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環境保護税法草案を全人代常務委員会に提出

2016年08月31日

 排出する大気汚染物質・水汚染物質の濃度が国または地方の定める排出基準の50%を下回った場合、環境保護税の徴収額を半分にすることなどを定めた環境保護税法の草案が、8月29日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会に提出された。チャイナ・ウオッチが、北京発新華社=共同通信電として伝えた。

 法案は、全人代常務委員会で審議される。環境保護税の徴収額半減という免税適用が盛り込まれたのは、企業の先進的技術を使った汚染物質排出削減を奨励するため。農業の発展を支援するため、農業生産のために排出された課税対象汚染物質についても免税とすることが盛り込まれている。ただし、農村環境に対し大きな脅威になる大規模飼育・養殖は含めない。

 この他、「エンジン付き車両、船舶、航空機など移動汚染源が排出する課税対象汚染物質」、「法に基づいて設けられた都市汚水集中処理場、生活ゴミ集中処理場が排出する基準値内の課税対象汚染物質」、「納税者が国または地方の基準に合致した総合的利用を行った固体廃棄物」、「国務院が免税を認めるその他のケース」も、免税適用としている。車両、船舶、航空機などが排出する課税対象汚染物質を免税対象としたのは、車両・船舶税、消費税、車両購入税などが現行の税制の中で環境保護強化の調節の役割を果たしているという理由から。一方、工業汚水集中処理場は免税適用対象とはならない。

 環境保護税の徴収・管理について法案は次のように定めている。税務機関は法に基づいて徴収、管理し、環境保護の主管部門が法に基づいて汚染物質のモニター、管理を担う。両部門は租税関連情報共有のためのプラットホームと仕組みを構築し、定期的に納税関連情報・資料を交換する。

 汚染排出費用徴収制度に存在する法執行の甘さ、行政関与の多さ、規範性の欠如などの問題に対し、中国は2011年から環境保護の費用徴収から租税への移行とその立法に取り組み始めた。楼継偉財政相は法案説明の際、各方面で議論が多い二酸化炭素の環境保護税については、今のところ徴収範囲に組み込まないと説明した。

 

高速鉄道でも高速ネット接続容易に

2016年08月30日

 高速鉄道の乗客がモバイルアプリケーションを使うだけで、30余りのテレビの生中継番組を間もなく見られるようになる。チャイナ・ウオッチが、成都発新華社=共同通信電として伝えた。

 高速鉄道をよく利用する乗客にとって大きな悩みとなっているのが、ネットワーク信号の弱さ。中国電子科技集団公司第29研究所が開発した高速鉄道に搭載される衛星送受信設備は、すでに車両への据え付けが完了している。テスト終了を待って、年末までに供用される見通しとなった。乗客がモバイルアプリケーションを使うだけで、WiFi(無線LAN)を通してテレビの生中継を楽しんだり、インターネットを閲覧し、情報を送信することが、近く可能になる。

 同研究所製品育成センターの王海竜副主任は次のように説明した。この技術は軍用分野の装甲型、コンテナ型軍用車両などにおける衛星通信が基になっている。昨年初めごろ、軍民融合戦略と四川省国防科学技術工業弁公室の強力な支援の下、研究所はスマート高速鉄道インターネット産業のインキュベータチームを立ち上げ、この技術を民生分野で運用することに力を注いだ。

 

爆買いからサービス体験へ 中国人旅行者に変化

2016年08月29日

 中国人が海外旅行する際の消費の対象が、商品を大量に購入する「爆買い」から、ホテルや飲食店での「より良いサービス」の体験に移っている、という中国政府系のシンクタンクによる調査結果が明らかになった。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 中国旅行研究院の調査結果は、携程旅行網(シートリップ)の今年1~6月の顧客データなどを分析している。訪日旅行者の支出に占める買い物の割合は低下し、ホテルやレストラン、娯楽での消費が増えていることが明らかになった。渡航先の順位で、日本はタイ、韓国に次いで3位。訪日が2回目以降のリピーターは60%を占め、こうした人々は目的地として地方都市を好むという。

