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総額1.97兆元のPPP推進プロジェクト発表=発展改革委

2015年05月29日

 国家発展改革委がこのほど公式サイトに官民連携(PPP)プロジェクト専用ページを開設し、政府と民間資本の協力推進プロジェクトを発表した。チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えるところによると、第1陣のプロジェクトは合計1043件、総投資額は1兆9700億元(1元=約20円)に上る。

 国家発展改革委の説明によると、プロジェクトの範囲は水利施設、市政施設、交通施設、公共サービス、資源環境など多くの分野に及ぶ。全てのプロジェクトについて所在地、所属業界、建設内容、規模、政府の参加方式、採用予定のPPPモデル、責任者、連絡方法などの情報が明確にされ、民間資本が積極的に連絡をとれるようになっている。

 今回の推進プロジェクトは各省、自治区、直轄市、計画単列市の発展改革委が推薦し、国家発展改革委が審査し公表した。

 

世界の競争力ランキングで中国が日本を抜く

2015年05月28日

 スイスの国際経営開発研究所(IMD)が27日に発表した主要61カ国・地域を対象とした2015年版「世界競争力ランキング」で、日本は前年の21位から27位に後退、22位の中国に抜かれた。チャイナウォッチが伝えた。

 首位は3年連続で米国だった。また2位は香港で、3位以下はシンガポール、スイス、カナダの順で続いた。

 日本が6つ順位を落としたのに対して、中国は22位、韓国は25位と、日本は両国に抜かれる形となった。経済成長の鈍化などが影響したと見られる。

 日本は平均寿命や外貨準備高などの項目でトップクラスだったが、財政状態や移民政策、国民の外国語能力などが最低水準とされた。ランキングは1989年に始まり、初回は日本が首位、米国が3位だった。

 

西安で「新シルクロード大学連盟」設立=教育・科学技術・人文協力推進

2015年05月27日

 「シルクロード沿線国家教育協力交流会議」が22日、中国陝西省の省都西安で開かれた。西安交通大学が発起し、20あまりの国と地域の100近い大学が加盟する新シルクロード大学連盟が会議で正式に設立された。連盟は「シルクロード経済ベルト」沿線の大学や学術機関が教育・科学技術・人文分野の交流と協力を進めるのを促していく。チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えた。

 「新シルクロード大学連盟」の設立は西安交通大学が今年1月に初めて提案したもので、20あまりの国と地域の100近い大学が提案に応え、自由意志で連盟に加盟した。

 設立を祝う式典では西安交通大学の王樹国学長が新シルクロード大学連盟「西安宣言」を読み上げ、「人類文明の融合と発展、高等教育の開放と協力に貢献するため、きょうシルクロードの起点にあたる中国の西安で、平等と友好と自由意志の原則を踏まえ『新シルクロード大学連盟』が結成された」と述べた。

 連盟は国内外の大学のために結成された、開放的で国際的な高等教育協力を進める非政府非営利のプラットホームで、「新シルクロード学術ベルト」を内容とし、「団結と相互信頼、平等互恵、寛容と相互学習、協力とWIN-WIN」という理念に沿って「教育協力のプラットホームを共同で構築し、地域の開放と発展を促す」ことをテーマとして「シルクロード経済ベルト」沿線国家と地域にある大学間の交流、人材養成、科学研究協力、文化的コミュニケーション、政策研究、医療サービス分野の交流を推進する。

 設立式典のあと、「新シルクロード大学連盟」学長フォーラムが開催された。フォーラムに参加した大学の学長や代表、貴賓らは「高等教育協力を強化し、地域の開放と発展を促す」問題や「新シルクロード大学連盟」の枠内で人材養成や科学研究協力を進める問題などについて討論を進め、今後の高等教育事業の発展に関する問題などについて話し合い、高等教育に関する考え方、協力の道筋、成果の共有などについて意見を交換した。

第13回中国研究サロン「『一帯一路』構想と中国外交の変貌
中国国家重点大学 西安交通大学
 

中国湖南省の高山で長期にわたりヒ素中毒

2015年05月26日

 中国湖南省常徳市の鉱山で、不適切な汚水処理などから、65年間で労働者や住民2300人にヒ素中毒症状が出て、少なくとも700人が死亡していたことが分かった。チャイナウォッチが共同電として伝えた。

