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大気汚染防止重点工業産業クリーン生産技術推進プラン

一、総体目標

 鉄鋼、建材、石油化学、化学工業、非鉄などの重点産業企業における先進クリーン生産適用技術の採用普及を通じて、クリーン生産のための技術改造を実施し、工業煙(粉)塵や二酸化硫黄、窒素酸化物、揮 発性有機化合物などの大気汚染物質の産出と排出を大幅に削減し、上述の産業主要汚染物質の排出強度を2017年末までに2012年比で30%以上低下させる。

二、普及技術

(1)鉄鋼産業

  技術名 応用範囲 技術の主内容 解決すべき主問題 応用前景分析
1 コークス炉分割ステージ(マルチステージ)加熱技術 5.5m以上のコークス炉 コークス炉燃焼室に何段かに分けて空気を噴入し、局部の高温の発生を防止する。 コークス炉の窒素酸化物の産出量を30%削減する。 現在、同技術の産業普及率は6%である。2017年までに産業普及率は12%に達するものと見られ、窒素酸化物の年間削減量は1.9万トンに達する。
2 焼結煙の循環工程 鉄鋼産業焼結機 同工程は将来、自焼結機のすべてまたは一部のベローズの煙を収集し、焼結料層へと循環する。 焼結煙のうちの窒素酸化物を40%、煙(粉)塵を45%、ジオキシンを60%減らし、同時に二酸化硫黄の濃縮を促進し、脱硫浄化を容易にする。 現在、同技術の産業普及率は1%に満たないが、2017年には20%に達し,窒素酸化物3万トン、煙(粉)塵2.2万トンの通年での削減が可能となる。
3 黒色強化放射熱伝導省エネ新技術 圧延鋼など炉内での加熱の必要がある各種熱処理炉 同技術は、もともとの炉の構造を変えずに、多くの黒色部品を設置することによって、放射熱伝導の面積を大幅に増加させるものである。 炉熱の加熱効率を10-15%高め、20%以上の排ガス量を削減できる。 現在、同技術の産業普及率は10%に満たない。2017年までには産業普及率は25%に達する見込みで、窒素酸化物を年間1500トン以上削減できる。
4 改良複合触媒湿式酸化法脱硫脱シアン技術(HPF法) コークス炉石炭ガス浄化 HPF(ヒドロキノン、PDS、硫酸鉄(II))を触媒として、既存のHPF法に脱硫層を加え(脱硫タワーと再生タワーを増設)、コークス炉ガス中の硫化水素を取り除く。 コークス炉ガスの浄化後、硫化水素の含有量は既存技術の200-300mg/Nm3から100mg/Nm3へと低下する。 現在、産業普及率は約1%だが、2017年には5%に達し、二酸化硫黄8万トンの削減が可能となる。
5 ピクリン酸触媒湿式酸化法脱硫脱シアン技術(NNF法) コークス炉石炭ガス浄化 ピクリン酸を触媒とし、コークス炉ガス中の硫化水素を取り除く。 コークス炉ガス浄化後、硫化水素の含有量は10mg/Nm3以下となる。 現在、同技術の産業普及率は低いが、2017年までに5%に達し、二酸化硫黄8.5万トンの削減が可能となる。
6 静電気除塵器柔軟安定高周波電源技術 静電気除塵器 柔軟安定高周波電源は最良のコロナ放電などの機能を保持し、電場内の粉塵の荷電能力を増加する。スマート追跡によって、電場入力に対する最良のコロナ放電状態を実現する。 従来型の産業用周波数帯電源と比べて煙(粉)塵の排出を50%以上削減できる。 現在、同技術の産業普及率は20%だが、2017年までに産業普及率は45%に達し、煙(粉)塵3万トンの削減が可能となる。
