訪日客拠点に横浜など6港=国選定、クルーズ船対応 自治体と民間が共同整備
2017年01月31日
石井啓一国土交通相は31日の記者会見で、クルーズ船による訪日観光客を増やすため、地方自治体と船の運航会社が共同で施設を整備する拠点港に横浜など6港を選んだと発表した。国や自治体が大型クルーズ船に対応した専用岸壁を整備し、運航会社がターミナルビルなどの旅客施設を建設する。運航会社は国などから無利子で資金の貸し付けを受けられる。
他の5港は清水(静岡)、佐世保(長崎)、八代(熊本)、本部(沖縄)、平良(同)。これ以外にも官民連携による整備を検討している港があり、拠点として追加選定する方向で調整する。
政府は、施設を整備した運航会社が岸壁を優先的に使用できる仕組みを盛り込んだ港湾法改正案を今国会に提出する予定。6港の計画はいずれも法改正を見据え、運航会社に15~20年程度の優先使用権を設定している。法改正後に国交相が、優先使用の対象となる「国際旅客船拠点形成港湾」に指定する方向だ。
横浜港は日本郵船の子会社で豪華客船「飛鳥2」を運航する郵船クルーズなどが投資し、2019年の運用開始を目指す。残る5港は欧米系や香港の運航会社が施設整備に参加し、20年の運用開始を計画している。
石井氏は拠点港に選ばれる意義を「寄港計画が立てやすくなり、長期安定的に寄港させる環境が整う」と説明した。
クルーズ船による16年の訪日客は速報値で199万2千人だった。政府は今後も東アジアの需要が増えると見込み、20年までに500万人に増やす目標を掲げている。
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外国人労働者最大の送り出し国中国に変化も
2017年01月30日
厚生労働省が27日発表した日本で働く外国員労働者数で、中国は前年比6.9%増の34万4,658人と最も多い国となっている。ただ、外国人労働者の3割超を占める最大の送り出し国である中国側の日本を見る目には変化もみられる。デイリーチャイナが、北京、撫遠、上海発の共同通信電として伝えた。
「日本で働く魅力はなくなった」。家族への仕送りなどを目的に日本での就労は人気を集めたが、近年は勢いが陰り、派遣企業が人材確保に苦労するほどになっている。経済発展に伴う国内賃金の上昇で、文化や言葉が異なる日本で働くメリットが減っているのが原因だ。
「当時はうらやましがられたが、稼いだ円を今、人民元に換えると目減りする」。東北部黒竜江省撫遠市のギョーザ屋で働く蘇小晶さん(35)。一人息子を残し、技能実習生として2009年から3年間、宮崎県日南市の服飾工場で働いた。年収は中国東北部の工場勤務の4倍に当たる約12万元(当時のレートで約160万円)。生活を切り詰めて約30万元貯金できた。だが人民元は対円で約3割上昇、今なら年収8万元程度にしかならない。
中国の賃金は上がり、日本で働く魅力は失われつつある。法務省によると、昨年6月末の中国人技能実習生は約8万5千人で、12年末より約2万6千人減った。日本で深刻な人材不足が指摘されるIT分野など、専門性の高い技術を持った中国人もまず自国内で就職先を探す傾向が強まっている。大連の派遣会社では3年前から日本へのIT技術者派遣を停止、代わりに製造業などで専門知識を持つ日本人を中国企業へ紹介する事業を拡大している。
上海市で労働者の海外派遣事業を担当する章勇徳氏は、「中国で就職できず実習生になる人の割合が増えている」と指摘した。質の低下で日本企業側も中国人を敬遠しがちになっているという。
一方で、日本企業の間で「需要」が高まるのは日本で暮らす中国人留学生たちだ。日本の大手派遣会社は「技術や知識は後から教えられるので、日本語能力の高い人材が欲しいという声が圧倒的に強い」と指摘する。中国屈指のグローバル企業である通信大手、華為技術の日本法人でも全従業員900人のうちほぼ半分が中国人で、日本の大学卒業者が中心だ。 最先端技術の開発に加え、日本企業と本社をつなぐ人材として期待は大きいという。
世界粗鋼生産2年ぶり増=16年、中国の内需拡大で
2017年01月27日