 住民の多くが皮膚がんにかかるなど、大きな被害が出た宮崎県土呂久のヒ素中毒と酷似していることを専門家が確認した。この鉱山は農薬や薬品、殺虫剤の原料となる亜ヒ酸が採取でき、同種の鉱山としてはアジア最大規模だ。

 取材に応じた多くの住民が、皮膚に黒や白の斑点ができ、皮膚がんなどの症状に苦しんでいた。鉱山は1950年に操業を始め、民営化を経て2010年に閉山した。

 1977年から地元の病院に勤め、中国のヒ素中毒の第一人者である医師の趙光明氏によると、鉱山には70年代、労働者と家族4000人あまりが居住していた。趙氏は「住民の間で皮膚がんが多発し、労働者が毎年20-30人なくなった」と語る。

 住民は異常事態を繰り返し政府に陳情、78年には当時の谷牧副首相が亜ヒ酸の製造停止を指示したが、別の硫化鉱物の採掘は続けられた。

 土呂久公害のヒ素対策を広めるNPO法人「アジア砒素ネットワーク」の横田漠宮崎大学名誉教授は、「被害の規模で言えば、知る限りアジア最大の亜ヒ酸の鉱害ではないか」と語る。地元当局は閉山から5年、医療支援にようやく乗り出した。

 

李首相、中南米との生産能力協力で提案

2015年05月25日

 ブラジルを訪問中の李克強首相は19日、ルセフ大統領とともにビジネスサミットに出席し、中南米との生産能力協力で3項目の提案を行った。チャイナウォッチが新華社・共同電として伝えた。3項目は以下の通りだ。

  1. 中南米諸国のニーズに合わせ、物流、電力、情報の3大ルートをともに築き、南米大陸の相互接続(コネクティビティー)を実現する。中国企業は中南米企業とともに、鉄道交通を中核とする南米大陸とカリブ各国を貫く物流ルート、高効率送電とスマートグリッドによる電力ルート、IT技術と新世代移動通信、ビッグデータとクラウドコンピューティングを融合させた情報ルートを共同で築く。
  2. 市場経済の原則に従い、企業、社会、政府の3者が相互に作用する協力方式を実現する。
  3. 協力事業をめぐり、基金、融資、保険の三つの資金調達ルートを開く。生産能力協力のために300億ドルの特別基金を設け、生産能力。装置設備製造分野での事業協力を支援する。

 これに対してルセフ大統領は、ブラジルの電力、鉄道など大型建設事業への中国企業の参加を歓迎し、両国の貿易規模の拡大や金融協力の推進を期待していると表明した。

 

中国西部で鉄道会社が複数の国際貿易ルート構築を準備

2015年05月22日

 中国西部で鉄道会社が複数の国際貿易ルート構築の準備作業を進めている。チャイナウオッチが22日、北京11 日発新華社=共同電で報じたところによると、中国鉄路総公司はこのほど、重慶と昆明を結ぶ鉄道プロジェクトの準備作業を正式にスタートさせた。全長は約 700 キロで、重慶市を基点に、四川、雲南両省を経由し、国際貿易ルートの構築につながるという。重慶市発展改革委員会が明らかにした

 重慶市が考える国際貿易ルートは3つあり、ひとつは長江経由で太平洋に出るもの。もうひとつは渝蘭(重慶~蘭州)鉄道によって新疆のアラタウ(阿拉山口)から国境を越え、カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツ、ロッテルダム港を経由し、大西洋に出るルートで、残りのひとつが渝黔(重慶~貴州省)鉄道を使い、貴陽、昆明、大里を経て瑞麗で国境を越え、ミャンマーの中部都市マンダレー、シットウェ港を経てインド洋に出るものだ。

 また、四川省も鉄道による国際貿易ルートづくりに努めており、魏宏省長は4月 28 日、同省の鉄道建設推進業務会議で「今年は四川省の鉄道建設のカギとなる年で、投資は 400 億元を突破し、隆黄(隆昌~黄桶)鉄道の变永~畢節〈貴州省〉区間が着工する」と述べ、「成渝(成都~重慶)旅客輸送専用路、蘭渝(蘭州~重慶)鉄道四川区間内、巴達(巴中~達州)鉄道の三つのプロジェクトを竣工させ、運行を開始させるほか、成都~西寧鉄道、渝昆(重慶~昆明)鉄道という二つのプロジェクトの準備作業を確実にスタートさせる意向だ」と表明した。成都~西寧、重慶~昆明を結ぶ鉄道は、国家の「一帯一路」計画の一部に属するものだという。

