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民営・零細向け融資強化=銀保監会副主席が表明

2018年10月31日

 中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は、中国共産党と政府による民営企業・小規模零細企業重視の方針に基づき、これらの企業に対する銀行など金融機関の融資をさらに後押ししていく方針だ。銀保監会の王兆星副主席が30日の記者会見で明らかにした。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。

 王氏は、1社当たりの与信額が500万元(約8,060万円)を下回る小規模零細企業向け銀行貸出金の残高が9月末時点で8兆9,000億元超と、前年同期比19.8%増えるなど、銀行の民営企業・小規模零細企業向け融資が進んでいることを示すデータを挙げた。その上で、民営企業はなお資金調達難と調達コストの高さに直面しているとして、銀行や保険会社が民営企業に対するサービスを一層強化するよう、さらなる奨励策を進めると説明した。

 施策として王氏は、監督管理面から民営企業・小規模零細企業向け融資を奨励するほか、銀行や保険会社に対し、経営戦略や顧客市場の位置付けで民営企業・小規模零細企業をより一層重視するよう指導していく方針を示した。

 さらに人事考課面で、民営企業・小規模零細企業向け融資やサービスで実績を上げた従業員に高評価を与えるよう金融機関に求めていく考えを表明。民営企業・小規模零細企業向け融資でリスクや損失が出た場合でも、融資担当者や管理責任者が職責を全うしていれば免責すべきとも述べた。新規貸し出しに際し、民営企業・小規模零細企業の比重を今後さらに高めさせる方針も示した。

 

中国輸入博に3千社超=日本は国別で最多出展

2018年10月30日

 中国政府は、11月5日から上海で開く中国国際輸入博覧会に、世界130カ国以上から3千社超が参加する見通しだ、と29日発表した。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本は国別で最多となる約380の企業・団体が出展する見込み。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 博覧会は、各国政府や国際機関の要人も数多く出席する予定で、10日まで開かれる。中国政府は輸入博を今年開く最重要の外交イベントの一つと位置付けており、5日の開幕式では習近平国家主席が演説する予定。米国との貿易摩擦がエスカレートする中、自国市場を開放する姿勢をアピールし、国際世論を味方につけたい考えだ。

 米国は政府高官の出席は見送るが、半導体のクアルコムなど米企業は出展を予定している。日本からはトヨタ自動車やパナソニックなどの大企業のほか、中小企業も多数参加し、巨大な中国消費市場への売り込みを図る。

 中国商務省の傅自応次官は29日の記者会見で「中国は輸入博を通じて グローバル経済の推進に貢献したい」と抱負を述べた。

 

ETF相互上場で協力=JPXと上海証取

2018年10月29日

 東京証券取引所を傘下に置く日本取引所グループ(JPX)は26日、中国の上海証券取引所と投資促進に向けた協力の強化で合意し、覚書を締結した。株価指数に連動する上場投資信託(ETF)を相互に新規上場させることを推進する方向で協議していく。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 JPXによると、東証では中国の株価指数に特化したETFが既に4銘柄上場しているが、上海証取は日本株のETFの取り扱い実績がないという。上海証取に東証株価指数(TOPIX)連動型のETFが導入されるなど、日中双方で上場銘柄が増えれば、両国をまたいだ投資活動が活性化する効果が期待できる。

 

イノベーション協力対話の設立確認 安倍首相、李首相との会談で

2018年10月26日

 安倍晋三首相と李克強中国首相との会談が26日、北京の人民大会堂で行われ、先端技術協力と知的財産権保護を目的とした「イノベーション協力対話」の設立を確認した。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 安倍氏と李氏との会談は5月の東京開催以来。両氏は、第三国でのインフラ開発協力や、北朝鮮の非核化に向けた緊密な連携でも一致した。李氏は、中国が東京電力福島第1原発事故以来続けている日本産食品の輸入規制緩和を積極的に検討する、と表明した。