 旅行研究院は、中国人旅行者は海外で「以前のように食費などを切り詰めて買い物に使うのでなく、現地の人の生活を深く体験することを望んでいる」と指摘し、多くの観光地を駆け足で回るより、一つの場所に長く滞在する傾向が強まっていると分析している。

 1~6月の中国人海外旅行者数は前年同期比4%増の5,903万人だった。日本政府観光局によると、1~7月に中国から日本を訪れた旅行者は約380万人で、4割近く伸びている。旅行研究院は、パスポートや香港への通行証といった海外旅行に必要な証明書を持っている中国人は5%にすぎないとして、「海外旅行市場の潜在力は大きい」と強調している。

 

成果の移転・実用化に伴う収益は大学に

2016年08月26日

 大学の科学 技術成果の移転・実用化に伴う収益は大学が保有し、国庫に納入する必要はないとする文書を、中国科学技術部が配布した。チャイナ・ウオッチが、北京発新華社=共同通信電として伝えた。

 「大学の科学 技術成果の移転・実用化を強化することに関する若干の意見」と題する文書は、大学はその保有する科学技術成果に対し、譲渡、許諾または評価・投資を自主的に決めることができ、国家機密、 国家安全保障に関わるものを除き、審査承認を受けたり届出登録を行う必要がない、としている。科学技術成果の完成および実用化に重要な貢献をした人員に報奨または報酬を与えた後、主に科学技術の研究や成果の実用化などの関連活動に用いるものとする、とも記している。

 報奨については、▽技術譲渡または許諾の方式で職務科学技術成果を実用化する場合は、技術譲渡または許諾により得た純収入の中から50%を下回らない部分を充てるべきだ▽科学技術成果の評価・投資方式で実用化を実施する場合は、評価・投資により得た株式又は出資比率の中から50%を下回らない部分を充てるべきだ▽研究開発や科学技術成果の実用化において主要な貢献をした人員が報奨を得る割合は総額の50%を下回らない-という条件をつけている。

 技術移転 機関の運営と発展の支援に充てる収益の一部に関して、文書は特に次のように指摘している。

 大学と企業、研究院・所が学生の実習・訓練や大学院生の研究実践といった教育科学研究基地(拠点)を合同で設立し、学生の革新・起業実践能力を引き上げることを支持する。同時に、大学の科学技術成果の移転・実用化を世界の一流大学・一流学科づくりの考課評価システムに組み入れるものとする。

 

中国不良債権190兆円 日本総合研究所試算

2016年08月25日

 中国の金融機関が抱える潜在的な不良債権の残高が昨年末時点で12兆5,000億元(約190兆円)に達したとの試算を、日本総合研究所がまとめた。チャイナ・ウオッチが共同通信の報道として伝えた。

 日本の大手シンクタンク、日本総合研究所の試算は、中国の上場企業2,300社余りの2015年度決算を分析し、借入金の8.6%分が不良債権になり得ると推定している。この比率を非上場企業向けの融資や、正規の融資以外の「シャドーバンキング(影の銀行)」を通じた貸し出しも含む中国全体の融資額に当てはめ、不良債権残高を推計した。12兆5,000億元(約190兆円)は、中国の公式統計の約10倍に当たる。経済成長の減速で隠れた不良債権が増えているとみられる。

 中国政府は昨年末時点の不良債権残高を1兆2,744億元としており、「一定のリスクはあるものの、銀行には損失を吸収する能力がある」と説明している。これに対し、「不良債権の認定基準が甘い」というのが、関辰一日本総研副主任研究員の指摘。関氏は「金融機関も経営状況を正確に公開していない。政府が適切なタイミングで公的資金を投入できるか疑わしい」とみている。

 中国では好況期に不動産投資などの財テクや工場建設のため、過度に借り入れを増やした企業が多い。経済成長を維持したい政府も、銀行が企業にお金を貸すよう促してきた。そのため審査が不十分な融資が増え、近年の景気低迷に伴い不良債権化している。

 国際通貨基金(IMF)も4月に「中国は不良債権の処理策を早く策定する必要がある」と警告した。既に地方都市では中小金融機関の債務超過や取り付け騒ぎも伝えられている。