 さらに、雲南省も同じような動きにでており、政府活動報告によると、雲南省は今年、玉磨、祥臨、弥蒙などの鉄道プロジェクトの着工を目指しているほか、アジア横断鉄道(TAR)の中央ルートなど建設中の 10 プロジェクトの進展を急ぐ方針という。

 

中国、新エネルギー使用車両・船舶免税へ

2015年05月21日

 中国は今後、新エネルギー使用の車両・船舶について車両・船舶税を免除する。また省エネ車両・船舶は車両・船舶税を半額にする。財政省が18日発表した。チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えた。

 財政省、国家税務総局、工業・情報化省が合同で発表した通知によると、新エネルギー使用の場合、車両・船舶税を免除する。対象は純電気商用車、プラグイン(増設式を含む)ハイブリッド車、燃料電池商用車。純電気乗用車と燃料電池乗用車は車両・船舶税の課税対象となっておらず、徴収しない。免税となる新エネルギー使用船舶の基準については別途定める。

 省エネ車両・船舶は車両・船舶税を半額にする。半額にする省エネ車両・船舶は基準に合致していなければならない。

 通知によると、財政省、国家税務総局、工業・情報化省は合同で、車両・船舶税が減免される自動車のタイプリストを不定期に発表し、基準クリアの省エネ乗用車、商用車および新エネルギー使用車を公告する。

 

中国の専門家、「桜経済」の開発を提案

2015年05月20日

 中国の専門家が桜の花をテーマとした産業の振興を提唱している。チャイナウオッチが20日、北京8日発新華社=共同電で報じたもので、提唱者は中国の中国桜花産業協会の何宗儒執行主席らだ。

 何主席は「中国で現在、栽培されている桜の数と技術レベルは世界トップだが、桜が"舶来品"であるという間違った認識すらある」と指摘。「桜をテーマとした産業の振興と経済の開発には大きな潜在力がある」と強調した。

 植物学者の考証によれば、中国では秦・漢の時代に既に宮殿の庭で桜の栽培が行われており、唐代に日本に伝えられたという。花見は中国の伝統で、昔から「柳色青堪把、櫻花雪未乾〈柳が見頃だが桜もまだ散ってはいない〉」「小園新種紅櫻樹、閑繞花枝便当遊〈庭に桜を植えて散策気分を味わう〉」などの詩句が残っている。

 中国には古代から緋寒(ひかん)桜、枝垂(しだ)れ桜、八重桜など多くの品種の桜があった。日本の権威ある書物『桜大鑑』にも、桜は中国のヒマラヤ山脈が原産で、人工的に栽培した後、徐々に日本に伝わったとの記載があるという。

 現在、中国には野生の桜が50種余りあり、その分布範囲は広い。しかも、中国の桜の苗木の栽培面積は現在、計6万5000ムー(約4300ヘクタール)強で世界のトップに立っている。

 このため、専門家は「(桜には)文化、観光、庭園・緑化、派生商品、苗木の栽培と販売などを含め、産業の発展につながっていく可能性があり、その潜在市場は小さくない」と語る。

 観光を例に取ると、同協会のデータによれば、武漢市の「花見」には毎年、延べ200万人が集まるそうで、昨年も中国では、各種の桜のイベントが40回余り開催されているという。

 こうしたこともあって、中国人民政治協商会議全国委員、中華全国帰国華僑連合会の王栄宝副主席は2013年と14年の全国人民代表大会と中国人民政治協商会議〉の際、「桜産業の振興と中国の桜のDNA保護」を提案し、今年は「桜産業発展促進」の提案を行ったという。

 

海外商業不動産が中国企業の人気投資先に

2015年05月19日

 中国企業の海外投資が過熱しており、海外の商業不動産が中国企業の人気投資先になっている。

 チャイナ・ウオッチが19日、北京7日発新華社=共同電で報じたところによると、中国人寿保険とカタールの政府系ファンド(SWF)の投資部門カタール・ホールディングが2014年6月、84億元でロンドンの金融街カナリー・ワーフにある高層ビル10・アッパーバンク・ストリートの株式を90%取得した。このうち70%は中国人寿保険のものになった。

