国家地震予報実験場の建設をスタートさせた。チャイナ・ウオッチが北京発新華社電として伝えた。

 これは19日に開かれた全国地震局長会議で明らかにされた。中国地震局の陳建民局長は次のように表明した。四川・雲南国家地震予報実験場を実験性、実践性、開放性を備えた地震予報の科学実験プラットホームに築き上げ、中国の地震予測・予報の科学研究水準及び減災に役立てる貢献の度合いを高めなければならない。

 「強震の成長と発生は非常に複雑なプロセスであり、学際的な総合観測・研究を通じ、地震の成長と発生における物理的環境と断裂の仕組みを深く認識しなければならず、そうして初めて地震予報に本質的なブレークスルーを生じさせることができる」、中国地震局地震予測研究所の張暁東副所長はこう述べた。

 専門家は次のように表明した。四川・雲南地域は地震活動の頻度が高く、強度が大きく、構造が非常に複雑で、長期にわたる地震モニタリングの基礎を備えており、理想的な地震予報実験場である。

 説明によれば、科学者は四川・雲南国家地震予報実験場で四川・雲南地域の活断層と地殻の詳細な構造について探査を行い、地下の詳細な3次元構造を得る予定である。地震活動、地形の変化及びその他地球の物理場、化学場に対する観測を通じ、地下の動的変化に関する情報を手に入れ、これを踏まえて地震成長・発生の動力学的モデルを構築し、それによって強震成長・発生の動力学的プロセスを理解し、強震に対する物理を基礎とした予測を行うという目的を達成する。

 

生産人口さらに減少 経済成長の減速要因に

2015年01月21日

 中国の生産年齢人口が昨年末時点で1年前に比べ371万人減った。

 チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えるところによると、中国国家統計局は1月20日、労働力の中核となる16~59歳の生産年齢人口が、2014年末時点で9億1,583万人と、前年末と比べ371万人減ったと発表した。前年に続いての減少となる。中国では長く続いた一人っ子政策の影響で少子高齢化が進行している。生産年齢人口の減少が今後の経済成長の減速要因になりそうだ。

 総人口は13億6,782万人で、710万人増えた。しかし総人口に占める生産年齢人口の割合は67.0%と、前年末の67.6%から下落した。

 統計局は12年1月、15~64歳の生産年齢人口の割合が11年に、それまでの増加から減少に転じたと発表していた。年齢層のベースは異なるが、この頃から減少傾向が続いているとみられる。

 1月15日科学技術振興機構中国総合研究交流センター主催の研究会で講演した津上俊哉津上工作室代表は、中国で1990年代に生まれた現在高校、大学生の世代が、10年上の世代の3分の2しかいないというデータを示し、「少子高齢化による経済成長の低下が2020年代後半に深刻化し、日本が既に経験したように経済成長の維持が困難になる」との見通しを明らかにしている。

 中国国家統計局は1月20日、2014年の実質国内総生産(GDP速報値)が前年比7.4%増となったことも発表している。この数値は、1990年に天安門事件後の国際的な経済制裁で3.8%に落ち込んで以来、24年ぶりの低水準だ。

 

昨年の訪日中国人旅行客過去最高の240万人

2015年01月21日

 日本政府観光局は1月20日、昨年1年間に日本を訪れた外国人旅行者が過去最高の1,341万4,000人(前年比29.4%増)に上った、と発表した。特に伸びが目立つのが中国で、総数では台湾、韓国に次ぐ3位だったが、前年に比べ83.3%増と伸び率では他国・地域を大幅に上回っている。

 日本政府観光局によると、昨年の中国からの訪日旅行者数は、240万9,200人で初めて200万人を突破した。数では台湾の282万9,800人、韓国の275万5,300人に及ばなかったが、前年からの増加率では台湾(28.0%)、韓国(12.2%)を大きく引き離している。昨年12月の旅行者数が全年同月比で96.7%増となるなど、月ごとの数も2013年9月以降16カ月連続で各月の最高を記録した。

 大型クルーズ船の多数寄港や航空便の新規就航などが増加につながった、と日本政府観光局は見ている。さらに、昨年10月から免税制度を拡充したことが円安とあいまって買い物目的の旅行客を増やし、同局が2014年度から始めたビジットジャパン事業の「九州キャンペーン」も九州への旅行客増につながった、としている。

 日本政府は、東京オリンピックの開かれる2020年に海外からの観光客を2,000万人に増やす目標を掲げているが、昨年11月に都内で開かれた「日中産学官交流フォーラム」では中国人パネリストから「5、6 年後には中国からの観光客だけで年間2,000万人になるだろう」という声も聞かれた。