 

首脳会談控え米中高官が気候問題協議

2016年08月24日

 9月に予定されている米中首脳会談を前に、米中高官が地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の早期発効に向けた協力など気候変動問題を協議することが決まった。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 米ホワイトハウスは23日、ディーズ大統領上級顧問が北京で中国政府当局者と協議すると発表した。オバマ米大統領は9月の20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせて中国を訪問、習近平国家主席と会談する。ディーズ氏は米中首脳会談に向けて詰めの議論を行う。

 7月に訪中したライス米大統領補佐官と会談した習氏は、経済や気候変動問題での協力強化の必要性を強調した。米中両国は首脳会談で南シナ海問題などを巡る利害対立の表面化を回避し、協調ムードを前面に出したい考えとみられる。

 

農村のネット小売額上半期で3,100億円超す

2016年08月23日

 中国農村のネット小売額は都市を大きく超える伸びを示し、今年上半期で3,100億元(1元=約15円)を超えた。チャイナ・ウオッチが、北京発新華社=共同通信電として伝えた。

 中国商務省の沈丹陽報道官が17日明らかにしたところによると、農村のネット小売額は、第1四半期が1,480億元余りだったのに対し、第2四半期はさらに伸びて1,680億元余りに達した。前四半期に比べ13.48%の増となり、伸び幅は都市を4ポイント以上、上回った。全国のネット小売額に占める割合も上昇し続け、上半期には14.14%に達した。3,100億元超のうち、実物商品は2,000億元以上、非実物商品は1,100億元以上となっている。

 また、サービス型のネット小売も力強く発展している。オンライン観光サービスが大人気となり、上半期のネット小売額は445.35億元で、農村のサービス型ネット小売業界で第1位、全体に占める比率は38.52%に達した。観光分野のネット小売サービスは、全国の都市の同分野の割合より12ポイント高く、農村のサービス型ネット小売を支える力となっている。

 実物商品ネット小売の上位3位はアパレル・朋飾小物、インテリア、デジタル家電で、上半期の小売額の合計は全体の44.29%を占めた。

 沈報道官は、「農産物のECは品目による分化が顕著。全国のネット小売上位は順に果物、茶飲料、薬草・健康食品、食糧・油、ナッツ類、家禽、水産物、野菜、花卉(き)植物などだ。これらの商品はネット小売に占める割合がかなり大きく、上位三つの合計は全体の56.11% に達している」と語った。

 

過剰生産で一斉査察=地方政府や企業の責任追及

2016年08月22日

 中国の経済官庁、国家発展改革委員会は19日、鉄鋼と石炭の過剰生産能力の削減を徹底するため、全国一斉査察を実施すると明らかにした。中央政府が定めた目標に比べて削減が遅れているためで、取り組みが不十分な地方政府や企業の責任を追及する。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国政府は今年、鉄鋼4500万トン分、石炭2億5千万トン分の生産能力を削減する目標だが、7月末時点の削減量はそれぞれ目標の47%と38%にとどまったという。地元経済の悪化を懸念する地方政府や企業の抵抗が根強いためだ。

 政府は来週から9月上旪にかけて10の査察チームを各地に派遣。生産を一時休止しても、鋼材市況の回復とともに生産を再開する例もあることなどから、実際に設備を廃棄したり、炭鉱を閉鎖したりしたかを確認する。

 中国は好況期に製鉄所の新設や設備増強が相次いだ反動で生産能力が過剰になった。世界的な鋼材価格の下落を招いたとして、各国からも生産削減を求められている。発展改革委員会の幹部は19日の記者会見で「削減目標の達成には十分な自信がある」と強調した。

 

中国でも自動運転事故

2016年08月12日

 米テスラ・モーターズ製電気自動車(EV)が、北京で自動運転中に衝突事故を起こしていたことが分かった。チャイナ・ウオッチが、ロイター通信の記事を転電したニューヨーク発共同通信電として伝えた。中国で自動運転中の事故が表面化したのは初めてという。