 また、同年10月、安邦保険がニューヨークの高級ホテル、ウォルドーフ・アストリアを買収した。さらに、同月、中国平安保険と中国人寿保険の2社がHSBCホールディングスの本社ビルの競売入札者名簿に名を連ね、翌11月に陽光保険がシドニーのシェラトンホテルを購入した。

 中国国内の土地取得熱や不動産投資熱が冷え込んでいる中で、海外の商業不動産への投資が人気を集めているということでもある。

 中国のシンクタンクである中投顧問公司の研究員、韓長吉氏はこれについて「海外での不動産投資はリスクの分散につながり、キャピタルゲインが得られる。しかも、規模の拡大やブランドの知名度向上にも役立つ」と指摘。「現段階では、国内の住宅市場は、比較的多くの在庫を抱えており、土地の取得コストが高く、リスクが高い」と語った。

 しかし、海外での商業不動産への投資はやはり巨大なリスクがつきまとう。中国社会科学院保険研究室の郭金竜主任は「保険会社が海外投資をすれば、必然的にリスクに直面することになり、(略)一部国家の政局不安定やそうした情報の不足なども海外投資に一定の影響を与えるだろう」と警告している。

 

中国経済の鈍化鮮明=投資、消費が不振

2015年05月18日

 チャイナ・ウオッチが18日、北京発共同電で報じたところによると、中国経済の鈍化が鮮明になった。景気をけん引してきた不動産投資が振るわず、政府が成長の新たな原動力と期待する消費にも火がなかなか着かず、経済が長い停滞期に入るのではないかといった懸念も出てきた。

 政府系の経済研究機関の幹部は「中小都市の住宅不況と製造業の生産能力過剰が最大のリスクになっている」と警戒する。マンションの売れ残りは深刻で、毎月の住宅着工面積は2014年前半から前年割れが続いている。今年1~4月の不動産開発投資の伸びは前年同期比6・0%と、リーマン・ショック後の2009年の水準まで落ち込んでいる。

 工業生産も、不動産投資の減速が響き、過去の過剰生産の反動もあって、伸び率は下落傾向にある。今年4月は、鋼材生産量の伸びが鈍化したほか、自動車の生産台数がマイナスに転じた。

 習近平指導部は依然として消費を喚起して成長につなげる戦略だが、庶民の購買意欲は高まらない。沿海部の大都市、天津市では2月の春節(旧正月)の連休後、複数の百貨店が相次いで営業停止に追い込まれている。もぬけの殻になった店の関係者は「いつ営業再開するか分からない」と嘆く。

 中国の4月の小売の売上高は前年同月比10・0%増で、伸び率は06年2月以来の低水準に落ち込んだ。政府は昨年秋以降、利下げなどの金融緩和策を連発したが、目立った効果は出ていない。

 1~3月期の経済成長率は7・0%と、政府の通年目標ぎりぎりまで低下した。このため、政府は金融緩和や公共事業の積み増しといった刺激策を続けるとの見方が多い。長期的な安定成長の实現には、社会保障制度の整備や高齢化対策、農村の都市化といった中国社会の抜本的改革が必要だ。楼継偉財政相は4月下旬の講演で、「(改革できなければ)中国経済済は停滞に陥る可能性が高い」と警告している。

 

中国産SUV、地元で人気=日系メーカーの脅威に

2015年05月15日

 チャイナ・ウオッチが上海共同電として報じるところによると、ドイツや日米など外国ブランド車が6割を超すシェアを持つ中国の乗用車市場で、劣勢の国産ブランドがスポーツタイプ多目的車(SUV)で健闘している。中国産SUVは手ごろな価格に加えて近年はデザイン性も向上。若者に支持を広げ、日系メーカーにとっても脅威となりそうだ。

 「外観は外国ブランド車と遜色ないし、値段も手ごろだ」

 長城汽車(河北省)のSUVブランド「HAVAL」の上海市内の販売店で、小型の欧州車からの買い替えを検討する40代の男性が納得した様子で語った。

 中国車のブランドイメージは「この2年で大きく向上した」(店長)といい、この店だけで昨年に約2千台のSUVが売れた。

 中国で昨年に販売された新車の乗用車計約1970万台のうち、SUVは約21%に当たる約408万台。日本全国で昨年に販売された新車乗用車(軽自動車を除く)の約286万台を上回り、前年比約36%の伸びを示した。このうち中国ブランドのシェアは約45%を誇る。