 中国以外の主要な国・地域とも英国、ロシア以外は軒並み昨年の年間訪日客が過去最高となり、前年と比べた増加率(%)もロシアを除く17の主要国・地域が全て2桁の伸びを記録している。

日本政府観光局ウェブサイト プレスリリース「2014 年 過去最高の 1,341 万 4 千人!!」(2015年1月20日)
 

中国の2014年の経済成長率は7.4%増で24年ぶりの低水準

2015年01月20日

 中国国家統計局は20日、2014年の実質国内総生産(GDP速報値)が、前年比7.4%増だったと発表した。チャイナウォッチが北京発共同電として伝えた。

 7.4%の成長率は、1989年の天安門事件後に、国際的な経済制裁で3.8%に落ち込んだ90年以来、24年ぶりの低水準となった。不動産不況を背景に経済が減速した。

 米国に次ぐ世界第2位の経済大国である中国の成長鈍化は、国際経済の不安材料となりそうだ。2013年の7.7%から0.3ポイント下落し、政府目標の7.5%も割り込んだ。政府目標を下回ったのは、アジア通貨危機の影響で減速した98年以来だ。

 不動産開発投資の伸びが10.5%と、前年の19.8%から急減速した。従来の建設ラッシュの反動で、住宅が供給過剰となって売れ残りが増え、建設投資にブレーキがかかった。

 企業の設備投資などを含む固定資産投資の伸びも15.7%と、前年の19.6%から低下した。政府が鉄鋼など生産過剰業種の工場閉鎖などを進めたことも響き、工業生産の伸びも鈍化した。

 習近平指導部は過去の過剰投資の反省を踏まえ、経済の急成長路線から脱却し、経済活動の質と効率の向上を重視する戦略だ。このため3月の全国人民代表大会で公表する予定の2015年の成長目標も、7.0%前後に設定される可能性が高い。

 

中国人の旅行先人気日本2年連続1位

2015年01月19日

 香港の旅行情報サイトの調査で、中国人が希望する旅行先として日本が2年連続1位となった。

 チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えるところによると、旅行情報サイトを展開するトラベルズー・アジアパシフィック(香港)はこのほど、中国の旅行者が「ことし最も行きたい旅行先」として日本を2年連続でトップに選んだことを明らかにした。

 同社の調査で日本を挙げた人は昨年比で11ポイント増の40%となり、人気先2位の米国31%を引き離した。日本は台湾、香港でもトップの人気で、台湾では56%、香港では49%が選んだ。2013年の調査では、日本を挙げた中国旅行者は18%、順位は10位だったから、

 大幅なアップとなっている。

 日本の人気が上がった理由は、日中関係の緊張緩和に加え円安も影響しているとみられ、日本政府観光局(JNTO)北京事務所は「高級ブランド品は以前から日本で買うほうが安かったが、最近の円安で"お値打ち感"がさらに強まった。個人旅行者の増加が特に目立つ」と話している。

 北京の日本大使館によると、昨年12月の中国人への査証発給件数は17万件余りで同月としては過去最多。日本政府観光局によると、昨年1~11月の中国人訪日客は計約222万人で、年間で過去最多だった12年の約143万人を大きく上回っている。中国の旅行者は年平均6.4回の旅行を計画、平均8,558ドル(約100万円)の支出を予定しているという。

 トラベルズーの調査は昨年11月、約4,300人の会員を対象に行われた。

 

王毅外相アフリカ高速鉄道網建設支援表明

2015年01月16日

 王毅中国外相が訪問中のケニアで、アフリカ諸国の夢となっているアフリカ高速鉄道網建設を支援することをあらためて表明した。

 チャイナ・ウオッチがナイロビ発新華社=共同通信電として伝えるところによると、王外相は1月10日、ケニアの首都ナイロビで同国のアミナ外相と会談した後、同外相と共に記者会見に臨み、中国が鉄道・道路・地域航空というアフリカの「3大ネットワーク」の構築を支援する考えを示した。

 王外相は、中国が投資している「モンバサ~ナイロビ標準軌鉄道」について、「中国とアフリカ諸国指導者が確認したアフリカ高速鉄道網建設合意の先行実施でもある」とし、「中国はアフリカ高速鉄道網建設の夢を実現するため努力していく」と語った。