 事故が起きたのは先週。駐車中の別の自動車に衝突した。負傷者はいない。運転していた男性は、テスラが車の性能を誇張したと主張している。テスラは、自動運転機能を使っていたことを認める一方、 男性がハンドルに触れていなかったと指摘し、運転手は自動運転機能使用時も操縦の責任を負うとの立場から、ハンドルを操作して事故を回避しなかった男性に非があると反論している。

 テスラのEVを巡っては、5月に米南部で自動運転中にトレーラーと衝突し、テスラ車の運転手が死亡する事故が起きた。

 

米ディズニー9%増収=上海開業でリゾートも伸び

2016年08月10日

 米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーが9日発表した2016年4~6月期決算は売上高が前年同期比9%増の142億7700万ドル(約1兆4550億円)、純利益も5%増の25億9700万ドルとなり、増収増益を確保した。チャイナ・ウオッチがニューヨーク発共同通信電として伝えた。

 映画関連事業の売り上げが40%増と大きく伸びたのがけん引し、「ジャングル・ブック」や「ファインディング・ドリー」などの作品が人気を集めたのが貢献した。

 米国内のテーマパーク収入が堅調だったテーマパーク・リゾート事業も6%増。6月に開園した中国の上海ディズニーランドの開業前費用がかさんだものの、同事業の営業利益も8%伸びた。

 

木材輸出額が増加=中国需要や韓国のブームで

2016年08月09日

 日本の木材輸出額が伸びている。2015年は229億円で前年より29%増え、3年連続で増加した。林野庁によると、中国での木材需要の高まりや韓国でのヒノキブーム、円安などが追い風となった。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 木材輸出額は12年まで100億円前後で推移していたが、13年以降は中国や韓国向けが増え、右肩上がりになっている。

 15年の輸出先別では中国が89億円でトップ。次いで韓国38億円、フィリピン35億円、台湾21億円と続いた。中国向けはスギが多く、土木用材や梱包材などで使用。韓国では高級感のあるヒノキが人気で住宅の内装材などとして利用されている。

 品目別では丸太が94億円と最多で、全体の約4割を占める。

 林野庁は、人口増加や経済成長によって、中国やベトナムなどアジアで木材需要が今後も伸びると考えており、住宅建材など付加価値の高い木材製品の輸出拡大に力を入れる方針だ。

 

アリババ取引額90兆円目指す

2016年08月08日

 中国の電子商取引(EC)最大手アリババグループの孫炯副総裁は5日、同社の通販サイトの年間取引総額を、2020年3月期に現在の倍に当たる6兆元(約90兆円)へと引き上げる目標を明らかにした。チャイナ・ウオッチが杭州発共同通信電として伝えた。

 孫氏が日本の記者団に明らかにしたところによると、「爆買い」に象徴される日本製品人気も取り込む戦略という。

 一方、日本通運は2日、アリババと提携して日本から中国に航空便で商品を輸送する、と発表した。競合する日本郵便より輸送料金を3割程度安く設定しており、孫氏は「円高で日本の商品のお得感が下がっている中、感謝している」と話した。

 アリババは「淘宝など複数の通販サイトを展開し、16年3月期の取引総額は3兆元余りだった。米大手スーパーの売上高を超えたことから「世界最大」の小売業者になったとアピールしていたが、さらに拡大する。

 孫氏は中国で「農村の潜在的な市場を開拓する」と述べ、物流体制を整備していると説明した。また「銀座で爆買いをする中国人は、自分の国でも海外の商品を買いたくなってきている」と話し、日本の日用品や化粧品を中国で販売拡大することに自信を示した。

 

中国鉄鋼大手が生産削減

2016年08月05日

 中国四川省カンゼ・チベット族自治州丹巴県の「康定赤ワイン酒業」が「世界でも珍しい高地の洞窟」を利用したワイン造りを行っている。経済発展に取り残された地元農家にブドウの栽培を依頼し、貧困対策も兼ねた事業としても注目されている。チャイナ・ウオッチが丹巴県発共同電として伝えた。