日本鉄鋼連盟は26日、世界鉄鋼協会がまとめた2016年の世界の粗鋼生産量が前年比0・8%増の16億2852万トンとなり、2年ぶりに増加したと公表した。世界生産の半数近くを占める中国が政府の経済対策によって内需を拡大したことで、1・2%増の8億837万トンと15年の減少から増加に転じたことなどが影響した。チャイナ・ウオッチが伝えた。
世界3位のインドも政府によるインフラ投資などで7・4%増の9561万トンとなった。一方、日本は熊本地震による自動車の生産減少や人件費高騰による建設の遅れなどで、0・3%減の1億477万トンとなった。
米国は中国、韓国からの輸入に押され0・3%減の7861万トン。欧州連合(EU)も2・3%減の1億6229万トンにとどまった。
日本の鉄鋼大手関係者は17年について「足元の需要は回復してきており、堅調に推移するのではないか」との見方を示した。
中国から海外600万人=春節で、日本は人気2位
2017年01月26日
中国のオンライン旅行大手、携程旅行網(シートリップ)はこのほど、27日から始まる春節(旧正月)の大型連休の前後に海外を訪れる中国人旅行客が600万人に上るとの推計を発表した。推計通りなら過去最高になるとしている。消費額は1千億元(約1兆6500億円)と予想。日本は渡航先ランキングで2位につけた。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として報じた。
中国では伝統的に、春節は実家で家族と過ごすのが一般的だが、シートリップは「旅行先で過ごすニーズが高まってきている」と分析している。
渡航先ランキングは1位がタイ。日本に次ぐ3位は米国で、シンガポール、オーストラリアが続いた。
シートリップは、旅行客1人当たりの予算は1万5千元を超えると推計。消費意欲の旺盛な中国人旅行客を引き寄せようと、日本を含めて各国が、中国人に対する査証(ビザ)発給要件の緩和などを打ち出している。
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16年、震災後初の貿易黒字=12月の対中輸出は好調
2017年01月25日
財務省が25日発表した2016年の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は4兆741億円の黒字だった。暦年ベースの黒字は10年以来6年ぶりで、11年の東日本大震災以降は初めて。原油価格が安く推移したことなどで輸入額が抑えられ、2兆7916億円の赤字だった15年から収支が改善した。チャイナ・ウオッチが伝えた。
同時に発表された16年12月の貿易収支は6414億円の黒字だった。黒字は4カ月連続。中国への輸出額は、自動車やスマートフォン用の部品が好調で、単月として過去最大の1兆3013億円となった。
国・地域別の輸出額は米国向けが14兆1431億円と、対中国(香港を除く)を上回って4年連続のトップ。対米貿易黒字は前年比で4・6%減ったものの、国別で最大の6兆8347億円を占めた。日本の輸出や対日貿易赤字を問題視するトランプ米政権発足の影響について、財務省は「世界全体の経済停滞につながるかどうかきちんと見ていく必要がある」と強調した。
輸出総額は韓国向けの鉄鋼などが振るわず、7・4%減の70兆392億円で4年ぶりの前年割れ。輸入総額は火力発電に使われる原油や液化天然ガス(LNG)の価格下落の影響で、15・9%減の65兆9651億円となり2年連続で縮小した。
地域別では、米国向けの輸出額が円高の影響で7・1%減と5年ぶりに減少。ただ、原油安を追い風に米国の自動車販売が好調だったため、自動車の輸出数量は7・7%増えた。
対中国の貿易収支は4兆6531億円の赤字、欧州連合(EU)との間では1540億円の赤字だった。
ネット接続サービス市場の管理強化
2017年01月24日
中国工業・情報化省がネット接続サービス市場の管理を強化することになった。北京発新華社=中国通信・共同通信電が伝えた。