 さらに中国がケニア、アフリカ諸国との協力を進める意義を次のように述べた。

 途上国間の互恵の協力であり、友人間の相互支援でもある。中国とケニアとの協力では、習近平主席が提示した「真・実・親・誠」という理念を貫き、正しい義利観を貫くことを優先させている。そのためわれわれはケニアの発展の要請を優先的に考慮し、ケニア人民の願いを考慮しなければならない。これはわれわれが貫いていかなければならない原則である。現在ケニアが最も必要としているのはインフラで、この分野において援助の手を差し伸べていくつもりだ。

 ケニアのナイロビと南東部モンバサの間、約610キロを結ぶ「モンバサ~ナイロビ標準軌鉄道」は、約36億ドル(約4,200億円)の建設費が見込まれ、2018年完成の予定。将来はナイロビから、隣国のウガンダやルワンダ、南スーダンに鉄道を延伸する計画となっている。昨年5月、ナイロビで李首相が建設資金の9割を提供する契約書に署名した際には、アフリカ各国の首脳が立ち会っている。

 中国の対外援助に詳しい北野 尚宏・国際協力機構研究所(JICA)副所長が、2013年9月、科学技術振興機構中国総合研究交流センター主催の研究会で話したところによると、中国はアフリカ諸国を、資源と原材料の供給地、貿易や海外工事請負に潜在力のある市場とみて重要視、さらに国際開発協力実施によって大国としての責任を示す重要な舞台と見ている。アフリカで支援活動に従事する中国人は50~100万人といわれるが、在アフリカ各国の中国大使館でも正確な数字は把握できていない、という。

 また、今年9月中国総合研究交流センター主催の研究会で講演した青山瑠妙早稲田大学教授は、習近平政権の新シルクロード戦略が中国内陸部の経済発展とともに、東南アジア、南アジア、中央アジア諸国からアラブ、北アフリカさらに欧州諸国までをもにらんだ「 国際秩序における中国の地位向上」を狙ったものであるとの見方を明らかにしている。

 

北京、冬季五輪誘致で大気汚染対策に15兆円投入

2015年01月15日

 2022年の冬季五輪開催を目指す北京招致委員会は、深刻な大気汚染の改善のため、17年までに官民で計8081億元(約15兆円)を投入すると表明した。チャイナウォッチが北京発共同電として伝えた。

 国際オリンピック委員会(IOC)に今月提出した詳細な開催計画、「立候補ファイル」の中で明らかにした。

 在中国米大使館のウェブサイトによると、北京市内の微小粒子状物質「PM2.5」を含む汚染指数は、13日夜から14日未明にかけて最悪レベルの「危険」(301-500)となり、13日午後11時には400となった。

 22年冬季五輪招致は、北京とカザフスタンのアルマトイによる争いとなっている。08年に夏季五輪を開催した実績や、政府による財政支援の確実性から、北京が優勢との見方が強いが、深刻な大気汚染が不安視されており、北京招致委員会は懸念を拭い去ろうと躍起になっている。

 北京招致委員会は立候補ファイルで、17年までに大気汚染対策費として北京政府が481億円を投入、民間による関連投資も7600億元に上る見通しだと説明している。大気汚染の原因となる石炭の使用量を大幅に減らしたり、1200の工場を閉鎖したりして、「五輪期間中、大気の状態は世界保健機構(WHO)の基準を満たす」とアピールしている。

 開催都市は7月31日にマレーシアで開かれるIOC総会で決まる。

 

中国の成長率今年7.1%、来年7.0% 世銀が予測

2015年01月14日

 世界銀行が1月13日発表した経済見通しで、中国の成長率は今年7.1%、来年7.0%に減速するとされた。

 チャイナ・ウオッチがワシントン発共同通信電として伝えるところによると、世界銀行は2015年の世界全体の実質経済成長率を3.0%と見込み、昨年6月に予測した3.4%から引き下げた。米国は15年が3.2%、16年が3.0%と高成長を続けるとしている。他方、主力輸出品である原油の価格急落や米欧による経済制裁に直面するロシアは、2.9%のマイナス成長に陥る見通し。ロシア経済と関係が深いユーロ圏は15年が1.1%、16年は1.6%と低成長を予測し「景気低迷やデフレが長期化する懸念がある」と警告した。

 日本についても「デフレに後戻りするリスクがある」と指摘し、15年の成長率を0.1ポイント下方修正し1.2%とした。景気刺激よりも構造改革を優先する中国は15年が7.1%、16年は7.0%に減速すると予測、結局、米経済は好調が続くものの、日本や中国、ユーロ圏は振るわず、世界経済の足を引っ張ると予想した。

