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中国進出日本企業1万3,934社に

2016年10月31日

 中国に進出している日本企業が今年8月末時点で1万3,934社となったことが、民間調査会社帝国データバンクの調べで分かった。昨年6月と比べ678社増えている。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 帝国データバンクによると、最も多い製造業は5,853社 で160社増えたが、割合は0.9ポイント低下した。他方、小売業の進出企業は503社と少ないが、前回調査から85社増え、全体に占める割合は0.4ポイント上昇した。小売業の内訳は「婦人・子供服」が52社と最も多く、「各種商品の通信販売」(33社)が続いた。都市部を中心にインターネット通販が盛んなことが背景にありそうだ。中国の景気減速や人件費高騰といったリスクがあるものの、約13億人の人口を持つ巨大市場に小売業が活路を見いだそうとしていると帝国データバンクは見ている。

 外食市場も成長しており、3位は「中華料理店、その他の東洋料理店」(28社)、「日本料理店」(16社)が4位に入 った。

 帝国データバンクは増加の理由として、反日感情の高まりが比較的落ち着き、日本企業が中国市場を無視できなくなっていると説明した。また、中国の景気減速や人件費高騰といったリスクがあるものの、約13億人の人口を持つ巨大市場に小売業が活路を見いだそうとしているとみている。一方で、事業環境の悪化で倒産する日本企業も散発的に出てきていると指摘している。中国事業の縮小や撤退をする場合、独自の商習慣や法制度により、思わぬ費用がかかるケースもあり、注意が必要であることを強調した。

 

国産初の空母船体完成 年内にも進水か

2016年10月28日

 中国が建造中の初の国産空母が既に船体建造を終えていることを、中国国防省の報道官が明らかにした。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 呉謙報道官は27日の定例記者会見で、「現在は装備などの取り付け作業を行っている」と語った。完成時期は明らかにしなかった。

 「海洋強国」建設を掲げる習近平指導部は外洋展開能力を高めるため、空母戦闘群の整備を急いでいる。中国の軍事専門家は地元メディアの取材に、国産空母は最大で40~50機の飛行機が搭載可能で「建造のスピードが速く、年末か来年初めには進水できるのではないか」と指摘した。

 これまでの発表によると、国産空母は排水量5万トン級。中国はウクライナから購入した空母を修復、2012年から「遼寧」(排水量約6万7千トン)として訓練や研究目的で運用し、技術などを国産空母の建造にも生かしているという。

 建造は遼寧省大連市の造船所で行われており、インターネットでは最近、組み立てられた船体の画像が多く出回っていた。

 

アップル社15年ぶり減収 中国経済減速も痛手

2016年10月27日

 米IT大手アップルが25日発表した2016年9月期通期の決算は、売上高が前年比8%減の2,156億3,900万ドル(約22兆4,000億円)、純利益は14%減の456億8,700万ドルとなった。急成長市場だった中国の景気減速も、アップルにとって痛手となっている。チャイナ・ウオッチがニューヨーク発共同通信電として伝えた。

 欧米メディアによると、売上高と純損益が悪化したのは2001年以降、15年ぶり。主力のスマートフォン「iPhone」 の販売不振が響いた。16年7~9月期決算は、売上高が前年同期比9%減 の468億5,200万ドル、純利益は19%減の90億1,400万ドルと 3四半期連続の減収減益となった。地域別の売上高は中国地域が30%減と大きく落ち込んだ。日本は10%増だった。

パソコン「マック」の販売台数も14%減、タブレット端末「iPad」は6%減といずれも減少した。一方、端末を通じて決済する「アップルペイ」などサービス部門の売上高は24%増えた。

 米調査会社IDCよると2016年4~6月期のスマートフォンの世界出荷台数は、前年同期比0.3%増の3億4,330万台と微増にとどまった。一方、「OPPO」ブランドを展開する中国の広東欧珀移動通信など新興勢が続々と台頭し、市場にひしめき合っている。スマホが製品として成熟期に入り、デザインと機能の変化が緩やかになってきているのも、買い替え需要が盛り上がらない要因となっている。