 両氏は東シナ海を平和、協力、友好の海にするために前進していくことでも一致した。さらに海難事故時の協力を定めた「日中海上捜索・救助(SAR)協定」の締結や、中央銀行同士が通貨を融通し合う通貨交換協定の再開で一致した。

 会談後、安倍、李両氏は成果文書の署名式に立ち会った。

 

日中の通関手続き簡素化へ=首脳会談合わせ相互承認

2018年10月25日

 中国商務省の高峰報道官は18日の記者会見で、安倍晋三首相の25日からの訪中に関して「両国経済は相互補完性が強い。双方が強みを発揮し合う経済協力を展開したい」との期待を示した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 AEOは貨物輸送の安全性や法令順守などに関する優良業者を認定し、書類審査などの手続き負担を軽減する制度。手続きの所要時間を3分の1程度と大幅に短縮できるため、生鮮食品などの輸出促進が期待できる。

 日本では約700、中国では約3100の事業者が税関当局から認定を受けている。

 

日中、介護サービスで協力=高齢化が共通課題

2018年10月24日

 日中両政府は23日、平和友好条約の締結40周年を記念するイベントの一環として「介護サービス協力フォーラム」を北京で開いた。両国共通の課題である高齢化社会への対応について意見交換。企業同士で11件の覚書を結び、具体的な協力を進めていくことでも合意した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 日中の政府や企業の関係者ら約450人が参加。中国国家発展改革委員会の欧暁理・社会発展局長は「中国は高齢者数が2億4千万人に達し、進展のスピードも速い。いち早く高齢化社会に突入し、経験を積み重ねてきた日本とこの分野で協力することには大きな将来性がある」と語った。

 具体的な事例として、日立製作所が中国企業と共同で新たな医療・養護サービスを開発することや、日本の介護用品メーカーが中国企業と組み、中国市場を開拓していくことなどで合意した。

 

世界最長の海上橋開通式=中国と香港、マカオ連結

2018年10月23日

 中国本土の広東省珠海と「一国二制度」下にある香港、マカオを結ぶ海上橋「香港・珠海・マカオ大橋」の開通式が23日、珠海で開かれた。一般車両の通行開始は24日。海底トンネルなどを含めた全長は約55キロで世界最長とされ、3地域間のアクセスの向上により物流や観光業、産業の発展を促進する。チャイナ・ウオッチが珠海発共同通信電として伝えた。

 習近平指導部が重視する国家戦略「ビッグベイエリア構想」の中核プロジェクトの一つ。開通式には習国家主席も出席した。

 同構想は先端企業が集まる深圳など広東省9市と、国際金融センターの香港、カジノで有名なマカオを一体化させ、東京や米ニューヨークに匹敵する大経済圏構築を目指す。現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」とも連動させる。

 自動車専用道路で、香港国際空港に連結する人工島から海底トンネルや橋を経由、これまで陸路で約4時間かかっていた珠海-香港国際空港間は45分に短縮される。通行は許可を受けた車両に制限され、小型車の料金は150元(約2400円)。3地域それぞれの出入境手続きが必要だ。

 大橋は2009年に着工したが、工期が大幅に遅れ、中国メディアによると総工費は1千億元超に膨らんだ。

 ベイエリア構想を巡っては、広東省広州と香港を結ぶ高速鉄道も9月に開業、中国本土と香港の一体化が加速している。

 

パンダ貸与で基本合意へ=安倍首相の訪中時 関係改善を象徴

2018年10月22日

 安倍晋三首相の25日からの訪中に合わせ、中国から日本への新たなジャイアントパンダ貸与に向けて両国政府が基本合意することが19日、分かった。来年6月を見込む習近平国家主席による就任後初の訪日の際に正式決定を表明する案が中国政府内で浮上している。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 日中両政府はパンダを関係改善の象徴としたい考え。日中関係筋によると、安倍氏の訪中の際、両国が貸与に関する文書に署名する方向で調整が進められている。