 世銀チーフエコノミストのバス氏は「世界経済が米国だけに依存する構造」に危うさがあるとして、ユーロ圏や中国の成長回復が必要だと強調している。さらに、世界貿易の停滞や、年内開始が予想される米国の利上げに伴う金融市場の混乱もリスク要因に挙げた。世界の成長率は16年には3.3%にやや上向くと予測し、原油安が継続して世界全体の物価を抑え、米国などで「利上げ開始を遅らせる効果がある」とした。

 

中国の新車販売2349万台で世界首位

2015年01月13日

 中国自動車工業協会は12日、2014年の中国の新車販売台数が、前年比6.9%増の2349万1900台だったと発表した。2年連続で2000万台を超えたものの、経済成長の鈍化が響き、13.9%増だった前年と比べ、伸び率は低下した。チャイナウォッチが北京発共同電として伝えた。

 中国は2位の米国の約1652万台を大きく上回り、6年連続で世界最大の市場となった。日本の約556万台の4倍に当たる。

 また同協会は、2015年の新車販売台数が7%増えて、2500万台を超えるとの予測を明らかにした。

 車種の内訳では、セダンやスポーツタイプ多目的車(SUV)といった乗用車の販売が増えた。商用車は法人需要が振るわず減少した。

 中国では所得水準が向上し、マイカーを買う市民が増えている。世界の大手メーカーが軒並み現地生産に乗り出し、激しい販売競争を繰り広げている。

 14年の乗用車販売の国別シェアをみると、海外勢ではドイツ車が20%と首位で、2位の日本車は16%だった。12月単月では日本車が19%と海外勢では首位で、ドイツ車、米国車と続いた。

 北京、上海などの大都市では激しい交通渋滞が慢性化し、ナンバー登録の制限や中心部の通行規制を導入している。各社は「市場拡大の舞台は地方都市に移る」(日系メーカー)とみて、販売網の拡大や宣伝強化に取り組んでいる。

 

中国 中南米で影響拡大へ

2015年01月09日

 中国の習近平国家主席は1月8日、北京市で開幕した「中国・中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)フォーラム」の初会議で、貿易や投資、資金援助を通じて中南米各国との関係を「高速で発展」させる考えを表明した。

 チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えるところによると、中国と中南米の貿易総額は近年、急激に増加している。新華社によると、2000年から13年にかけて20倍以上になった。中南米諸国にとっても経済パートナーとしての中国の重みは増している。

 「(中国は)中南米カリブ海諸国を含め世界各国に市場や成長、投資のチャンスを提供できる」。習主席は今年初の外交活動となったフォーラムで、経済的影響力を背景に中国主導の「大国外交」を展開していく姿勢を内外にアピールした。

 中国と中南米の14年1~11月の貿易額は約2、419億ドル(約29兆円)。中国は今後10年以内に貿易額をさらに倍増させ、中国から中南米への直接投資額を2、500億ドルまで引き上げる目標を掲げている。貿易、投資、金融をけん引役に、エネルギー、インフラ建設などの分野で協力を一段と深める計画だ。

 国際原油価格の急落に苦しむベネズエラはマドゥロ大統領が自ら訪中しフォーラムに出席、中国に融資の増額など支援を要請したもようだ。中国外務省は「具体的な協力」を実施する考えがあることを表明した。ベネズエラなど反米左派諸国が原油価格急落に揺らぐ中、中国が積極的な支援を行い、アフリカに続き中南米で存在感を急速に高める可能性が出てきた。

 CELACは米国とカナダを排除した中南米33カ国からなる地域機構。初会議は9日までで、約30カ国の閣僚級高官が出席している。

 

中国、IOCに2022年冬季五輪立候補のファイルを提出

2015年01月08日

 北京市は6日、スイス・ローザンヌの国際オリンピック委員会(IOC)本部で、IOCに対して2022年冬季オリンピック大会の開催計画を記した立候補ファイルを正式に提出した。チャイナ・ウォッチが新華社・共同電として伝えた。

 これを受けてIOCは、3月に評価グループを派遣する。

 2022年冬季五輪の開催地は中国の北京とカザフスタンのアルマトイが競っており、7月31日にマレーシアの首都クアラルンプールで開かれるIOC総会で決まる。

 北京市は北京の北西約200キロの河北省張家口市と共催し、氷上競技を北京、雪上競技を張家口市で行うことにしている。

 