7 焼結煙汚染物質共同制御技術 製鉄工場の焼結煙汚染物の総合対策 湿式脱硫と湿式静電気除塵施設を一体化し、電場・放電技術、電源技術などの湿性ガス深度浄化系統を採用。 ガスの脱硫効率は80%以上で、湿性ガスの微小粒子状物質の除去率は60%以上、さらにジオキシンを70%以上除去できる。 現在、同技術はすでに産業化されており、2017年までに産業普及率は50%以上に達し、年間で二酸化硫黄を60万トン、煙(粉)塵を10万トン削減できる。
8 転炉乾燥除塵技術 精錬転炉一次ガス浄化 転炉の一次高温ガスを蒸発冷却器によって温度低下・調質・粗除塵した後、円筒型静電気除塵器によって精密除塵する。 転炉ガス湿式除塵を代替し、浄化効率を高め、煙(粉)塵の濃度を湿式の100mg/Nm3から10mg/Nm3以下へと引き下げる。 現在、同技術の産業普及率は10%で、2017年までに50%に達し、煙(粉)塵を年間15万トン削減できる。
9 静電気・バッグフィルター複合除塵器 製鉄工場の焼結機の除塵改造 同技術は、静電気除塵とバッグフィルター除塵の2種類の除塵技術を有機的に結合する。フロントエンドの静電気除塵は抵抗力が小さく、70-80%の粉塵を取り除き、リ アエンドのバッグフィルター式除塵のフィルタリングの負荷を減らし、除去効率を高めることができる。 除塵効率は99.9%に達し、粉塵の排出濃度を80mg/Nm3以上から30mg/Nm3以下へと引き下げることができる。 現在、同技術の産業普及率は5%だが、2017年までに40%以上に達し、煙(粉)塵を年間5万トン削減できる。
10 メンブレンフィルターバッグ式除塵技術 鉄鋼企業のバッグフィルター除塵器の改造 ポリテトラフルオロエチレン材質のメンブレンフィルターを採用し、従来型のバッグフィルター除塵器の普通のフィルターバッグを代替する。 バッグフィルターの使用寿命を伸ばし、システムの抵抗力を引き下げ、さらに低い粉塵排出濃度(10mg/Nm3未満)を実現し、PM2.5の排出を制御する。 現在、同技術の産業普及率は10%未満だが、2017年までに50%に到達し、煙(粉)塵の年間削減量は25万トンに達する。
11 原料置き場の上屋化・倉庫化技術 鉄鋼企業の露天の原料置き場や石炭置き場の改造 完全密閉の倉庫または上屋によって従来の露天の原料置き場を代替する。 原料の損失と外にもれる粉塵の排出を減らし、工場エリアの環境を改善する。 現在、同技術の産業普及率は20%に満たないが、2017年までに60%に達し、粉塵の排出を50万トン削減できる。
12 高温乾燥除塵回収技術 鉄合金密閉式埋没アーク炉高温石炭ガス浄化回収利用 重力によって沈下した埋没アーク炉の高温石炭ガスを、金属間化合物多孔膜材料をフィルターエレメントとした除塵装置を用いて、550℃以上の高温で乾燥除塵する。 フィルタリングの精度は0.1μm、浄化気体の煤塵量は5-10㎎/Nm³、煙塵回収率は99.99%に達し、埋没アーク炉石炭ガスの効率利用に適している。 現在、同技術の産業普及率は約1%だが、2017年までに鉄合金産業での普及率は20%以上に達し、年間で煙(粉)塵約2万トンを削減できるようになる見込みだ。

