国家国防科技工業局がこのほど明らかにしたところによると、月探査衛星「嫦娥2号」は8月25日23時27分、太陽と地球の引力が釣り合う地点であるラグランジュ点(L2点)の周りを周回する軌道に入った。人民日報が31日に伝えた。
嫦娥2号は8月30日の時点で、すでに5日間にわたり同軌道上を安定的に運行しており、9月1日には太陽、地球、L2点と同一平面上に到達する見込み。
月探査プロジェクトの専門家によると、嫦娥2号は今年4月1日、打ち上げから180日間が経過し、設計寿命に達した。所定の目標と任務は全て完了したが、衛星の運行状態は良好で、燃料も十分に残っており、各システムの状態も安定していたため、衛星の力を最大限に発揮し、さらなる月と深宇宙探査を展開するべく、さらに3つの追加試験を実施することとなった。L2点への到達もこの試験の1つだ。
月探査プロジェクトの呉偉仁・総設計師によると、L2点への到達は中国深宇宙探査の重要技術を検証するものであり、月探査プロジェクトの後続任務および、火星・金星などの深宇宙探査実施に向け、重要な経験となるという。
嫦娥2号はL2点の周回軌道上で来年末まで1年以上にわたり探査活動を行い、150万キロ離れた地上からの遠距離観測・制御能力を検証する予定。なお、同軌道を1周するのには6カ月間かかる。
L2点は地球から約150万キロ離れており、中国の宇宙探査機が太陽系からこれほど遠い地点に到達したのは初めて。中国は欧州宇宙機関(ESA)とアメリカに次いで、同地点に到達した3番目の国となった。