 住民114万人のうち少数民族のチベット族が8割を占める同自治州。面積は15万3千平方キロで5千メートルを超える山々がそびえ立つ。標高約2300メートルの谷地に康定赤ワイン酒業の醸造所がある。

 昨年の生産額は約6895万元(約10億5千万円)で主に赤ワインを生産。売り物にしているのが、高地の洞窟を貯蔵庫として利用するユニークな方法だ。チベット仏教の僧侶がかつて修行場にしていた洞窟といい、「湿度、温度が保たれ、騒音もない」ことで上質のワインが生まれるという。

 醸造所は、地元農家約4千戸にワイン用のブドウ栽培を依頼し「貧困層が多い農民の収入増に寄与してきた」(醸造所幹部)。施設は欧州から導入した最新のものを利用し、「seiri」などとアルファベットで書かれた日本の品質管理の標語が大きく書かれている。技術部門トップの張金さん(35)は「ワインの質を上げて有名にし、将来は輸出もしたい」と夢を語る。

 自治州幹部によると、従来は金採掘などが盛んだったが、環境汚染防止のため産業構造の転換を模索。付加価値の高い農業を「今後有望な分野」と見込み、ワイン造りを始めたという。

 葡萄・ワイン国際機構(OIV、本部パリ)が4月に発表した統計によると、中国のワイン消費量は世界第5位。大小の国内メーカー100社以上がひしめく上、ワインの輸入量も増えており「市場は空前の競争状態」(中国メディア)だ。

 国内産ワインはこれまで価格的に海外産よりも有利だったが、近年は南米チリ産などへの関税が軽減または撤廃されており、さらなる競争激化が予想されている。

 

中国鉄鋼大手が生産削減

2016年08月04日

 中国有数の大手鉄鋼メーカー「鞍山鋼鉄集団」(遼寧省鞍山市)は、今年上半期(1~6月)の自社の粗鋼生産量が、前年同期と比べ減っていることを明らかにした。チャイナ・ウオッチが鞍山発共同通信電として伝えた。

 鞍山鋼鉄の運営に関わる共産党組織の林大慶副書記が3日、日本の記者団に説明した。ただし、具体的な生産量は明らかにしなかった。

 鞍山鋼鉄は、粗鋼生産量で世界7位を誇る「鞍鋼集団」の中核的な企業。中国メディアによると、全体で約16万人いるグループ従業員を2018年までに10万人以下に削減する計画だ。リストラと先端技術導入を並行して進め、経営体力の強化を狙っている。

 一方、神戸製鋼所と合弁で14年に設立した自動車向け鋼板の製造会社が、来年にも商業生産を始める方針を明らかにした。先端技術を導入し、今年4月から現地で試験生産をしている。神鋼との合弁会社幹部は「中国国内でも新技術の導入競争になっている」と指摘し、大手自動車メーカー向けの販売を伸ばす方針を明らかにした。

 中国の鉄鋼の過剰生産は世界的な鋼材価格の下落を招き、国際問題になっている。中国政府は20年までに全国で1億~1億5千万トン分の生産能力を削減する方針を掲げている。

 

中国のゾンビ企業7.51%

2016年08月03日

 経営破綻しているのに政府機関などの支援で倒産していない「ゾンビ企業」が、中国に7.51%あるという人民大学の研究報告が公表された。チャイナ・ウオッチが、北京発新華社電として伝えた。

 人民大学国家発展・戦略研究院の報告は、1998―2013年(2010年を除く)の中国工業企業データベースを基に、約80万社の企業と約360万の観測値からなるパネルデータセットを作って計算している。日米の経済学者によって提起された「CHK法」を基に,国情に合わせて修正した「人代国務院基準」で、「ゾンビ企業」の存在数を割り出した。

 2000-13年の期間中、「ゾンビ企業」の比率が最も高かったのは今世紀初めで、その後低下傾向を示し、05―13年の「ゾンビ企業」比率は7.51%にまで下がっている。地域別にみると、経済発展水準の比較的高い東部、南部の「ゾンビ企業」の比率は低く、西南、西北と東北地区の比率は比較的高い。所有制別にみると、国有と集団所有制企業中の「ゾンビ企業」の比率が高く、民営企業の比率は小さく、しかも前者よりはるかに低い。