(2)建材産業

 

 

技術名 応用範囲 技術の主内容 解決すべき主問題 応用前景分析

1

セメントキルン窒素酸化物排出削減複合技術

省エネ型マルチチャンネル低窒素バーナー技術

新型乾式セメント生産ライン

同技術は、新型構造の採用により、バーナーのインダクトを増やし、最も内側の清浄ガスの出口にサイクロンを取り付け、最も外側の清浄ガス流出管の先端に交換可能な環状の噴射ノズルを取り付けるものである。同 技術は、火炎の燃焼過程での温度の不均一性を低下させ、局部の高温による大量の窒素酸化物の形成を制御し、窒素酸化物の排出を減少させる。

従来の工程技術と比べると、同技術は、低窒素バーナーの増加によって、一度の風量を燃焼空気量の8-10%に抑え、エネルギー消費を1-3%引き下げ、窒素酸化物の削減効率を5-10%高めるものとなる。

同技術を利用した技術改良によって、セメント産業の新標準の要求を満たすことができる。2017年までに産業普及率は80%に達し、窒素酸化物を年間40万トン削減できる見通しだ。
同技術の普及率は現在50%だが、潜在的な普及率は100%に達する。2017年に100%の生産ラインで同技術が使用されていると計算すると、セ メント産業における窒素酸化物の削減量は年間94万トンに達する。

分解炉段階燃焼技術

新型乾式セメント生産ライン

同技術は、段階燃焼技術を採用し、燃焼用空気や燃料の段階ごとの追加を利用して、分解炉での窒素酸化物の形成を抑え、さらに燃焼過程の制御を通じて、炉内の窒素酸化物をできるだけ還元し、窒 素酸化物の排出を減少させるものである。

これまでの工程技術と比べると、同技術は、分解炉の燃焼方式の改良を通じて、燃焼過程における窒素酸化物の形成を抑え、削減効率は10-30%に達する。

選択無触媒還元(SNCR)脱硝技術

新型乾式セメント生産ライン

同技術は、分解炉の中下部にアンモニア水または尿素溶解液を噴入することで、分解炉内のガスを十分に交じり合わせ、窒素酸化物と化学反応を起こさせることでこれを窒素と水に還元し、窒 素酸化物の排出を削減するものである。

窒素酸化物の排出を大幅に削減し、削減効率は30-50%に達する。

2

フロートガラス融解炉ゼロ型スプレーガン全酸素燃焼補助技術

フロートガラス生産ライン

同技術は、全酸素燃焼補助システムを応用し、生産ラインの工程のパラメーターを調整するもので、全酸素燃焼システムの補助技術と設備、配管と制御システムが含まれる。

全酸素燃焼補助システムを利用することにより、炉の熱効率を改善し、ガラスの品質を改善することができる。排ガスの窒素酸化物量は大きく減り、煙塵は10-15%、粉塵は20%減少する。

現在、同技術を利用している企業は極めて少ないが、2017年までに産業普及率は30%に達し、年間で窒素酸化物を7万トン、煙(粉)塵を5万トン削減できる見通しだ。

3

炉ガス脱硫脱硝除塵発電一体化システム

ガラスや陶磁器などの産業の炉とボイラーのガスの脱硫・脱硝・除塵

同技術は、排ガスの余熱を回収した後、これに対して選択触媒還元(SCR)による脱硝を行う。脱硝されたガスは余熱利用後、循環半乾式排煙脱硫(RSD)によって脱硫され、バ ッグフィルター除塵器によって除塵され、排出される。

二酸化硫黄の除去率は70%、煙塵の含有量は50mg/Nm3未満、脱硝効率は85%以上、窒素酸化物濃度は600mg/Nm3未満となる。

現在、平板ガラスの生産ラインにおける応用は10%に満たないが、2017年までに産業普及率は60%に達し、年間で窒素酸化物6万トン、粉塵6万トンの削減が期待できる。

4

高効率低抵抗バッグフィルター除塵器技術

大型高効率低抵抗バッグフィルター除塵器

セメントキルンのヘッドとテールの排ガス浄化

合理的な気流分布の設計、高性能・低抵抗のフィルタリング材料の選択、高強度のダスト清掃措置、スマート化されたダストの清掃・除去制御、最適化された除塵器本体の設計を通じて、バ ッグフィルター除塵の最良の効果を上げる。

高効率低抵抗バッグフィルター除塵器技術または静電気除塵器の高効率低抵抗バッグフィルター除塵器への改造技術を取り、最良の改造効果を上げる。粉塵排出濃度を30mg/Nm3以下に制御する。

現在、同技術の産業普及率は30%だが、潜在普及率は100%で、2017年にはセメント産業の75%生産ラインで同技術を使用し、年間で粉塵80万トンを削減できる見込みだ。