 中国は1972年に日中国交正常化を記念し、東京・上野動物園にカンカンとランランを贈り、日本はパンダブームに沸いた。中国から日本へのパンダ貸与は、関係改善への強い意欲を示すものとみられている。

 安倍氏は訪中時に、習氏か李克強首相いずれかとの個別会談で、ジャイアントパンダの貸し出しを要請する方針だ。関係筋によると、中国側は積極的に検討する考えを既に日本側に伝えている。

 中国政府関係者によると、基本合意を受け、習氏が来年6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせて訪日する際に貸与を正式決定する案が検討されており、頭数や日程などを協議する。受け入れ先は仙台市の八木山動物公園、神戸市立王子動物園が候補となっている。

 中国はパンダ提供を通じて相手国との関係強化を図る「パンダ外交」を各国と展開している。日本へのパンダの新規貸与が実現すれば、2011年2月以来。同年12月の日中首脳会談の際は、日本への新たなパンダ貸与で合意し、八木山動物公園が受け入れ先に決まったが、12年の沖縄県・尖閣諸島国有化などの影響で滞り、実現していなかった。

 

日本と相互補完の協力期待=中国商務省、安倍氏訪問で

2018年10月19日

【北京共同】 中国商務省の高峰報道官は18日の記者会見で、安倍晋三首相の25日からの訪中に関して「両国経済は相互補完性が強い。双方が強みを発揮し合う経済協力を展開したい」との期待を示した。

 日中両国は安倍氏の訪中に合わせ、第三国市場でのインフラ投資協力に関するフォーラムを開催。両国企業による具体案件の署名式も予定している。イノベーション(技術革新)を巡る協力や知的財産権問題に関する対話の場を新設することも検討している。

 高氏は、トランプ米政権を念頭に、日中両国が共同で「一国主義や貿易保護主義に反対し、開放的な世界経済の発展を促進していくことを希望する」とも語った。

 中国は米国との貿易摩擦の影響を和らげるため、日本との関係改善を急ぎ、日中間の貿易や投資を促進したい考えとみられる。

 

中国長城汽車がインド本格進出=2021~22年をめどに

2018年10月18日

 中国自動車大手の長城汽車が2021~22年をめどに、インドに本格進出することが分かった。中国系メーカーのインド参入計画が明らかになるのは、上海汽車集団(SAIC)傘下の英系MGモーター・インディアに続き2社目。チャイナ・ウオッチがエコノミック・タイムズ(電子版)の報道を転電したNNA配信として伝えた。

 長城汽車はこれまでにインドに研究開発(R&D)拠点を設け、電気自動車(EV)向けのソフトウエアのプログラミングや人工知能(AI)の研究を行っている。同時にインドでの完成車生産と販売を見据えて、5年以上にわたる市場調査も実施。インド自動車市場が長城汽車が主力とするスポーツタイプ多目的車(SUV)やEVにシフトしつつあることから、「戦える市場」と判断し、参入を決めたとみられる。

 長城汽車は中国のSUV最大手で、昨年は93万8,282台のSUVを販売した。「哈弗(ハーバル)」と「WEY」のSUV2ブランドとピックアップトラック(PUT)「風駿(ウイングル)」、セダン「長城(グレートウォール)」、新エネルギー車(NEV)「欧拉(ORA)」の計5ブランドを展開している。

 一足先にインド進出を決めたMGモーター・インディアは、19年にインド産のSUV、20年にEVをそれぞれ発売する計画であることが分かっている。英調査会社IHSマークイットの関係者は中国系自動車メーカーについて、「自国の需要鈍化から、海外の成長市場の開拓を余儀なくされている」とコメント。中国勢によるインド進出の動きは、今後ますます加速すると予測される。

 

日通、中国と欧州結ぶ貨物輸送事業説明=上海のシンポジウムで

2018年10月17日

 中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」を巡り、日中による第三国での協力の在り方を探るシンポジウムが16日上海で開かれ、日本通運が中国と欧州を結ぶ鉄道網を利用した貨物輸送事業について説明した。チャイナ・ウオッチが、上海発共同通信電として伝えた。