 SUV人気の背景には購買層の変化がある。車を買うのは「立派なセダンに乗ることが成功の証し」と考える中高年から徐々に「80後」「90後」(1980年、90年代生まれ)と呼ばれる20代、30代に移りつつある。友人らと車でアウトドアなどに出掛ける活動的な世代だ。

 中国メーカーはこうした市場の変化を的確に捉え、日系メーカーより3割以上安いSUVを投入して攻勢をかける。日系メーカー社員は「品質や性能ではまだ相当の開きがある」と語るが、無視しがたい価格差が若者を引き付ける。

 最近も中国メーカーの新型車発表が相次ぎ、大手の広州汽車は4月、新型SUVを約10万元(約192万円)から売り出すと公表した。

 ターゲットはこれまで日本や韓国のブランドを購入していた層で、日系各社は一層のブランド力強化を迫られそうだ。

 

ロシア高速鉄道の設計受注へ=中国企業

2015年05月14日

 中国の鉄道建設大手、中国中鉄は13日、ロシアが計画しているモスクワ-カザン間の高速鉄道建設に向けた調査、設計を受注する見通しだと発表した。チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えた。

 中国中鉄の完全子会社とロシア企業の連合体が落札し、5月末に契約する見通し。設計上の最高速度は時速400キロだという。受注金額は200億ルーブル(約480億円)で、同企業連合が2016年までに調査、設計する。ロシアは18年までの完成を目指している。中国は現代版シルクロード経済圏を構築する「一帯一路」構想を実現しようと、近隣国への投資を促進している。

 

中国の個人口座基金が赤字の危機

2015年05月13日

 中国の年金保険の個人口座部分は収支が不均衡で、財政支援を続けるのが難しく、個人口座基金は赤字の危機に直面しているという。チャイナ・ウオッチが13日、北京6日発新華社=共同電で報じたところによると、中国ではこのため、年金支払い能力に対する懸念を背景に、個人口座の残高を「公」のものにすべきかどうかも大きな話題になっているという。

 中国の現行年金保険の個人口座制度は、年金の支給見込み年数が平均余命より8年短く、年金の投資収益率が給付増加率を大きく下回り、口座の「相続制」が年金の余計な支出を招いているという。

 新華社発行の経済専門紙「経済参考報」が報じているもので、中国の基本年金保険は社会的プールと個人口座〈一種の所得比例年金〉を合わせた方式をとり、本人が給与の8%を納付して保険加入者の個人口座をつくっている。保険加入者が法定退職年齢に達し、かつ合計15年以上保険料を納めていれば、毎月基本年金を受け取ることができる。

 また、その基本年金は基礎年金と個人口座年金からなり、基礎年金はプール基金から支出され、個人口座年金は個人口座の積立額から支出される。現行の年金基準で計算・支給すると、1人の勤労者が60歳で定年退職した場合、個人口座の資金をすべて受け取り終える時期は71歳7カ月。ただ、保険加入者がこの年まで生きられない場合、個人口座の残高は、法に基づいて、相続することができるようになっている。しかも、個人の寿命が長くなり、個人口座の積立額で足りなくなった場合には、個人口座年金は統一プール基金から支出されるようになっている。

 このため、財政省財政科学研究所の楊良初研究員は同紙記者とのインタビューの中で「現在、比較的多くの問題が生じているのは、われわれが過去において個人口座を小さくしたからだ。以前個人の保険料納付は16%だったが、現在は8%で、それでは明らかに不十分だ」と指摘し、個人の保険料率の引き上げと企業の保険料率の引き下げを実施すべきだと強調している。

 

中国で新エネルギー車の販売好調-充電施設増加が急務に

2015年05月12日

 中国で新エネルギー車の販売が急速に伸びており、充電スタンドの増加が急務になっている。チャイナ・ウオッチが12日、北京23日発新華社=共同電で報じたもので、充電スタンドの不足が現在、中国の新エネルギー車産業の急速な発展の一大障害となっている。

 データによると、中国の新エネルギー車の生産台数は今年3月、1万3500台で、前年同月比で4倍近くアップした。このうち電気自動車(BEV)は6986台で、同5倍。プラグインハイブリッド車(PHV)は3288台で、やはり同5倍。商用車(BEV)は2465台で同4倍近くに増えている。