中国工業・情報化省が、23日明らかにしたところによると、ネット接続サービス市場に対する整理・規範化は、全国範囲で来年、3月31日まで行われる。インターネットデータセンター(IDC)業務、インターネットサービスプロバイダ(ISP)業務、コンテンツデリバリネットワーク(CDN)業務市場に存在する無許可経営、経営範囲逸脱、「多重転貸」(回線の転貸)などの違法行為を法に基づき取り締まる。
同省は次のように述べた。企業の主体責任をしっかり履行させ、経営許可と接続資源の管理を強め、ネット情報安全管理を強化し、公平でルールのある市場秩序を守る。各通信管理局が管轄内のIDC、ISP、CDN業務を提供する企業の状況を徹底調査するよう求める。
注目されている点は、電信主管部門の認可を得ずに、独自に専用線(仮想プライベートネットワーク、VPNを含む)やその他の伝送路を構築、レンタルして、越境経営活動をしてはならないとしていること。通信インフラ企業はユーザーに国際専用線を貸し出す際、集中的にユーザーリストを作成し、ユーザーに対し、用途は内部業務に限られ、域内外のデータセンターまたは業務プラットホームに接続して電信業務の経営活動をしてはならないと明確にしなければならない。
軍民融合発展委員会を新設
2017年01月23日
22日開かれた中国共産党政治局会議で、「中央軍民融合発展委員会」の設立が決まった。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。
新華社電を基にした記事によると「中央軍民融合発展委員会」は、民間企業の軍需産業への参入促進などを目的としている。委員会の主任は、習近平党総書記(国家主席)が務める。
「軍民融合」の推進は昨年3月の全国人民代表大会(全人代)が採択した新中期経済目標「第13次5カ年計画」(2016~20年)に盛り込まれている。海洋や宇宙、サイバーなどの分野で、先端技術を持った民間企業の軍需産業参入を促進させるのが主な狙い。軍事技術の民間利用も図る。
軍民融合の目標には「国防動員体制の整備」も掲げられ、愛国主義を中心とした国民の国防教育の強化や、退役軍人の適切な管理も目指すとしている。
中国成長率26年ぶりの低水準
2017年01月20日
中国国家統計局が20日発表した2016年の国内総生産(GDP)速報値によると、中国の実質経済成長率は6.7%で、26年ぶりの低水準となった。主因は民間投資の低迷。公共事業の拡大や不動産市況の過熱に支えられ、景気の失速を回避した面が大きい。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。
6.7%は前年に比べ0.2ポイントの減速で、天安門事件の翌年、米欧による経済制裁の影響を受けた1990年(3.9%増)以来の低水準。中国経済は先行き不透明感が拭えず、世界経済の波乱要因となりそうだ。対中強硬派のトランプ次期大統領が20日に就任する米国との間で貿易摩擦が激化する懸念が拭えないことなどが、中国経済の不安要因として指摘されている。
16年の主要統計指標を見ると、企業の設備投資などを含む固定資産投資は前年比8.1%増で、15年の10.0%増から減速した。うち民間投資は15年の10.1%増から3.2%増に大きく落ち込んだが、政府が公共事業を増やして下支えした。不動産開発投資は6.9%増となり、15年の1.0%増から大きく伸びた。政府が景気刺激策の一環で住宅購入規制を緩和し、投資マネーが流入した。
工業生産は6.0%増で、15年より0.1ポイント減速。消費動向を示す小売売上高は10.4%増と15年より0.3ポイント低下した。ただ16年12月の単月では前年同月比10.9%増と、16年を通じて最も高い伸び率となり、足元の景気持ち直しの一因となった。
中英結ぶ貨物列車第1便ロンドン到着
2017年01月19日
中国浙江省と英国ロンドンを結ぶ国際定期貨物列車の第1便が18日、ロンドンに到着した。チャイナ・ウオッチがロンドン発共同通信電として伝えた。
この国際定期貨物列車は、中国が掲げる現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の一環。1月1日、浙江省義烏を出発し、ロシア、ポーランド、ドイツ、英仏海峡トンネルなどを通る約1万2千キロを18日間かけて走り抜いた。