 日通の杉山龍雄・常務執行役員は「輸送時間の短縮などで多くの日系企業がメリットを享受できる」と事業の意義を語った。シンポジウムは、来週の安倍晋三首相が訪中する際に開催される第三国でのインフラ投資に関するフォーラムの事前イベントで、日通と日本貿易 振興機構(ジェトロ)上海事務所が主催した。日本政府は日中両国による第三国協力の柱として、中欧間の貨物鉄道の活用を打ち出す予定だ。

 日通は経済産業省から委託を受け、国境地点の貨物積み替え作業や関税手続きなどを調査した。輸送サービスの質を確保できると判断、年内に自社専用の列車を仕立て西安からドイツ・デュイスブルクまでの臨時便を運行させる。事業を通じて中国側に運行ノウハウを提供する考えもある。

 中国と欧州を結ぶ定期貨物列車は「中欧班列」と呼ばれ、中国の約50都市と欧州の10カ国以上、約40都市を結ぶ。自動車部品や機械設備などを運び、運行本数は今年中に5千本を超える見込み。

 

とき色羽ばたかせ大空に=野生復帰10年で放鳥式

2018年10月16日

 国の特別天然記念物トキの野生復帰から10年を記念して15日、新潟県佐渡市の両津運動広場で放鳥式が開かれ、市内で飼育された11羽のトキが次々に飛び立った。環境省と県、市の共催で、秋篠宮家の長女眞子さまも出席され、トキの入った箱のテープをカットした。

 トキが2003年に日本で絶滅して以降、中国産の個体の繁殖が始まり、環境省が08年から10年間で放鳥してきた飼育個体は308羽。今年9月現在、野生下での個体数は推定約350羽に達し、定着化も進んでいる。

 市などによると、近年はケージから自然に飛び立つのを待つ方法が取られていたが、今回は多くの人が放鳥作業に参加できるよう、1羽ずつ箱に入れた状態から飛び立たせる「ハードリリース」方式を10年ぶりに採用。トキは箱のテープが切られると、淡い桃色を表す「とき色」の羽を見せながら飛んでいった。

 9月25日に放鳥から10年を迎え、今月14日には同市で記念式典やフォーラムが開かれた。17日には中国から約11年ぶりにトキ2羽が提供される。

 

首脳会談模索を示唆=中国、トランプ米政権と

2018年10月15日

 トランプ米政権が中国側に11月末の首脳会談開催を打診したとの米メディアの報道を巡り、中国外務省の陸慷報道局長は12日の定例記者会見で「双方は各レベルの対話について意思疎通を続けている」と述べ、会談実現を模索していることをにおわせた。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 米国との対立が激しさを増す中、中国政府は米国批判を続けているが、米国が正式に求めれば首脳会談に応じる構えだ。だが、南シナ海や台湾の問題を巡る立場の隔たりは大きく、本格的に関係が改善するかどうかは不透明だ。

 米国はこのところ、中国による産業スパイ活動や中間選挙への介入などを相次ぎ指摘し、中国は猛反発している。12日付の共産党機関紙、人民日報は「米国は貿易摩擦だけでなく、いまやあらゆる面で中国を非難している」と懸念を示した。

 ただ、習近平指導部は米国との対話重視の基本方針は崩していない。陸氏は11日にも「中国と米国の関係は長年にわたって発展し、利益は融合している。関係発展を促進する言動を増やすべきだ」と指摘していた。

 それでも米国の台湾重視の姿勢は中国には容認できない。軍事拠点化を進める南シナ海でも、米国による「航行の自由」作戦に強く反発している。トランプ政権が対中強硬姿勢を取り続ければ、首脳会談の実現は遠のくとみられる。

 