 決算発表を受け投資家の思惑は交錯、アップル株価は時間外取引で上昇した後、下落に転じた。

 

産業用ロボット年間販売台数世界市場の4分の1超に

2016年10月26日

 2015年に中国で販売された産業用ロボット台数が世界市場の4分の1を上回った。チャイナ・ウオッチが北京発新華社=共同通信電として伝えた。

 10月20日に北京で開幕した世界ロボット大会(北京市人民政府、中国工業・情報化部、中国科学技術協会主催)で発表されたさまざまなデータは、中国が既に世界で最も重要なロボット消費国になっていることを示している。国際ロボット連盟(IFR)の集計によると、2015年の世界の産業用ロボット販売台数は前年比12%増の24万8,000台だった。このうち中国の産業用ロボットの年間販売台数は6万6,700台で、世界市場の4分の1を上回った。中国は2013年から3年連続で世界最大の産業用ロボット消費市場の地位を守っている。

 世界の産業用ロボット本体市場の規模は2013年の85億ドルから15年の123億ドルに拡大した。近年、ますます多くの資本がロボット産業に集中しており、中国国内では数千に上る関連企業が相次いで誕生している。多くの都市ではロボット産業団地が建設されており、ロボット産業の従業員も大幅に増えた。百度や科大訊飛などのスーパー人工知能(AI)プラットホームは、グーグルやフェイスブックなどの多国籍企業の注目を集めるようになっている。米国のシリコンバレーを除くと、中関村国家自主創新モデル地区は世界で最も活力にあふれたAI研究開発拠点になっている。

 中国科学院院士(アカデミー会員)で、華中科技大学機械科学工程学院院長の丁漢氏は「中国の重要なロボット研究計画は三つの代表的成果を収めている。ロボットによる加工、福祉ロボット、ロボット操作システムがそれだ」と説明している。

 国内企業はロボットの自主ブランドの構築を加速するとともに、国際買収などの方式を通じて海外市場を開拓している。これまで中国の産業用ロボットの生産は本体とデバイスに集中し、コア部品不足が国内の産業用ロボットの生産コストを高め、ロボット産業の発展を制約していた。

 丁氏は「ロボット産業を強大化するための重要な課題は、制御アルゴリズムやセンシング技術など基礎研究を強化することだ。基礎研究を抜きにして、ロボット技術の開発を語ることはできない」と述べた。ハルビン工業大学ロボット研究所の趙傑・所長も、産業用ロボット、サービスロボット、特殊ロボットの関連コア技術を含む、ロボットの尖端技術、重要共有技術、新世代ロボットプラットホームなどを、中国のロボット産業が重点を置かなければならない分野として挙げている。

 

人民元が対ドルで下落=6年1カ月ぶり安値

2016年10月25日

 週明け24日の上海外国為替市場の人民元相場は対ドルで下落し、午後4時半(日本時間同5時半)時点で、前週末の同時刻に比べて0・18%安の1ドル=6・7718元をつけた。2010年9月以来、約6年1カ月ぶりの元安水準だった。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。

 市場関係者によると、他通貨に対するドルの上昇が影響しており、当局も元安を容認しているようだという。

 中国人民銀行(中央銀行)は24日朝、取引の基準値を1ドル=6・7690元と、前週末の基準値と比べて0・20%元安に設定した。

 

時速600キロのリニア開発

2016年10月24日

 中国最大の鉄道車両メーカー、中国中車が最高時速600キロのリニア高速鉄道の研究開発に着手したと発表した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国中車が21日発表したところでは、国家プロジェクトとして独自技術による開発を目指すとしている。国際路線に走らせる時速400キロの高速鉄道車両も並行して開発し、高速交通の分野で日本などに対抗する。