英メディアによると、貨物列車はロンドン東部の駅に到着した。積み荷は、日用雑貨の世界的な卸売市場である浙江省義烏からの衣類が中心。要した日数は、中国と英国を結ぶ海上輸送に比べ半分程度になるという。中国は中央アジアを経由した鉄道物流に力を入れている。
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年内に演算速度天河1号の200倍スパコン試作
2017年01月18日
中国が、演算速度1秒間に1エクサ回(100京回)という次世代スーパーコンピューターの試作機を今年末までに開発する計画を持つことが明らかになった。中国通信=共同通信電が伝えた。
17日天津発新華社電を基にした記事によると、天津スパコンセンターは国防科学技術大学と協力して昨年、研究開発を開始した。これまでに一応の成果を収め、今年末までに開発に成功する見込みとなった。現在開催中の天津市第16期人民代表大会第6回会議に出席している張婷 天津スパコンセンター応用研究開発技師長(天津市人代代表)が同日、記者の取材に応じ、明らかにした
100京級スパコンは「エクサスケール・スパコン」とも呼ばれ、人類が直面するエネルギー危機や汚染、気候変動など重大な問題の解決に大きな役割を果たすと期待されている。中国の第13次5カ年計画期(2016―20年)高性能コンピューター研究で国防科学技術大学、ハイテク企業の中科曙光、江南計算技術研究所が認可を受け、100京級スパコンのプロトタイプシステム研究開発に取り組んでいる。
16年の対外直接投資44%増=中国当局は資本流出警戒
2017年01月17日
中国商務省は16日、2016年の対外直接投資額(金融を除く)が1701億1千万ドル(約19兆4千億円)だったと発表した。過去最高額とした15年に比べ44・1%増加した。中国政府は海外への資本流出を食い止めようと対外投資を行う企業への管理・監督を強化している。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として報じた。
対外投資の増加は、中国企業が国際競争力を高めようと海外企業の合併・買収(M&A)を積極的に行ったことが主因。人民元の先安観から企業が外貨資産の購入を進めたことも一因とみられている。
中国政府の監督強化に伴い、16年12月単月の対外直接投資額は急減、前年同月比39・4%減の84億1千万ドルとなった。
16年通年の対外直接投資のうち中国企業の海外M&Aは742件に上り、取引額は1072億ドル。昨年6月には、家電大手の海爾(ハイアール)集団が米電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を買収。家電大手、美的集団は東芝の白物家電部門を買収した。
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電子機器ゴミ発生量最多は中国、2位日本
2017年01月16日
古いパソコンや携帯電話などの「電子機器ごみ」の発生量が東アジアや東南アジアで急増し、トップは中国、2位日本、3位韓国であることが分かった。チャイナウオッチが伝えた。
15日、国連大学と環境省が公表した報告者は、調査対象となった12カ国のうち、2015年の発生量が最も多かった中国は668トン。次いで日本が223万トン、韓国が83万トンとなっている。次々 に登場する新製品への買い替えペースが速まり、まだ使える機器が大量に捨てられた結果と言えそうだ。水銀や鉛などの有害物質も含まれるため、人体や環境への影響が懸念される。
経済成長を続ける中国は2011年に米国を抜いて世界最大のパソコン市場になった。電子ごみの規制に乗り出したが回収の仕組みが確立されてなく、個人消費の伸びを背景に2010年から5年間で発生量が倍増した。
日本は法律による家電機器の回収が進んで5年間で13%の増加にとどまった。 ただ日本は国民1人当たりの電子ごみの量が多いのが特徴。使わなくなった携帯電話が自宅などに放置されて回収できていないなど課題も抱える。