北京で日中韓漫画コンテスト開幕=「手塚賞」設け作品募集

2018年10月12日

 漫画を通じて日中韓の交流を図る漫画コンテスト「悟空杯」が11日、北京で開幕、来年4月の授賞式に向けて3カ国から作品を募集する、と主催者の中国外文局が開幕式で発表した。手塚治虫(てづか・おさむ)さん(1928~89年)の作品を手掛ける手塚プロダクションが後援し「手塚治虫生誕90周年記念賞」を特別賞として設けることも明らかにした。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 手塚さんのマネジャーを務めた手塚プロダクションの松谷孝征社長は開幕式で、手塚さんが生前、上海を訪れ中国アニメの創始者と交流していたと紹介した。「手塚は『漫画やアニメーションは国境を超える』としきりに言っていた。素晴らしい作品がたくさん集まるといいなと期待している」とあいさつした。

 外文局は中国共産党傘下。来年3月11日まで作品の応募を受け付け、最優秀の「悟空賞」や、学生作品を対象にした「未来の星賞」を選び、4月26日に北京で授賞式を開く予定。入賞漫画は日中韓3カ国語で読めるよう翻訳される

 コンテストは2回目で、初回は2016年に日中両国から作品を募集した。最優秀賞の作者は中国企業がインターネット上で開設する漫画閲覧サイトと契約した。

 

104の国・機関参加へ=北京園芸博に日本など

2018年10月11日

 チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えるところによると、北京市は10日、同市延慶区で来年開かれる「北京国際園芸博覧会」に日本を含む104の国・国際機関の参加が既に決まったと発表した。ほかに参加するのは英国、ドイツ、ロシアや国連教育科学文化機関(ユネスコ)など。中国の各省・自治区・直轄市も展示施設を設ける。

 日本の農林水産省によると、日本は既に会場予定地に日本庭園と屋内展示施設を着工。展示を通じ、中国向けの花卉の輸出拡大につなげたい考えだ。日本庭園は中国人に人気があり、来場者の関心を集めそうだ。

 博覧会は2019年4月29日から10月7日までで、延べ約1600万人の来場を見込む。中国での国際園芸博の開催は1999年に雲南省昆明で行われて以来、20年ぶり。

 

世界債務、10年で5割増=IMF報告、1京9千兆円

2018年10月10日

 国際通貨基金(IMF)は9日(米東部時間)、世界金融安定報告を公表し、政府や金融機関を除く民間企業、家計が抱える全世界の債務総額が167兆ドル(約1京9千兆円)と、世界的な金融危機リーマン・ショックが起きた10年前の2008年と比べ5割近く増えたと警告した。中国は企業や家計に過剰債務の懸念があるとしている。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 危機に対応するため日米欧の中央銀行が金融市場に資金を供給する大規模な緩和策を実施したことを背景に、経済成長を上回るペースで債務が拡大した。大型減税を実施した米国は「公的部門の債務が増大している」と指摘している。日本は「家計や企業は健全なようだ」としながらも、金融部門は低収益環境で潜在的な弱さがあると分析した。

 報告は、ドル高と米国の利上げを新興国の資金流出の主因と説明し、「先進国の金融正常化による逆風に直面し続ける」と分析した。トランプ米政権が仕掛けた「貿易戦争」は輸出主導型のアジア新興国に影響を与えたとし、ブラジルやトルコ、南アフリカの政情不安が通貨安につながったとも指摘した。

 IMFは「最近の金融引き締めが経済の見通しに影響を与えている」とし、新興国の景気減速要因として各国の利上げに言及している。自国通貨安とインフレ対応でアルゼンチンの中央銀行が大幅な利上げを余儀なくされたほか、インドネシアやメキシコ、フィリピンなどが金融引き締め局面に入ったと位置付けた。

 

中国、預金準備率引き下げ=金融緩和で米中摩擦に対応

2018年10月09日

 中国人民銀行(中央銀行)は7日、金融機関から強制的に預金の一定割合を預かる預金準備率を1.0%引き下げる金融緩和措置を発表した。実施は15日から。金融機関が企業などに貸し出せる資金量が増え、市場に正味で7,500億元(約12兆4千億円)を供給する効果 があるという。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 人民銀が預金準備率の引き下げを発表したのは6月24日以来で、今年に入って3回目。企業の資金繰りを支援することで、米国との間で激化する貿易摩擦による景気への悪影響を和らげるのが狙いとみられる。