 実用化の時期は不明だが、まず距離が5キロ以上の実験線を建設する。エネルギー消費を他国のリニアと比べ35%抑えるという。時速200キロのリニアも開発する。

 高速鉄道車両は、中国が進める現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に基づく国際路線での走行を想定している。国境を越える際に異なるレールの幅や電圧、信号技術などに対応できる車両を開発するという。

 JR東海は昨年、山梨リニア実験線で時速603キロの有人走行を成功させており、中国のリニア構想はこれに匹敵する。中国は現在、国内の高速鉄道網を急速に拡大しており、ドイツの技術を導入した時速430キロのリニアも2002年末に上海の浦東国際空港と市郊外を結んで開通している。

 

中国の飛行士に「親近感」=大西さん書き込み

2016年10月21日

 チャイナ・ウオッチが伝えるところよると、国際宇宙ステーションに米ロの飛行士と3人で滞在中の大西卓哉さん(40)が20日までに、中国の宇宙実験室で滞在を始めた2人の中国人飛行士について「地球の外にいる人類は私たちだけだったが、急に親近感が湧いた。交信できたら楽しいだろうな」とウェブサイトに書き込み、飛行士同士の連帯感を示した。

 大西さんがテレビニュースで打ち上げを見て「中国、やるな」と思っていた時、ロシアのアナトーリ・イバニシン船長(47)が「俺たちはもう孤独じゃない」とぽつり。これを聞いて「頭をガーンとやられたようなインパクトがあった」と感じたという。

 「広い宇宙のどこかに、もう一つ宇宙船があり飛行士2人が乗り込んでいる。イメージが頭に流れ込み感動を覚えた」という大西さん。ただ交信は難しそうで「軌道が違うからめったにすれ違わないだろうな」と残念そうだった。

 大西さんは、接近する米無人補給機「シグナス」をロボットアームでつかまえるという大仕事を23日に控えている。これをこなして30日に地球に帰還する予定だ。

 

中国、民間投資が低迷=国有企業と大きな格差

2016年10月20日

 中国政府が19日発表した2016年1~9月期の民間の固定資産投資は前年同期比2・5%増にとどまり、15年通年の10・1%増と比べて伸び率が大幅に鈍化した。業種によっては大幅なマイナスを記録。政府と関係の深い国有企業との格差が大きい。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として報じた。

 16年7~9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は6・7%で前期から横ばいとなったものの、民間投資の低迷に政府も危機感を強めている。 1~9月期の民間投資の内訳を見ると、石炭や金属などの採掘業が14・6%減となったほか、非鉄金属の製錬・加工業など製造業の一部もマイナスとなった。地域別では景気減速が深刻な東北部が30・1%減と大きな落ち込みだ。

 半面、国有企業の固定資産投資は21・1%増と、15年通年(10・9%増)から大きく拡大。国家発展改革委員会は9月だけでも計23件、総額約3200億元(約4兆9千億円)の公共事業を認可。鉄道建設や水資源開発などが含まれ、こうした事業は国有企業が受注する例が多い。

 銀行は貸し倒れリスクの高い民間企業より国有企業に優先的に融資。国有企業が資金を本業に使わず、不動産投資につぎこむ例も多いとされる。国家統計局の盛来運報道官は記者会見で「民間投資の制約要因を取り除く改革を加速する必要がある」と述べた。

 

中国の対外投資活発すでに昨年超す

2016年10月19日

 中国の対外投資が1~9月で約14兆円となり、昨年1年間の額を超えたことが明らかになった。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国商務省が18日発表した今年1~9月期の対外直接投資額(金融を除く)は、前年同期比53.7%増の1,342億2千万ドル(約 14兆円)。中国企業が海外企業の合併・買収(M&A)を活発化させているためで、既に昨年通年の1,214億2千万ドルを超えた。