 販売状況をみると、新エネルギー車の販売台数は昨年12月、2万7000台と過去最高を記録した。今年初めは多少落ち込んでいるが、前年同期比では4倍になっており、新エネルギー車人気の一端がうかがえる。

 しかし、昨年末現在で中国の新エネルギー車の保有台数は12万台を超えたものの、充電スタンド数は約3万に過ぎない。業界筋はこれについて「新エネルギー車の販売台数はまだ前年同期比で3~4倍の速さで伸びており、まだ5年は続く見通しだ(20年まで)」と指摘。「(このまま進めば)充電スタンドの不足が100万基に達する可能性がある」と警告する。

 国務院が2012年に公表した「省エネ・新エネルギー車産業発展計画(2012~20年)」によれば、中国は2015年までにBEVとPHVの累計生産・販売台数を50万台に、2020年までにBEVとPHVの生産能力を200万台にするとしており、累計生産・販売台数については500万台超えを目指すとしている。

 国家能源〈エネルギー〉局電力司〈局〉の童光毅副司長は「中国電気自動車100人フォーラム」で、「この計画をもとに試算すれば、集中型の充電ステーションは30倍、分散型の充電スタンドは100倍増える」と述べている。

 

中国企業、代表的高速列車をミラノ世界博に出展

2015年05月11日

 中国南車股分有限公司(通称・中国南車)が開発した高速列車CRH380A型がイタリアのミラノで開催中の第42回世界博覧会に出展されている。

 チャイナ・ウオッチが11日、北京2日発新華社=共同電で報じたところによると、CRH380A型は中国の高速鉄道を代表する高速列車で、京滬高速鉄道先行営業区間で時速486.1キロを記録しており、鉄道営業試験の世界最速とされている。

 しかも、中国の高速鉄道はこれまでに"安全運転距離"を3億キロまで伸ばしており、2010年から米国の法律事務所デービス・ポークと米国特許商標庁を通じて特許検索ができるようになっており、特許項目は900件に上る。

 中国南車の関係者は「50あまりの国が中国南車との協力を進めるための接触を行っており、米国、ブラジル、ロシア、タイ、マレーシア、シンガポール、ルーマニアなど20あまりの国と突っ込んだ意見交換を行った」と語った。

 中国の高速鉄道の営業距離は2014年末までに1万6000キロを超え、建設中の高速鉄道は1万キロを突破している。

 中国航天、中国南車、中糧集団などの企業で構成する中国企業連合体は今回のミラノ世界博で「中国企業連合館」を開設し、中国企業の独自の姿を紹介している。

 

中国、近く内陸原発プロジェクトの凍結を解除

2015年05月08日

 中国核能行業協会〈原子力エネルギー業界協会〉(以下「業界協会」)の張華祝理事長は22日に開かれた同協会の年次総会で「年内に6~8基の原子炉建設が始まり、8基の原子炉が商業運転に入る見込みで、今年は商業運転を始める原子炉が最も多く、原発プロジェクト再開のカギの年になる」と語った。

 チャイナ・ウオッチが北京27日発新華社=共同電で報じたもので、中国国内の原発プロジェクトは4年間の凍結期間を経て次々に着工され、内陸原発プロジェクトの再開についてもゴーサインがだされる見通しという。中国の国家発展改革委員会は今年に入ってから、中国工程院〈工学アカデミー〉、業界協会などと共に、第13次5カ年計画(2016~20年)期間内に内陸での原発建設が可能かどうかの検証を行っている。

 業界協会は近く、内陸原発建設に関する報告を発表する予定で、張理事長は「中国の内陸原発の安全性は保障されており、江西省の瑞金高温ガス炉(HTGR)プロジェクトもこのほど専門家の審査をパスした」と強調。「第13次5カ年計画(2016~20年)の内陸原発プロジェクトの凍結解除が目前である」ことを明らかにした。

 業界協会によると、遼寧省の紅沿河原発第2期プロジェクト(5号機)の建設は今年3月29日に正式にスタートしたが、これは日本の福島原発事故後、中国で原発の着工が認可された最初のケースという。また、4月15日には、自主開発第3世代原発技術のモデル原子炉「華竜1号」の建設が国務院によって認可された。こうした事実は中国の原発プロジェクトの全面的な再開を意味しているという。