 中国メディアによると、大手銀行の預金準備率は従来の15.5%から14.5%に低下する。人民銀は「企業の資金調達コストを引き下げる」ことで「実体経済の健全な発展を促進する」ことが狙いだとの談話を発表した。ただ引き締めにも緩和にも偏らない「穏健・中立」な金融方針は変更せず 「大規模な景気刺激は行わない」とも付け加えた。

 中国は企業債務削減などを優先する経済運営方針によって景気の減速傾向が強まっていたところに米国との貿易摩擦が重なり、国内経済が失速する恐れが強まっていた。既に財政政策を積極化し、インフラ投資の拡大や企業減税を実施する方針を打ち出しており、財政と金融の両面から景気を下支えする。

 米国が利上げを継続する中、中国の金融政策が緩和に向かうことで、人民元相場の下落圧力は一段と強まりそうだ。トランプ米政権は中国の通貨政策も批判しており、為替を巡る米中間のあつれきがさらに強まる恐れもある。

 

22件500億元の事業進出=中国初の宇宙ビジネス拠点

2018年10月05日

 国連貿易開発会議(UNCTAD)が4日までに発表した世界の海運に関する報告書によると、2017年のコンテナ取扱量上位10港のうち、上海(1位)、深圳(3位)など中国が7港を占めた。日本はランク外だった。アジアはシンガポール(2位)、釜山(5位)など8位までを独占、世界の海上輸送で「中心的役割」を果たしていることが示された。チャイナ・ウオッチがジュネーブ発共同通信電として伝えた。

 世界の海上貿易の貨物量は17年、前年比4%増の約107億トン。金融危機の影響で09年に約79億トンまで落ち込んだ後は順調に伸ばした。18年も4%増を見込むが、米中の「貿易戦争」などが不安定要因だとしている。

 コンテナ取扱量は20フィートコンテナ換算で、前年比6%増の約7億5200万個。アジア間の貿易拡大や米国や欧州の需要の高まりからアジアが全体の64%を占め、欧州16%、北米8%と続いた。

 港別では上海が約4023万個、シンガポールは約3367万個。1千万個を超えた港は15あった。日本の港は上位20港に入っていない。国土交通省によると、17年の速報値で東京が約505万個、横浜約293万個、神戸約292万個だった。

 報告書は「世界の海運業界では統合の動きが加速、貨物船の大型化も進むなど競争が激しさを増しており、港も対応を迫られそうだ」と指摘している。

 

22件500億元の事業進出=中国初の宇宙ビジネス拠点

2018年10月04日

 中国初の国家レベル宇宙ビジネス拠点である武漢国家航天産業基地が第4回中国(国際)商業宇宙サミットフォーラムで22の重要プロジェクトを成約し、投資総額が500億元(1元=約16円)余りに達した。チャイナ・ウオッチが武漢28日発新華社の報道を転電した中国通信=共同通信電として伝えた。

 28日、武漢で開催中の第4回中国(国際)商業宇宙サミットフォーラムでわかった。

 フォーラム主催者によると、今回成約したプロジェクトのうち、25億元が投資される中国航天科工二院空間工程プロジェクトが大きな注目を集めている。同プロジェクトは敷地面積約13ヘクタール、建築面積7万平方メートル近くで、武漢国家航天産業基地に載荷及びサブシステム組み立て試験建屋、衛星AIT建屋、マイクロ衛星製造建屋などが建設され、主要製品は虹雲プログラム〈衛星による地球全体をカバーするブロードバンド移動通信サービス〉、高速レスポンス小型衛星及びマイクロ・ナノ衛星、新型宇宙輸送船などとなる。