 対外投資のうち中国企業の海外M&Aは521件で、取引額は674億4千万ドルに達した。昨年通年の544億4千万ドルを上回った。M&A投資先は米国が最大だった。中国企業は海外での事業展開を加速し、国際競争力を高める手段としてM&Aを積極的に活用している。中国の景気が減速し、国内で有望な投資先が減っていることも、対外投資が増える要因の一つだ。

 日本への直接投資額は5.9%増の1億8千万ドルだった。今年6月には中国の家電大手、美的集団が東芝の白物家電部門を買収するなど、日本企業を対象としたM&Aも目立っている。

 商務省は、中国が提唱する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に基づく海外投資計画も増えていると強調している。1~9月期の新規請負事業は512件で、昨年同期より33件増加したと説明している。多くはインフラ整備関連とみられる。

 

神舟打ち上げ成功で宇宙の主導権争い激化か

2016年10月18日

 17日、中国が有人宇宙船「神舟11号」の打ち上げを成功させたことで、宇宙での主導権争いが激化するとの見方が強まっている。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 「神舟11号」の打ち上げ成功は、中国が独自の宇宙ステーション建設計画をさらに推し進めたことを示す。さらに有人月面探査や火星探査のほか、独自の衛星利用測位システム(GPS)「北斗」の開発にも力を入れており、宇宙空間での米国との主導権争いはさらに激化しそうだ。

 新華社電によると、有人宇宙飛行プロジェクトの幹部は、2020年ごろの完成を目指すステーションについて「規模は小さいが、経済性や機能面でも(日本や米ロなど中国以外の15カ国が参加する)国際宇宙ステーションを上回る」と強調している。さらに神舟11号の打ち上げで有人宇宙飛行も「実験段階から実用段階に入る」と述べた。

 国際宇宙ステーションを巡っては、24年以降の運用が未定で、宇宙には中国のステーションのみが稼働することになる可能性が高まっている。

 「北斗」も米国のGPSに対抗して開発が進められ、特に軍事面での効果が大きいとされる。アジア太平洋地域では既に運用開始しており、パキスタンなどが導入を決めたと伝えられる。20年前後までに地球規模での実用化を目指している。日本の専門家は「中国が宇宙での影響力を一気に拡大させようとしている」と話した。

 

一人っ子政策撤廃で無戸籍者の登録申請受付

2016年10月17日

 北京市は14日、「一人っ子政策」などの影響で無戸籍となっている人を対象に戸籍登録の申請受け付けを始めた。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 「一人っ子政策」は今年撤廃されたが、中国では全国に戸籍のない人が1,300万人いるとされている。一人っ子政策に違反し、規定の数を超える子どもを産んだ夫婦が罰金を払えず、子どもの戸籍登録をしないケースが多い。無戸籍では身分証がもらえず、教育などの公的サービスも受けられないため、深刻な社会問題となっている。無戸籍問題の解消を掲げる習近平指導部が具体的な対応に乗り出した形だ。

 中国メディアによると、一人っ子政策によって無戸籍となった人は、生まれた病院でもらう出生証明書や父母のどちらかの戸籍簿などを当局に提出、審査を経て戸籍登録される。 そのほか、父母のどちらかが外国人で未婚のまま生まれた場合や、自宅など病院以外の場所で生まれたために出生証明書がもらえず無戸籍になった人も対象になる。

 習指導部は昨年、1979年から続いた一人っ子政策を撤廃し、全ての夫婦に第2子出産を認める方針を決定した。法改正を経て今年1月1日に正式に廃止した。

 

富士フイルム中国医薬品企業に出資

2016年10月14日

 富士フイルムは13日、中国の医薬品企業、華潤医薬集団に出資すると発表した。華潤医薬が香港取引所で新規株式公開(IPO)するのに合わせ、8億2千万香港ドル(約110億円)相当の普通株を取得する。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 富士フイルムによると、華潤医薬は政府系巨大複合企業「華潤集団」の傘下企業で、バイオ医薬、漢方薬などを含む医薬品の製造、小売りを手掛けている。充実した流通網が強みで、中国に100以上の物流拠点を持ち、4万以上の病院に医薬品を直販している。