中国人の数次ビザ発給要件緩和

2015年01月07日

 日本を訪れる中国人の個人観光客らに対する数次査証(ビザ)の発給要件が緩和されることになった。

 チャイナ・ウオッチによると、岸田文雄外相が6日の記者会見で明らかにしたもので、「相当の高所得者」とみなされる中国人の個人観光客に新たに発給する数次査証(ビザ)は、有効期限が5年に延長されるほか、日本の訪問先も自由となる。1月19日から運用を開始する。

 従来の「十分な経済力を有する者とその家族」を対象とする数次ビザの有効期限は3年で、東日本大震災からの復興と沖縄振興のため、初回は岩手、宮城、福島、沖縄各県のいずれかを訪れることが条件だった。

 商用目的や文化人・知識人に対する数次ビザの発給要件も緩和される。

外務省ホームページ「岸田外務大臣会見記録(2015年1月6日)
 

中国、短期業務のためのビザに新規定

2015年01月06日

 中国外交部、公安部等は中国での短期業務について、ビザの範囲を明確にするなど、新たな規定を設けた。新しい規定は1月1日から施行され、出張などで中国を訪れるビジネスマンにも影響が出そうだ。

 新たな規定は90日以内の短期に終了する業務について、取得すべきビザの種類を規定したもので、「中国国内の提携先における技術、科学研究、管理、指導」などの業務はZビザ、「購入機械設備の敷設、補修、設置、調整、取り外し、指導、トレーニング」などはMビザと規定された。

 ただ「提携先」の定義や、「90日」が連続か累積かなど、不明確な点も多く、業務で中国に出張する場合は、注意が必要となる。

 またビザ免除の入国は、旅行と観光に限定されることになる。詳細は、北京市大地法律事務所提供の資料を参照して欲しい。

『外国人短期終了業務のための入国に関する処理手続(試行)』について」( PDFファイル 371KB )

 

中国で宣伝工作の強化を指示

2015年01月06日

 中国で宣伝・思想部門を担当する劉雲山共産党政治局常務委員は5日、宣伝当局者が参加する会議で演説し、「世論の動向を正確に把握し、宣伝を強化しなければならない」と述べ、共産党の求心力が高まるよう、国民への教育や管理を徹底するよう指示した。チャイナ・ウォッチが北京発新華社・共同電として伝えた。

 劉氏は文化などのソフトパワーの強化に言及し、「作家や芸術家が、これまで以上に胸を打つ芸術作品を作れるよう促さなければならない」と強調、国民への社会主義イデオロギー教育を強化する一方で、習近平指導部の意向に沿わない報道や芸術活動は、一段と厳しく統制する方針を示唆した。

 また世論形成に影響力を持つインターネットが急速に普及していることを念頭に、「党が宣伝やイデオロギーを管理し続けなければならない」と訴えた。

 

アジア経済連携で中韓印と日本に溝

2015年01月05日

 アジアの主要国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉で、インドと中国、韓国が関税撤廃品目について、日本やアジア諸国連合(ASEAN)の考えよりはるかに低い割合にしたい意向を示していることが分かった。

 チャイナ・ウオッチが1月2日までに複数の交渉筋が明らかにしたとして伝えるところによると、貿易自由化率を40%にしたいというのがインド、中国、韓国の考え。日本やASEANが80%を当初の目標として協議を始めたい意向なのに対し、その半分にとどまる。国内産業保護の観点から、多国間交渉で市場を一律に開くことへの強い警戒感があるとみられる。

 交渉では参加国が多く協議の混乱を避けるため、各国が最初の関税撤廃案を示すに当たり、自由化率の最低水準をあらかじめ決める方針。しかし、主要参加国の間で意見がまとまるめどは立たず、2015年中の妥結という目標の実現は一段と厳しさを増してきた。

 14年12月上旬にインドで開かれた交渉会合で、ASEANが80%の品目の関税を10年以内になくす案を提示した。日本も応じる構えだった。しかしインドと中国が40%にとどめたい意向を崩さず、韓国もこれを支持した。

 中国と韓国は11月に自由貿易協定(FTA)の締結で大筋合意したが、10年以内に関税をなくす品目の割合は貿易額ベースで中国が66%、韓国も77%にとどまる。日本政府筋は「80%は韓国にとっても簡単ではない」と話す。

 中韓は日本を含めた3カ国の枠組みでもFTA交渉を進めるが、関税撤廃案を交換できていない。RCEP交渉も含め、歴史問題などで日本との関係がぎくしゃくしていることが交渉停滞の一因とする見方もある。中国から通信機器などを大量に輸入し「圧倒的な輸入超過」(交渉筋)が続くインドも、高い自由化率を拒み続けている。一方、残りのオーストラリアとニュージーランドは80%以上の水準を求めているとみられる。