 このほか、火眼位置低軌道衛星航法補強システム、馭竜科学技術商業ロケット研究開発生産基地、武漢大学宇航〈宇宙飛行〉科学・技術研究院産学研提携プロジェクトなど複数の進出プロジェクトがフォーラムで成約された。

 武漢国家航天産業基地は武漢市新洲区にあり、2016年8月に国家発展改革委員会が正式認可したもので、国内でも一流、国際的知名度も高い宇宙産業の新しい都市と位置づけられている。同基地は総面積68・8平方キロメートルで、東部核心産業区が計画され、新洲区人民政府が華夏幸福基業股份有限公司と共同で構築する。現在、公共インフラと宇宙産業本体プロジェクトの建設が全面的に加速され、一群の宇宙ビジネスプロジェクトが順調に進出しているという。

 

貿易摩擦激化の影響懸念=IMF専務理事

2018年10月03日

 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が1日、 IMF本部で講演し、米国の保護主義的な通商政策を念頭に「貿易摩擦がさらに激しさを増せば、幅広い新興国や発展途上国の経済に打撃を与えるだろう」と懸念を示した。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 ラガルド氏は、世界の経済成長は高い水準にあるものの、米国と中国の「貿易戦争」などを背景に、成長は頭打ちとなっていて「変化し始めている」と警戒感を示した。

 米経済は力強い一方、減速の兆候があるユーロ圏に加え、日本も一定程度その兆しがあるとした。中国は米国との貿易摩擦によって悪化する可能性があり、アルゼンチンなど新興国の一部は米国の利上げで投資マネー流出に直面していると指摘した。

 ラガルド氏は貿易摩擦の改善に向け「より強固で公正な、将来に見合う世界貿易体制の構築が必要だ」と強調した。市場をゆがめる自国企業への補助金支出など問題改善に向けた規則強化が重要との認識を示した。

 また世界の債務は182兆ドル(約2京円)に膨らみ、2007年と比べて約60%も増加したと指摘し、金融市場などの混乱を防ぐため「金融規制を推し進めなければならない」と訴えた。

 

中国で大型連休開始=7億人超が旅行

2018年10月02日

 中国で1日、建国69年の国慶節(建国記念日)を祝う7日間の大型連休が始まった。旅行大手は期間中、延べ7億人超が国内旅行に出掛けると予想。日中関係改善が進む中、海 外の渡航先では日本が最も人気となっている。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 北京では1日、青空が広がり、近年の大気汚染を感じさせない好天となった。市中心部の天安門広場には巨大な花飾りが設置され、観光客らでごった返した。親 子連れやカップルが顔に中国国旗のシールを貼るなどし、思い思いに写真を撮っていた。

 中国国営の中央テレビは空港や高速鉄道、高速道路が混雑する様子を放映した。

 中国のオンライン旅行大手、携程旅行網(シートリップ)は、期間中に中国本土以外の国・地域を訪れる中国人が過去最高の延べ700万人に上ると予測。訪問先は日本がトップで、タイ、香港、韓国と続いた。中 国との貿易摩擦が続く米国は11位だった。

 一方、中国外務省は海外に渡航する観光客に対し、トラブルを起こさないよう「文明的な旅行」を呼び掛け、「現地の法律や規則を順守し、中国人観光客の良好なイメージを意識的に守る必要がある」と強調した。

 

デンソー、中国で合弁会社=電動車向けメーター開発

2018年10月01日

 チャイナ・ウオッチが伝えるところによると、デンソーは28日、自動車関連ソフトウエアを手がける中国企業の光庭と、電動車向けデジタルメーターを開発する合弁会社、電装光庭汽車電子(湖北省武漢)を 12月に設立すると発表した。出資比率はデンソー51%、光庭49%。資本金は1億元(約16億円)で、従業員は90人としている。

 現地で急速に普及している電気自動車(EV)などの需要に対応する。光庭は車載メーターやカーナビのソフト開発で豊富な実績があるという。中国では先進的なデザインのメーターが人気で、光庭と組んで消費者の好みに合った製品開発につなげる。