静電気除塵器改造成高効率低抵抗バッグフィルター除塵器技術

セメントキルンのヘッドとテールの排ガス浄化

現存の静電気除塵器シェルなどの部品をバッグフィルター除塵器に改造する。静電気除塵器内部の空間を整え、適切なフィルタリングバッグを設置し、多孔バッグ状フィルタリング部品を利用して、粉 塵を含有する気体から粉塵を採取する。

(3)化学工業、石油化学産業

  技術名 応用範囲 技術の主内容 解決すべき主問題 応用前景分析
1 石油ガス回収技術 石油化学、化学工業産業 吸着法や段階冷却などの技術を用いて、石油倉庫や輸送車、貯蓄タンクなどの揮発性有機化合物を回収する。 揮発性有機化合物を含む気体中の有機成分を回収する。 現在、同技術の産業普及率は10%だが、2017年までに20%に達し、揮発性有機化合物の年間5万トンの削減が可能となる見通しだ。
2 リーク検出と修理(LDAR)技術 石油化学、化学工業産業 固定式または移動式のモニタリング設備を利用して、化学工業企業の揮発性有機化合物のリークが発生しやすい場所をモニタリングし、一定の濃度を超えたリーク場所を修復し、原 料のリークによる環境汚染の制御という目的を達成する。 微量のリークによる揮発性有機化合物の排出問題を解決する。 現在、同技術の産業普及率は1%に満たないが、2017年までに5%に達し、揮発性有機化合物10万トンの削減が可能となる。
3 低温プラズマ、光触媒酸化による排ガス処理技術 石油化学、化学工業産業 低温プラズマや光触媒酸化などの技術を通じて、排ガス中の揮発性有機化合物を二酸化炭素と水に転換する。 低濃度・大風量の排ガス中の揮発性有機化合物の含有量と臭気濃度が基準を超えている問題を解決する。 現在、同技術の産業普及率は5%だが、2017年までに15%に達し、年間で揮発性有機化合物2万トンを削減できるようになる。
4 蓄熱式熱酸化、蓄熱式触媒熱酸化、オゾン酸化などの排ガス処理技術 石油化学、化学工業産業 蓄熱式酸化焼却、蓄熱式触媒熱酸化焼却、オゾン酸化などの技術を通じて、排ガス中の揮発性有機化合物を二酸化炭素と水に転換する。 高濃度・大風量の排ガス中の揮発性有機化合物の含量と臭気濃度が基準を超えている問題を解決する。 現在、同技術の産業普及率は5%だが、2017年までに15%に達し、年間で揮発性有機化合物を3万トン削減できるようになる。
5 アンモニア法、二重アルカリ法などのガス脱硫技術 石油化学、化学工業産業石炭ボイラー、石炭化学工業産業 アンモニア水やNaOH、CaOなどを吸収剤として、石炭ボイラーのガス中の二酸化硫黄を循環吸収し、産出された副産物を総合利用する。 脱硫効率は90%以上に足し、ガス中のSO2を回収し、資源化利用する。 現在、同技術の産業普及率は10%だが、2017年までに40%に達し、年間で二酸化硫黄20万トンを削減できる。
6 スーパークラウス硫黄回収・余熱利用技術 石炭化学工業、ゴム用添加剤などの産業 伝統的なクラウス転化過程における最後の転化段階において、新型選択的酸化触媒を使用し、余った硫化水素を選択的に元素状硫黄へと酸化する。 一般のクラウス法による硫黄回収技術における回収率の低さという問題を解決した。硫黄転化率は97%以上に達する。 現在、同技術の産業普及率は3%だが、2017年までに普及率は15%以上となり、年間で二酸化硫黄25万トンを削減できる。
7 カルシウムカーバイド炉ガス浄化処理・回収利用技術 カルシウムカーバイド産業 乾式除塵・水洗除塵などの方式でカルシウムカーバイド炉ガスの粉塵とタールを除去し、処理後の炉ガスを総合利用する。 カルシウムカーバイド炉ガスの粉塵含有量を有効に引き下げ、周辺環境に対する炉ガス排出の影響を減少させる。 現在、同技術のカルシウムカーバイド産業での普及率は50%だが、2017年までに90%を超え、年間で煙(粉)塵量8万トンを削減できる見通しだ。