 規模別にみると、大中型企業の「ゾンビ企業」は比率が高いが、絶対数は比較的小さく、 「ゾンビ企業」の大部分は小型企業だという。また年限別にみると、古い企業ほど、「ゾンビ企業」の比率が高いことが分かった。

 15年12月9日に開かれた国務院常務会議は、国のエネルギー消費、環境保護、品質、安全などの基準に適合しないか長期間赤字の生産能力過剰業種企業について閉鎖・操業停止・合併・転業または分割再編を実施し、3年以上赤字が続きかつ構造調整の方向に沿わない企業を資産再編、財産権譲渡、閉鎖・破産などの方法で「清算」し、「ゾンビ企業」を整理・処理することを打ち出した。

 報告書は、次の五つの対策を提言している。

(1)企業に対する政府の介入を減らす。とりわけ産業政策は慎重に用いるべきだ。 (2)国有企業の考課指標をより完全にし、「国有企業を強くし、よくし、大きくする」ことの意味を全面的に理解する。(3)銀行の予算制約(予算による縛り)を強める。一方で銀行システムへの監督管理〈規制〉を強化し、他方で銀行に対する地方の行政介入を減らすべきだ。(4)複数ルートで過剰生産能力を解消する。例えば、いくつかの過剰生産能力を貧困地区のインフラ建設に充ててもよい。(5)国有企業改革のテンポを速め、国有企業の位置づけを明確にする。

 

ウーバーの中国事業買収=現地最大手の滴滴出行

2016年08月02日

 チャイナ・ウオッチが上海発共同電として報じるところによると、中国の配車サービス最大手、滴滴出行は1日、米国の同業大手ウーバー・テクノロジーズの中国事業を買収すると発表した。両社はスマートフォンのアプリを使った配車サービスの中国市場で、競合関係にあった。中国で8割超のシェアを握るとされる滴滴出行は市場での地位がさらに盤石になる。

 ウーバーは世界各国で事業を急拡大させているが、中国では単独での市場開拓を断念した形だ。

 滴滴出行によると、買収に伴い同社とウーバーは相互に株式を保有する。ウーバーが滴滴出行の株5・89%を持つ。滴滴出行が持つウーバー株については詳細を明らかにしていない。両社の最高経営責任者(CEO)がそれぞれ相手側の取締役会のメンバーに加わる。滴滴出行は、ウーバーのブランドを残して営業の独立性を維持するとしている。

 買収が合意に至った背景には、値引き合戦など過当競争で双方が消耗するのを避けたいとの思惑があったとみられる。

 滴滴出行は昨年、配車サービスで中国市場の覇を競っていた滴滴打車と快的打車が経営統合してできた。

 

ウナギ保護協定づくり中国消極的

2016年08月01日

 日本が中国、台湾、韓国に呼び掛けて始めたニホンウナギ保護を目指す新たな国際協定づくりの協議が難航している。中国が早期の協議に消極的で、今夏に予定されていた会合の日程も決まっていない。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 ニホンウナギは日本のほか中国、台湾、韓国などで漁獲されるが、中国、台湾、韓国で消費されるのは一部で、多くは日本に輸出される。稚魚のシラスウナギが乱獲で枯渇する懸念があるため、水産庁は、各国の当局者による協議の場を設置した。国際的なシラスウナギ資源管理のための「法的拘束力のある枠組み」の設立を目指した協議を始めることで、2014年に合意が成立、昨年6月に2回目の非公式協議を実施し、今夏には3回目の会合を開く予定だった。

 中国が協議に消極的なのは、国内の輸出入業者や養殖業者らの利害調整が進まないことなどが理由とみられる。日本に大量のシラスウナギを輸出している香港にも協議への参加を呼び掛けたが、参加のめどは立っていない。日本市場目当てに高値で取引されるウナギを巡る協議の難しさを示した形だ。絶滅が危ぶまれるウナギの資源管理に向けて日本が進めてきた国際協力の停滞で、ワシントン条約に基づく取引規制を求める声が高まる可能性もある。