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【14-25】中国の経済成長率減速2016年6.9%に OECD経済見通し公表

2014年11月26日 小岩井 忠道(中国総合研究交流センター)

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 経済協力開発機構(OECD)は11月25日、経済見通し「OECDエコノミックアウトルック」を公表した。世界と国別のGCP(国内総生産)実質成長率の見通しが示されているが、中国は今年7.3%、来年7.1%、再来年6.9%に少しずつ減速するとされている。

 同日、日本のOECD東京センターで記者会見したランダル・ジョーンズOECD経済局日本・韓国課長は「2013年の7.7%から段階的に少しずつ下げていくとみられる。既に不動産市場で調整が起きている」と語った。中国は、金融緩和により景気を下支えすることを狙い、中国人民銀行(中央銀行)が11月21日に、金融機関の貸出・預金金利を引き下げると発表したばかり。2年4カ月ぶりの利下げで、貸出金利は1年物で0.4%引き下げ5.6%に、預金金利は0.25%引き下げ2.75%となった。ジョーンズ氏は「OECDの示した数値は、中国人民銀行による貸出・預金金利を引き下げ決定前に出した予測値」と言っている。

 今回公表された「OECDエコノミックアウトルック」によると、世界全体では経済成長率は低調にとどまり、今年2014年のGDP実質成長率は3.3%。15年は3.7%、16年は3.9%とされた。日本は13年の1.5%から「消費税増税の影響もあり」14年は0.4%に減速する。しかし、「労働市場の改善状況、さらなる金融緩和政策に支えられ」15年は0.8%、16年は1%に回復すると見込まれている。ジョーンズ氏は「最も大きな問題は個人消費の持ち直しが弱いこと。成長率を高めるためには構造改革に取り組むことが重要」と提言した。

 他の国については、中国に次いで高い成長率を示すインドが13年の4.7%から14年5.4%、15年6.4%、16年6.6%と着実な成長が見込まれている。ジョーンズ氏は、新政権の一連の改革を評価した。

米国は14年こそ前年と同じ2.2%だが、15年3.1%、16年3.3%と上向きの数字が示された。ユーロ圏は、「消費、投資共に低迷し、リセッション(不況)、デフレに陥っている」(ジョーンズ氏)と、現状に対する厳しい目が注がれている。13年のマイナス0.4%から14年0.8%、15年1.1%、16年1.7%と、徐々に回復に向かう見通しが示された。14-16年の成長率見通しはいずれも日本を上回っている。

 OECDは今回の報告に先立ち、11月13日に「東南アジア、中国、インド経済アウトルック2015」を公表している。この中で中国の15 年から 19 年にかけての年間GDP成長率については「人口動態の変化に沿う構造調整、投資から消費主導の成長への移行、また農業、環境および教育といった領域での課題がある中、6.8% まで緩やかに減退する」としていた。

OECDプレスリリース「エコノミックアウトルック」(2014年11月25日)
OECDプレスリリース「エコノミックアウトルック
OECDプレスリリース「東南アジア、中国、インド経済アウトルック2015」(2014年11月13日)
同報告書「東南アジア、中国、インド経済アウトルック2015