8 国産高効率バナジン硫酸塩触媒生産新技術 硫酸産業 同技術は、新たな調合法を応用し、混合・ローリング・乾燥工程などの新たな技術を採用し、触媒効率を高め、二酸化硫黄の産出量をその源から減少させる。 国産触媒の品質向上によって輸入品を代替し、同時に硫酸産業の二酸化硫黄排出量を減少させる。 現在、同技術の硫酸産業普及率は5%で、2017年までに20%に達し、年間で二酸化硫黄6万トンを削減できる。
9 硫酸排ガス脱硫技術 硫酸産業 過酸化水素法脱硫技術や高重力脱硫技術、低温触媒法脱硫技術などを利用して硫酸排ガスを処理する。 硫酸排ガスの二酸化硫黄排出の基準オーバーや、排ガスの副産物吸収を別に処理しなければならないといった問題を解決する。 現在、同技術の硫酸産業での普及率は20%だが、2017年までに90%に達し、二酸化硫黄を年間4万トン削減できる見通しだ。
10 溶剤型塗料全密閉式一体化生産工程 塗料関連産業 混合・輸送・研磨・調合・包装などの工程で全密閉生産を行う。 溶剤型塗料の生産過程における非制御排出の問題を解決した。 現在、同技術の塗料産業における普及率は2%に満たないが、2017年までに10%に達し、揮発性有機化合物を年間1万トン削減できる。
11 水性木器塗料クリーン生産技術 木器塗料関連産業 溶剤型木器塗料の60-70%の有機溶剤を水によって代替する。 生産・運輸・使用・使用後における環境に対する危害を減少させる。 現在、同技術の木器塗料産業における普及率は2%に満たないが、2017年までに15%以上に達し、揮発性有機化合物を年間7万トン削減できる。
12 黄燐排ガス処理と総合利用技術 黄燐生産 乾式除塵や湿式除塵などの技術によって炉ガスを処理する。炉ガス処理にあたっては自動ガス採取・輸送システムを採用し、浄化後に精密加工して利用する。 粉塵の排出を有効に減少させ、石炭ガスの総合利用水準が低いという問題を解決する。 現在、同技術のリン化学工業産業における普及率は15%だが、2017年までに60%に達し、煙(粉)塵を年間5万トン削減できる。
13 尿素造粒塔粉塵洗浄回収技術 尿素生産 造粒塔の最上部に粉塵回収装置を設置し、粉塵を洗浄・回収し、尿素溶液を産出して尿素装置を通じて蒸発・造粒して回収する。 造粒塔の排ガス中の尿素粉塵の含有量を引き下げることができる。 現在、同技術の窒素肥料産業における普及率は30%だが、2017年までに50%に高まり、尿素粉塵を年間4万トン削減できる。
14 加硫ゴムパウダー常圧連続脱硫総合設備 再生ゴム産業 常圧・周波数制御・デジタル表示スマート温度制御・連続連動化などの技術を採用し、スクリュー装置内での密封搬送状態の下、加熱脱硫とジャケット式スクリュー冷却工程によって脱硫を完了する。 従来の動態脱硫法と比べると、20%以上の省エネが可能で、廃水や排ガスの排出もない。 現在、同技術の産業普及率は5%だが、2017年までに普及率は60%に達し、揮発性有機化合物を年間5万トン削減できる見通しだ。
15 化学肥料生産フィルターバッグ式除塵技術 化学肥料産業 防水・防油効果にすぐれたポリプロピレン繊維フィルター材を採用し、化学肥料原料の選別と輸送、化学肥料の生産における冷却機や乾燥機などの設備、化 学肥料製品の輸送や包装などのプロセスにおける粉塵を処理する。同技術は、フィルターバッグのダスト清掃が容易で、バッグへの粘着がなく、抵抗力が小さいなどの特性を持つ。 原料と製品の損失と外部への無秩序な粉塵排出を減少させる。粉塵排出濃度<30mg/Nm3を実現する。 現在、同技術の産業普及率は30%だが、2017年までに90%に達し、煙(粉)塵を年間15万トン削減できる。