 富士フイルムは医療機器や医薬品、再生医療などヘルスケア事業の強化を掲げており、出資を通じて中国の医薬品事業の拡大を図る。

 

東洋の伝統医学病名もWHO分類に

2016年10月13日

 病気や死因の統計に使われる病気の分類法「国際疾病分類」に漢方など東洋の伝統医学が加わることが、12日東京都内で開かれた世界保健機関(WHO)の会議で報告された。チャイナ・ウオッチが伝えた。 

 国際的な標準となる病気の分類に、東洋医学の章が設けられるのは初めて。会議であいさつしたマーガレット・チャンWHO事務局長は「2018年を目指し、分類の改訂準備を進めている。伝 統医学を加えて歴史的な改訂になるだろう」 と語った。

 国際疾病分類は、人口動態調査や医療機関の診療記録などに使われており、現在は1990年に採択された第10版。改訂により、漢方やはり・きゅうを用いる伝統医学ならではの病名が盛り込まれるとみられる。 

 会議に合わせ日本東洋医学会の佐藤弘会長が記者会見し、「古代中国を起源とし、日本や中国、韓国に広がった伝統医学がWHOに公式に認められれば、国際的に普及が進むだろう」と期待を示した。

 

中国の環境保全センターと北九州市が覚書締結

2016年10月12日

 北九州市が中国環境保護省の「日中友好環境保全センター」と12日、環境保護の分野で連携する覚書を締結した。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 北九州市では同日、中国の大気汚染改善をテーマにした国際会議が開かれた。覚書では、公害対策や都市環境の改善に向けて、情報交換や人材交流を行うとしている。市によると、日 本の自治体が同センターとこのような覚書を結ぶのは初めて。

 日本の環境省は2018年度末までの5年間、中国の大気汚染を改善するため、日中両国の都市同士で専門家を派遣したり研修生を受け入れたりする事業を実施している。北 九州市はこれまで汚染の原因物質を抑える方法を助言するため、研究者ら約80人を上海など6都市へ派遣している。中国側からも約80人を受け入れ、日本企業の取り組みを紹介してきた。

 

中国の貢献でエネ効率1.8%改善

2016年10月11日

 世界の国内総生産(GDP)単位当たりのエネルギー消費量が2015年に1.8%改善した、という報告書を国際エネルギー機関(IEA)が10日公表した。チャイナ・ウ オッチがロンドン発共同通信電として伝えた。世界有数のエネルギー消費国である中国の効率化が寄与した、としている。

 IEAは、原油安にもかかわらず、14年より0.3ポイント改善した点を評価した。一方、地球温暖化の防止に向け気温上昇を2度未満に抑えるには、少なくとも2.6%の改善が必要だ、と指摘している。 

 エネルギーの効率利用に関する15年の世界の投資額は、前年比で6%増の2,210億ドル(約22兆7,500億円)と試算した。建造物や自動車のエネルギー効率化といった分野が伸びた。I EAはエネルギー規制の強化が投資を後押しするとして、各国政府の取り組みを求めた。

 中国は大気汚染の抑制などを目的とした過去の投資が貢献し、エネルギー効率が改善したという。

 

大気中の水蒸気を人工的に移動=中国が「天河」計画

2016年10月07日

 「天河プログラム〈計画〉」論証スタート式兼第1回専門家チーム会合が9月9日から11日まで青海省西寧市で開かれた。この研究プロジェクトは清華大学青海大学の共同チームが中心になり、大 気中における水蒸気の分布とそれが運ばれる構造を科学的に分析し、さらに人工的介入の手法をとって、異なる地域間の大気、地表水の水資源再分配を実現することを狙っている。チャイナ・ウ オッチが西寧発新華社=共同通信電として伝えた。

