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【14-19】3年ぶり日本開催「日中大学フォーラム&フェア」

2014年 9月11日 小岩井 忠道(中国総合研究交流センター)

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 日中双方とも喫緊の重要課題となっているイノベーション創出に大学と企業がいかに取り組むべきかをテーマにした「日中大学フォーラム&フェア 2014」が10日、東京で始まった。

 中国から参加したのは、中国だけでなく世界でもトップクラスの評価を得ている北京大学清華大学を初めとする24の大学と5つの研究機関、中国国際科学技術会議センター。10日は、国連大学ウ・タ ント国際会議場で、科学技術振興機構中国総合研究交流センター主催、北京大学技術移転センター、中国国際科技会議中心共催のフォーラムが開かれた。

 日中大学フォーラム&フェアは2010年に第1回が東京で開かれて以来、今回が5回目。尖閣諸島問題のため、2012年に予定されていた3回目はいったん開催中止に追い込まれた。しかし、日 中双方の関係者の努力で翌年にずれ込んだものの2012年度中に北京・上海に舞台を移し開催、4回目も引き続き、今年3月同じ北京・上海で開くことができた。5回目の今回は3年ぶりの東京開催となる。イ ノベーションの実現には大学、企業のより密接な提携が必要との観点から、大学、企業にイノベーション創出のための提携機会を提供する恒例のイベント「イノベーション・ジャパン 2014」と同じ会場で初めて開催した。

 10日のフォーラムでは、主催者として「アジアは21世紀の成長センター」と国際産学連携の重要さを強調した中村道治科学技術振興機構理事長に続き、陳剣・中国科技協会国際連絡部副部長が共催者を代表し「 ハイレベルの討議で、日中双方がウインウインの協力モデルを構築したい」と日中協力にかける熱意を披瀝した。

 基調講演者として金子俊彦日本かおり代表取締役に続いて登壇した李俊傑大連理工大学副学長が、立命館大学と大連理工大学が共同運営する「国際情報ソフトウェア学部」を 前日に中国大連市で開講したというホットニュースを紹介するなど、具体的な実績を挙げて日本の大学、企業との協力の重要性を強調した。

 続いて行われたパネルディスカッションで目を引いたのが、中国側パネリストとして登壇した中国の有力大学指導者たちの率直な発言。「産学連携は大学-企業というリニア(単線)型 からネットワーク型へ移行すべきだ」(○〔言べんに西の下に早〕紹浜〔浜は旧字体の浜〕アモイ大学学長補佐)、「国際競争力で日本は世界6位だが中国は29位。日本と共同研究、開発を進め、人 材を融通し合うことで、最終的に中国の市場と日本市場に寄与することができる」(陳東敏北京大学産業技術研究院長)、「大学の成果はそのまま企業化はできない。近代的な管理モデルを投入し、産業の育成、科 学技術インキュベーターを重視するといったな横のつながりが重要」(曹兆敏上海交通大学国家科技園董事長)―など、いずれも自信に裏付けられた言葉が印象に残った。

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