(4)非鉄金属精錬産業

  技術名 応用範囲 技術の主内容 解決すべき主問題 応用前景分析
1 酸素底吹-液態高鉛スラグ直接還元鉛精錬技術 鉛精錬企業 液態高鉛スラグ直接還元炉で高鉛スラグ溶解炉還元工法を代替した。酸素底吹熔錬—側吹還元錬鉛と酸素底吹熔錬—底吹還元錬鉛工法(YGL法)が含まれる。 鉛精錬過程での二酸化硫黄や煙(粉)塵、鉛塵などの汚染物の排出量を減少させ、生産現場での汚染物の無秩序な排出を減少させた。 現在、同技術の産業普及率30%だが、2017年までに60%に達し、二酸化硫黄の排出を毎年5万トン削減し、煙塵の排出を1.5万トン減少させることができる。
2 有機溶液循環吸収脱硫技術 重金属精錬における低濃度二酸化硫黄ガスの脱硫に応用される。 吸収剤は、イオン液体または有機アミンを主とし、少量の活性剤と抗酸化剤、防錆剤からなる水溶液を添加したものである。この吸収剤は、二酸化硫黄ガスに対して良好な吸収・放散能力を備え、低 温下では二酸化硫黄を吸収し、高温下では吸収剤中の二酸化硫黄を放散し、ガス中の二酸化硫黄の除去と回収の目的を達する。 二酸化硫黄の排出量を減らすと同時に一部の重金属を除去する。 現在、同技術の産業普及率は1%前後だが、2017年までに産業普及率は10%に達し、二酸化硫黄を年間2万トン削減できる。
3 活性コークス脱硫技術 重金属精錬における低濃度二酸化硫黄ガスの脱硫に応用される。 ガスを活性コークス吸着脱硫装置に通して浄化し、飽和吸着した活性コークスを重力流によって放散再生装置に到達させ、加熱によって活性コークスを再生し、放 出された高濃度二酸化硫黄混合ガスをガス硫酸製造装置に送って硫酸生産に用いる。 二酸化硫黄の排出量を減らし、一部の重金属を除去する。 現在、同技術の産業普及率は1%前後だが、2017年までに10%に達し、二酸化硫黄を年間2万トン削減できるようになる。
4 非鉄冶金アンチモン・ヒ素分離濃縮回収技術 非鉄金属の精錬(アンチモン・ヒ素などを含む原料) 金属間化合物多孔膜材料をフィルターエレメントとした高温ガス除塵装置を採用することによって、非鉄冶金反射炉高温ガス中のアンチモンとヒ素の分離と濃縮回収を実現する。高 温フィルタリングの精度は0.1μmに達し、アンチモン・ヒ素を回収利用することができる。 非鉄精錬の煙(粉)塵の排出を削減すると同時に、アンチモン・ヒ素を回収する。 現在、同技術はすでに産業化されており、2017年までに普及率は10%以上に達し、煙(粉)塵を年間5万トン削減できるようになる。
5 非鉄金属精鉱焙焼高温含硫ガス乾式浄化技術 非鉄金属精鉱焙焼高温含硫ガスの処理に応用される。 金属間化合物多孔膜材料をフィルターエレメントとした高温ガス除塵装置を採用することによって、焙焼後の高温含硫ガスを直接浄化する。除塵率は99.99%、フィルタリング精度は0.1μmに達する。 煙(粉)塵の除塵フィルターをバッグフィルタリングから多孔膜材料フィルタリングに変えることで、煙(粉)塵の排出を大きく低下させる。また粒径0.1μm以上の有価金属を捕捉し、資源回収を実現する。 現在、同技術はすでにモリブデン精鉱分野で幅広く応用されており、2017年までに産業普及率は30%以上に達し、煙(粉)塵を年間5万トン削減できる見通しだ。