第24回CRCC研究会「ポスト京都を巡る中国の動きと今後の展望-中国の低炭素戦略とCOP15への対応-」講師:周瑋生(2009年12月 3日開催)

 科学技術振興機構(JST)中国総合研究センター(CRC)の主催により、12月3日(木)「ポスト京都を巡る中国の動きと今後の展望-中国の低炭素戦略とCOP15への対応-」を題目とする研究会がJSTにおいて開催されました。

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 オバマ大統領が打ち出した「グリーン・ニューディール政策」は大いに注目されています。京都議定書の次の枠組について交渉される。今月の気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)もまた、注目されています。その焦点の一つは中国の参加問題です。この情勢を考慮し、CRCでは、「中国経済の行方」と題するシリーズ研究会に次いで、「中国の環境とエネルギー」と題するシリーズ研究会を企画いたしました。その第一回目として、今回は立命館大学政策科学部/立命館サステイナビリティ学研究センター長/立命館孔子学院学院長周瑋生(しゅういせい) 教授をお招きいたしました。

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 周教授は京都大学大学院物理工学専攻を修了され、1995年工学博士を取得された後、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)産業技術研究員、RITE地球環境システム研究室 主任研究員を経て、2002年4月立命館大学政策科学部教授に就任されました。現在、立命館孔子学院院長、副理事長、立命館サステイナビリティ学研究センタ長などを兼務されております。

 主な著書には「地球を救うシナリオ―CO2削減戦略」(共著)、2000年.8月 日刊工業新聞社、「現代政策科学」(共著)、2004年4月 岩波出版社 、「地球温暖化防止の課題と展望」、2005年4月 法律文化社(共著)などがあります。

 周教授の講演では、中国の低炭素戦略の自主目標および、考えられるCOP15への中国の対応の仕方、これに関してこれまで中国が打ち出している政策および行動、今後の低炭素社会づくりの共同体構築の提起の4テーマについて説明および、分析、展望されました。胡錦濤国家主席が今年9月の国連気候変動サミットでの演説で、①2020年までに全エネルギー消費に占める新エネルギーの割合を15%に高める、②二酸化炭素排出量を2020年までにGDP比で05年の水準より著しく減らす方針を示したこと、また、11月26日、中国政府が2020年までに国内総生産(GDP)単位当たりの二酸化炭素排出量を2005年比で40~45%減らすと発表したこと、そして先月、清華大学、ケンブリッジ大学とMITによる「低炭素エネルギー大学コンソーシアム」が北京で設立されたことなどの最新情報も講演で触れられました。

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 周教授の講演によれば、中国は2010年末まで内需拡大のため投入している4兆元(約56兆円)のうち、環境、エネルギー分野には2100億元(約3兆3600億円)を充てています。環境分野では主に都市の汚水・ゴミ処理施設の建設および、主要な河川流域の汚染防止、主要な防護林・天然林資源保護事業の実施、主要な省エネ・主要汚染物質排出削減事業の実施に重点を置いています。エネルギー分野では風力、太陽光、バイオマスなどの新エネルギーの開発、在来エネルギーの技術革新(石炭利用のクリーン化・効率的利用、自動車用新燃料開発など)などを強化しています。また、中国は2020年までに原子力発電所を新たに30基新設し、原発の発電能力を現在の5倍以上の3600万キロワットへ拡大し、その設備投資額は合計で3兆―4兆円に上る可能性があると述べられています。 

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 低炭素社会の実現は、先進国と途上国が共通に目指すゴールです。しかし、日本はすでに世界最高の省エネ・高効率化を達成しており、CO2を一層削減するにはコストが高く、劇的削減は難しいと思われます。一方、CO2排出大国である中国は、削減の可能性は大いにあり、費用対効果も大きいのですが、自助努力には限界があると思われます。しかし両国が協力して、中国の経済成長と公害克服、低炭素化が同時に達成できれば、それは強力な推進力になるでしょう。周教授も、国境を越えた広域低炭素社会(低炭素共同体)の実現を目指すよう提案されています。

 講演後の質疑応答では活発なご議論をいただき、非常に有意義な研究会となりました。最後に中国総合研究センター・藤嶋センター長による挨拶により閉会いたしました。

 今回の研究会は、雨にもかかわらず、多くの官公庁および、企業、大学、研究機関、報道機関、JST関係者のご参加をいただきました。この場を借りて、謝意を述べさせていただきたく存じます。今後も皆様のお役に立てるよう各種研究会を企画、開催してまいりたいと存じます。引き続き皆様の温かいご支援、ご協力をお願い申し上げます。

(中国総合研究センター フェロー 米山春子 記)

 


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