 「『天河プログラム』が成功すれば、空中で広域的に水を移し、南水北調の『空中回廊』が築かれる見通しだ」、中国科学院院士〈会員〉、青海大学学長の王光謙氏は論証スタート式でこのように述べた。 

 さらに、観測の結果、大気境界層から対流圏の範囲に、水蒸気が運ばれる安定したルートがあって、それを「天河」と呼ぶことができ、大気空間を基にした、水を広域的に移すモデルが「天河プログラム」だ と説明した。

 「まず大気中の水蒸気の量と『移動』ルートの監視〈モニター〉を通じて水蒸気の『移動』法則をつかむとともに、条件のある地区で人工的介入を行い、北方地区の地表水資源不足を解消する」、王 氏はこう述べた。

 権威ある監視報告書によると、この30年余り、中国北方地区の主要河川の流水量は全体的に減少傾向にあり、2025年には物理的水不足に直面する可能性がある。国 の重要戦略プロジェクト南水北調計画では東ルート、中央ルートによって北方地区の水不足問題がある程度緩和されたが、西ルートは標高の高さ、地形の複雑さ、生態系の脆弱さなどのために、なお論証段階にある。 

 中国科学院院士、中国航天科技集団公司科技委員会主任の包為民氏は、「天河プログラム」即ち南水北調の「空中回廊」構想は、青海チベット高原地区の環境効率の最大化を実現し、全国特に北方の経済・社 会発展を促進するのに役立つとみている。

 計画によると、第13次5カ年計画(2016~20年)中、「天河プログラム」で青海チベット高原の三江源、祁連山、チャイダム地区の年間降水がそれぞれ25億、2億、1 .2億立方メートル増える見通しで、中長期的には、年間50億立方メートルの水の広域的な移動が実現する見通しだという。これは西湖のおよそ350個分の貯水量に相当する。

 

レノボと富士通パソコン事業統合へ

2016年10月06日

 富士通がパソコン事業を世界最大手の中国の聯想(レノボ)と統合する方向で調整していることが、分かった。チャイナ・ウオッチが共同通信の報道として伝えた。

 富士通は、分社化したパソコン事業にレノボが出資する案を軸に交渉を進める。国内のパソコン市場は縮小傾向が続いており、レノボと統合することで競争力の強化を目指す。「FMV」で 知られる富士通のパソコンのブランドや、島根県出雲市と福島県伊達市にある工場は存続する方向で調整する。出資が実現した場合は、レノボが過半を握る方向だ。

 富士通は今月下旬に今後の経営方針を発表するとみられる。レノボとの事業統合を方針に盛り込むよう交渉を進めるが、詰めるべき課題も残っており、合意には時間を要する可能性もある。

 富士通は東芝、ソニーから独立したVAIO(バイオ、長野県安曇野市)と統合交渉をしていたが、条件が折り合わず合意できなかった。その後、海外メーカーと交渉を進め、レノボが最有力となった。パ ソコンはスマートフォンやタブレット端末が普及したことで、個人向けを中心に需要が減少している。国内の大手電機各社は立て直しを迫られていた。

 レノボはNECとパソコンの合弁会社を設立しており、日本市場でも3割程度の占有率を持つ。日本ではNECとレノボグループが首位で、富士通が2番手につけている。レノボは富士通と事業統合することで、日 本での足場を固める狙いとみられる。NECとレノボ、富士通の国内での占有率を合計すると、5割近くになる見込みだ。

 

中国6.7%東アジア6.4% 世銀16年のGDP成長率予測

2016年10月05日

 世界銀行は、日本など先進国を除く東アジア地域の2016年の実質国内総生産(GDP)成長率が、6.4%になるという予測を5日、発表した。15年より0.1ポイント低い。中国については、1 5年より0.2ポイント低い6.7%との予測。中国の景気減速傾向が続く一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)など多くの国の経済は、内需の伸びなどに支えられ堅調だとした。チャイナ・ウ オッチがシンガポール発共同通信電として伝えた。