有害物質を含む電子ごみを巡っては、日本などの先進国からリサイクル目的のスクラップに混入して発展途上国に輸出されるトラブルも起きている。途上国での環境汚染や健康被害が懸念され、日本は法改正で電子ごみの輸出防止を進める方針だ
東アジアと東南アジア全体の発生量は、1,230万トンに上る。国連大学は「製品が短期間しか使われず、どんどんごみが増えている。適切に回収してリサイ クルするべきだ」と指摘している。
北斗システム20年には全世界をカバー
2017年01月13日
北斗衛星測位システムは2018年に「一帯一路」沿線国、20年には全世界をカバーする見込みであることが、10日開かれた第2回北斗民用推進会で明らかになった。チャイナ・ウオッチが中国通信=共同通信電として伝えた。
北京発新華社電を基にした記事によると、北斗システムは国民経済と国防建設の各分野での応用が深まり、核心技術のブレークスルーを果たし、応用の産業化、大規模化、一般化、国際化の新たな段階に入っている。中国衛星ナビ測位応用管理センターの付勇・主任は、北斗システムは稼働以降、安定的に運営され、一貫して良好な活動状態を保ち、現時点で民間ユーザーが1,000万レベルに達している、と語った。
観測データによると、北斗の受動測位サービスはシステムの全性能が設計要求を満たしており、中でも測位精度、時刻精度などの重要指標は設計値を大きく上回っている。これまでに累計で受動測位サービスを12億回、ショートメールサービスを61億回、双方向時刻配信サービスを9,000万回余り提供した。昨年はユーザー数とサービス回数が大幅に増え、新規のネットワーク登録ユーザーが7万を超え、受動測位サービスを2.5億回、ショートメールサービスを30.8億回、双方向時刻配信サービスを833万回提供した。
現在、北斗グローバルシステム建設は加速しており、試験衛星を5個打ち上げた。今後のネットワーク建設計画によると、2018年に「一帯一路」沿線国をカバーして基礎的サービスを提供し、20年前後には全面完成して全世界をカバーするサービス能力を備え、グローバルシステムの測位・時刻の精度、ノイズ耐性、システム容量などが北斗2号より大幅に向上する見込みだ。
北斗民用推進会は中国衛星ナビ測位応用管理センターが主催したもので、「北斗ナビ民用サービス資格機関リスト」と「北斗ナビ製品品質検査機関リスト」が発表された。付主任は、常に平和利用、平等互恵、共同発展の原則を堅持し、開放と包摂、協力と共有の姿勢で北斗システムが大発展、大交流、大協力の新たな時代に進むよう後押ししていく、と語った。
台湾25年までに原発停止する法案可決
2017年01月12日
台湾で2025年までに全ての原発を停止する法案が可決された。チャイナ・ウオッチが台北発共同通信電として伝えた。
11日、台湾の立法院(国会、一院制)が可決した電気事業法改正案は、「原子力発電設備は25年までに全て運転を停止すべきだ」と明記している。台湾の原子炉(3原発6基)は25年までに順次、40年の運転期間を終えるが、運転期限を延長しない姿勢を明確にした。東京電力福島第1原発事故後、欧州ではドイツなど脱原発にかじを切った例があるが、日本のNPO法人「環境エネルギー政策研究所」によると、アジアでは台湾が初めて。総統令を経て発効する。
改正法には、代替の再生エネルギー拡大を進める内容も盛り込まれている。国営企業の台湾電力が独占する電力事業の自由化を2段階で実施。第1段階では1~2年半以内に再生エネの発・売電を自由化し、6~9年以内に台湾電力を発電と送電に分社化する。第2段階では火力など他の電力も自由化する内容で、再生エネビジネスを掘り起こす狙い。現在の再生エネによる発電比率は約4%で、これを25年までに20% に引き上げ、約16%の原子力を補完する計算だ。
ただ、予算の裏付けは明確でなく、代替エネを本当に確保できるのか疑問も多い。また、再生エネへの投資により電力価格が上がることへの懸念も出ている。