 さらに、中国華能集団原発事業部の王永福主任は山東省の石島湾原発について、「HTGRのモデルプロジェクトが今年6月に基礎工事を終え、設置・引き渡し段階に入る」ことを明らかにすると共に、「当社が国家核電技術公司と共に投資した、2台の中国版第3世代炉CAP1400の審査・承認報告も既に上部機関に提出されており、近く着工が承認される見通しだ」と述べた。

 中国核工業集団は「華竜1号」をパキスタンに5基輸出しており、金額は150億ドルに上る。また、中国広核集団が出資した英ヒンクリー・ポイントC原発プロジェクトは2017年に着工予定で、「華竜1号」も英国の包括設計審査(GDA:Generic Design Assessment)にパスした後、過半出資しているブラッドウェル原発Bプロジェクトに今年下半期使用される見通しという。

 

日本企業、中国の展示会で高い汚染対策技術をアピール

2015年05月07日

 環境対策技術の展示会としてはアジア最大級の「中国環境博覧会」が6日、上海市で開幕した。同展には中国企業約800社と、27カ国・地域の約270社が出展している。

 チャイナ・ウオッチが7日、上海発共同電で報じたところによると、同展には大気、土壌、水の汚染対策で強みを持つ日本の環境関連企業 20社以上 が出展し、先進技術をアピールした。日本の環境関連企業は今後さらなる成長が見込まれる中国市場でのビジネス拡大を目指している。

 上海では4月末、日中の環境相会談が約3年ぶりに行われ、大気汚染防止対策などで協力を確認したばかり。日本企業にとって、政治面での関係改善が事業拡大の追い風となりそうだ。

 この中で、日本の荏原製作所の子会社はごみ処理施設の高い技術力をアピール。また、日本企業数社が重金属汚染土壌の修復技術に関するフォーラムで独自技術を紹介した。土壌汚染対策関連だけで中国の市場規模は、2014年から20年までの合計で、約6856億元(約13兆2400億円)に上るとされる。

 中国で環境コンサルタント業を営む大野木昇司氏は「中国では環境規制が強化され、技術のある日本企業にはチャンスが多い」と語っている。同展は8日まで開催される。

 

中華スマホ、インドで躍進=「世界挑戦」への試金石

2015年05月01日

 中国のスマートフォンメーカーがインドで躍進している。チャイナ・ウオッチが1日、ムンバイ発共同電で報じたもので、いわゆる"中華スマホ"は低価格の割に高機能で、世界2位の人口を抱える巨大市場インドを足掛かりに世界進出を狙っているという。

 同電によると、インドのスマホ市場では、韓国やインドメーカーが激しいシェア争いを展開。日本勢で唯一、インド市場に進出しているソニーは価格面で苦戦を強いられているそうだ。この中で、ムンバイのシステム技術者オムカル・ロタンカルさん(24)は中国のスマホメーカー最大手、北京小米科技(シャオミ)の製品を購入した。価格は約1万4千ルピー (約2万6千円)で、工場労働者の月給を大幅に上回っていたが、ロタンカルさんは「価格にしては、機能がすごい」と語り、「負荷が重いゲームで遊んでも画面の動きは滑らかな点が気に入っている」と評価する。

 中国のスマホメーカーはここ2、3年でインドに次々と進出し、小米科技(シャオミ)も昨年7月、インドへ進出。今年4月には同社の世界戦略商品であるスマホ「Mi 4i」をインドで発売した。スマホ「Mi 4i」の海外での発売は初めて。当面はネット限定販売で、同社は今後、店舗販売にも乗り出す方針という。

 インドの調査会社サイバー・メディア・リサーチ(CMR)のアナリストは中国メーカーのインド戦略について「世界市場で戦うための実験場だ。ここで勝ち欧米に本格進出するはず」と指摘する。同社によると、インド市場における中国メーカー(約90社)のシェアは13%になっている。

 これに対し、インド市場を抑えていた韓国のサムスン電子はこのところ押され気味で、同社のシェアは2014年3月末に43・2%もあったが、同年12月末には23・7%にまで落ち込んだ。

 日本勢はソニー製のスマホが店頭に並ぶ程度で、価格も他のメーカーより割高だ。ムンバイの日系電機幹部は「日本メーカーの多くがインドのスマホ市場に進出しておらず、消費者の認知度は一向に上がらない」と述べ、危機感を募らせているという。