 世銀は、中国の成長減速は「今までのところ秩序だったものだ」と指摘し、地域全体の経済の底堅さにつながっているとしている。

 英国の欧州連合(EU)離脱決定の影響については、「東アジア地域は英国との貿易や金融取引が限られており、影響は小さいだろう」と分析した。ただリスク回避の動きが広がり、円高が一段と進めば、日 本の金融機関がタイやマレーシアから資金を引き揚げるといった恐れがあるとしている。

 東アジア地域の17年と18年の成長率はそれぞれ6.2%、6.0%と見込んだ。

 

日本ファン掘り起こせ=中国で交流集中月間議

2016年10月04日

 文化交流で日中友好の雰囲気を盛り上げようと、北京の日本大使館は10~11月を「日中交流集中月間」とし、日本文化を集中的に紹介するイベントを始めた。地方都市や香港でも交流を進め、さらなる「 日本ファン」の掘り起こしを狙う。チャイナ・ウオッチが北京・香港発共同通信電として伝えた。

 中国では若者を中心に日本のアニメなどに根強い人気があるが、海洋や歴史を巡る政治対立が続いているため、「大声で『日本が好き』とは言えない」(大使館幹部)のが実情。日 本側は文化を突破口に対日イメージを改善し、日中関係の回復につなげたい考えだ。

 10月1日からの国慶節(建国記念日)の連休に北京で開いたアニメ関連イベントには、コスプレーヤーがお気に入りのキャラクターに扮して大集結。バーチャル歌手「初音ミク」になりきった女子高生(15)は 「ここではみんなで趣味を共有できて楽しい。日本とは過去にいろいろあったけど、それとこれとは別問題」と話した。

 北京ではこのほか、和太鼓演奏グループ「倭-YAMATO」の公演やドラえもん祭りを予定。内陸部の湖北省武漢でも同時展開し、学生をターゲットに日本映画の上映会や留学説明会を開く。

 香港の日本総領事館も10月から2カ月にわたり、文化交流イベントを開催。香港は人口当たりの訪日客数が世界一となるなど「日本好き」が多い。アニメソング歌手らの公演、日 本酒試飲会など100以上のイベントで日本の魅力をPRする。

 

溶融塩炉でIAEA初の国際会議

2016年10月03日

 燃料にウランではなくトリウムを使う「溶融塩炉」に関する国際会合を、国際原子力機関(IAEA)が10月末に初めて開く。チャイナウオッチが伝えた。

 溶融塩炉は、現在の原発の大半を占める軽水炉に比べてより安全といったメリットを持つとされる。中国や米国が開発に本腰を入れており、会合を機に、この流れが強まる可能性がある。I AEAの会合は10月31日~11月3日にウィーン本部で開かれる。米、中、インド、日本など約20カ国が参加し、研究状況や開発計画を報告、共同研究の在り方を探る。

 関係者によると、溶融塩炉に熱心な中国は、レアアース(希土類)の生産過程で出る廃棄物からトリウムが得られる点に着目している。実験炉2基を建設する計画を3月に公表した。2 030年までに2千億円を追加投資する見通し。同じくレアアース産出国のインドも関心を持っているという。米エネルギー省は1月、溶融塩炉の研究に取り組む企業に数十億円を助成すると発表した。

溶融塩炉は、燃料に溶け出した不純物が配管に与える影響など課題も指摘されている。発電設備を備える原型炉はまだない。日本が実用化を目指す場合、実験炉や溶融塩の化学処理プラントなど関連施設の建設に、さ らに15年程度、2千億円以上かかるとみられている。

 文部科学省によると次世代炉には、稼働実績がほぼないまま廃炉が決定的な情勢にある「もんじゅ」に代表されるナトリウム冷却高速炉、冷却材にヘリウムを使う高温ガス炉、溶融塩炉などが提案されている。