世界的には先進国で脱原発の声が高まる一方、新興国では原発推進が目立つ。ドイツは22年までの全原発閉鎖を決め、スイスも34年までに順次、運転を停止する方針。一方、アジアでは高い成長が続く中国やインドで新たな原発建設が続いており、日本の安倍政権は原発輸出を成長戦略の要と位置付けている。
台湾の原発は、台湾電力第1、第2原発(新北市)、第3原発(屏東県)にそれぞれ2基の原子炉がある。このうち2基はトラブルのため稼働を停止、1基は点検中。原子炉などを日本メーカーが輸出し、建設中だった第4原発(新北市)はトラブルが相次ぎ、14年に工事が凍結された。
中国第3世代原発技術 英国が包括的設計審査受理
2017年01月11日
中国国有原発企業、中国広核集団とフランス電力(EDF)が共同提出した中国独自開発の第3世代原発技術「華竜1号」の包括的設計審査申請を英国が受理した。チャイナ・ウオッチが中国通信=共同通信電として伝えた。
広州発の新華社電を基にした同記事によると、中国広核集団が10日夜、この事実を明らかにした。包括的設計審査は、新設する原子炉の設計について安全性と環境影響を包括的に評価する手続き。中国広核集団とフランス電力の合弁会社GNSが申請した、「華竜1号」の英国進出のための技術的前提で、英国および世界の原発市場進出へ鍵となる一歩を踏み出したことを示している、としている。
中国広核集団とフランス電力は、昨年9月29日、英国政府との間で英国が新たに建設する原発プロジェクトについて包括的協力取り決めと政府取り決めに正式調印した。取り決めによると、中国広核集団とフランス電力はヒンクリーポイントC、 サイズウェルC、ブラッドウェルBの3大原発プロジェクトを共同で建設する。そのうちブラッドウェルBは中国広核集団が主導し、フランス電力が参加するもので、双方の開発段階の出資比率が66.5%と33.5%で、「華竜1 号」を採用する。安全レベルは米国、フランス、ロシアなどの世界の主流第3世代原発技術に匹敵し、経済性により優れている、とされている。
アリババも米で新規雇用へ
2017年01月10日
中国の電子商取引最大手アリババグループの馬雲会長は9日、トランプ次期米大統領とニューヨークで会い、米国内で自社のサービスを拡大し、新規雇用につなげる計画を表明した。チャイナ・ウ オッチがニューヨーク発共同通信電として伝えた。
計画によると、米中西部の農産物を中心に、アリババのインターネット通販網を通じて 中国の消費者に販売する。100万の小規模事業者の支援を目指しているという。
米メディアによると、馬雲氏は面会後、記者団に「米中関係をさらに強固にし、より友好的にする」と発言した。トランプ氏は「(馬雲氏と共に)偉大なことをする」と述べた。
アリババグループと関係の深いソフトバンクグループの孫正義社長も昨年12月、トランプ氏と会い、米国企業に500億ドル(約5兆8千億円)を投資して5万人の雇用を創出すると表明している。
中米共同開発の原子炉保護システム許可
2017年01月06日
中国と米国の企業が共同開発した原発用原子炉保護系が、中国国家核安全局と米原子力規制委員会(NRC)の許可を受けた。中国の国家電力投資集団(国家電投)は、中 米両国から許可された世界初の原発用原子炉保護系(RPS)になった、と発表した。チャイナ・ウオッチが北京発新華社=中国通信電として伝えた。
国家電投によると、許可されたのは、国家電投傘下の国核自儀系統工程(システムエンジニアリング)有限公司と米ロッキード・マーティン社の共同開発によるセーフティレベル・デ ジデジタル計装システムの汎用プラットホーム(登録商標NuPAC)。デジタル計装システムは原発の「神経系」と呼ばれている。原子炉保護系であるNuPACプラットホームはその中で最も大事なコア技術で、原 発で地震、津波などが起きた非常事態下で、原子炉の安全な停止を保証することができ、原発の「安全弁」に相当する。
中国側はNuPACプラットホームの完全な自前の知的財産権を有する。中米両国政府それぞれの許可を得たことは、国核自儀が国内でさまざまの原発ユニット向けに核レベル・デ ジタル計装システムを供給する能力と資格を備え、海外企業のこの分野における長期的独占を打破し、また中国の原発技術が世界に向かい、欧米市場に進出するための「アクセスカード」を提供したことを意味している、と 国家電投は言っている。
