書籍紹介:『清華大生が見た 最先端社会、中国のリアル』(クロスメディア・パブリッシング、2020年3月)
書籍名:清華大生が見た 最先端社会、中国のリアル
- 著 者: 夏目 英男
- 発 行: クロスメディア・パブリッシング
- ISBN: 978-4295403890
- 定 価: 1,480円+税
- 頁 数: 240
- 判 型: 四六
- 発行日: 2020年3月1日
書評:『清華大生が見た 最先端社会、中国のリアル』
沖村憲樹(中国総合研究・さくらサイエンスセンター上席フェロー)
あっという間に超先進国になった中国。
最大の成功原因の一つは、中国の人材育成政策にあったと思っている。小学校からパソコンと英語を教わり、大学、大学院まで、アグレッシブに勉強漬けの人生。鄧小平は、1978年、大学入試と留学命令を出し、爾来、2,900余の巨大且つ優秀な大学が出来上がり、530万人が留学、350万人が海亀政策等により帰国。一挙に近代化する。長期にわたり、教育と科学技術に膨大な予算が注ぎ込まれ、そして、もう、日本には手が届かない、デジタル社会と優秀かつ積極的、グローバルな中国人による巨大な国家が出来上がった。練り上げられた中国の戦略の勝利である。
著者は、5歳から中国にわたり、死に物狂いで勉強して、中国で一番難しい清華大学に入学、この素晴らしい環境から、中国の変化を内側から体験している。若者として、この変化をどう見たか。外部の日本人にはわからない興味深い、有意義な情報が、活き活きと描写されている。
描かれた清華大学学生の生活と適宜的確に引用されたデータから、中国の大きな変化を理解することができる。
清華大学は、北京都心に広大な敷地を有し、膨大な研究施設、技術移転センター、大学サイエンスパーク、校弁企業(子会社)、全国の地方自治体、企業との連携研究所を擁し、日本の大学当たり件数の30倍の特許を生み出し、中国のイノベーションを牽引してきた。習近平を始め政界、学界、官界に多くの指導者を輩出、中国の国家、社会、産業を牽引する中国最高の大学である。学生の目からその内容が詳しく描写されていて、興味深い。