「NuPACプラットホームの最大の強みは一層安全で信頼でき、反応がより速いことだ」。国核自儀公司の邱韶陽社長はこのように述べ、さらに次のように指摘した。国際原子力機関(IAEA)推 奨の回路アレイ「FPGA(Field Programmable Gate Array)」に基づいていることから、運用に当たっていかなるソフトウエアも必要としない。 電気回路を組み合わせ、完 全に固定化された「ハードウエア」であるため、 ユーザーに引き渡された後は誰であってもそのハード回路は変更できず、 ウィルスや人為的な攻撃を効果的に防ぐことができる。
邱氏はまた、現在世界の他の機関から供給される原子炉保護系はすべて伝統的なCPU(中央処理装置)技術を基にしており、コンピューターを使用する際さまざまのソフトをインストールできるように、シ ステムにソフトウエアを侵入させ、ウィルスに感染させて情報資料を盗み取る可能性がある、と語った。
NuPACプラットホームはあらゆる原子炉型式の原発ユニット、各種民生用核動力装置に使用されるほか、大型タービン、軌道交通など高い安全性、信 頼性が求められるハイエンド工業制御分野にも用いることができる。国家電投は、最初に使用されるのは山東栄成のCAP1400モデル発電所、とも話している。
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北京で深刻な大気汚染続く=欠航多発、高速道路も閉鎖
2017年01月05日
【北京共同】 中国北京市では1日から深刻な大気汚染が続き、市当局は4日までに、4段階で2番目に深刻な「オレンジ警報」を出した。米大使館のウェブサイトによると、北京市の微小粒子状物質「PM2・5 」を含む汚染指数は3日夜から4日朝まで最悪レベルの「危険」を上回る「指標超」の状況が続いた。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。
北京国際空港では4日、濃霧による視界不良のため欠航が多発、各地で高速道路の閉鎖も相次いだ。北京市などでは深刻な大気汚染が8日まで続くと伝えられている。
中国中央気象台も広範囲で視界不良が予想されると注意を呼び掛けた。中国の通信社、中国新聞社などによると、天津市や河北省、山東省、河南省などで大気汚染が深刻化しており、一 部地域では視界が50メートル以下となった。
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中英結ぶ貨物列車運行開始
2017年01月04日
中国浙江省義烏と英ロンドンを結ぶ国際定期貨物列車の運行が、1日始まった。両国間の直通貨物列車は初めて。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。
現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国は、欧州との経済関係強化のため、中央アジアを経由した鉄道物流の充実を図っている。義烏-ロンドン間の運行距離は約1万2千キロ。新 疆ウイグル自治区の阿拉山口(アラシャンコウ)で通関、カザフスタンやロシア、ポーランド、ドイツ、フランスなどを経由し、英仏海峡トンネルを通って18日間でロンドンに到着する予定だ。
運行会社の責任者によると、貨物は衣類などが主。海上輸送に比べて輸送時間を1カ月近く短縮でき、コストは航空便の20%程度だという。浙江省は製造業が盛んで、義 烏は日用雑貨の世界的な卸売市場としても知られる。
欧州直通定期貨物列車は、昨年4月、武漢から今回のルート同様、カザフスタン、ロシア、 ポーランド、ドイツなどを経由した後、フランスのリヨンに至る最初の列車が運行を始めた。これにより、そ れまで武漢からほとんどが船で50~60日間かけて運ばれていた貨物が、16日間でリヨンに着くようになった。