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第29回CRCC研究会「中国の原子力開発について」/講師: 永崎隆雄(2010年4月8日開催)

第29回CRCC研究会「中国の原子力開発について」/講師: 永崎隆雄(2010年4月8日開催)

 科学技術振興機構(JST)中国総合研究センター(CRC)主催により4月8日(木)JSTにおいて「中国の原子力開発について」全4回シリーズの2回目「中国の原子力開発について」をテーマとする第29回研究会が開催されました。

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 中国では高度経済成長に伴ない、電力・エネルギー需要も拡大しています。原子力エネルギーは中国政府が力を入れて推進する技術開発の1つであり、JST中国総合研究センターの2009年度の中国科学技術力調査において特に注力した分野の1つであります。調査内容は「中国の科学技術力について(ビッグ・プロジェクト編)」にまとめられています。今回の研究会では、本調査に携わった永崎隆雄氏をお招きし、中国の原子力開発について講演して頂きました。

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 永崎隆雄氏は1946年生まれ。1974年に動力炉・核燃料開発事業団に入社以降、2006年に日本原子力研究開発機構を定年退職されるまで日本の原子力開発に従事されてきました。また、中国やその他アジア諸国の原子力開発に関しても専門的に調査をされており、数々の講演および業界誌へ寄稿をされております。現在は、日中科学技術交流協会常務理事、および、(株)千代田テクノル社長室アドバイザー、富士電機システムズ(株)オートメーション事業本部アドバイザーを務められております。

 講演では、中国の電力生産の概況、原子力発電の現状と長期的展望、技術の国内化手法、核燃料サイクル、原子力の国内研究状況、放射線利用、関係するする政府/研究/産業機関についての詳しい説明がなされました。現在、中国の電力生産は約80%を火力発電に頼っており、原子力発電の比率は1%と低いが、原子力設備の建設規模は世界で1位(準備電力量で比較)、2020年までには全発電設備の5%を目指すという原子力発電計画が進められていると永崎氏は説明されました。発電所の建設、原子炉の製造に関しては、未だフランスやロシアなど複数の国に頼るところが多いが、技術移転を受け、徐々に国産化も進められています。核燃料に関しては、中国国内のウラン資源はそれほど多くなく、今後は海外からの調達計画が実施されています。原子力開発分野における国内研究、人材育成が近年広範囲に繰り広げられています。中国の原子力産業は、日本とは異なり、設計、製造などの工程が細分化されてそれぞれ別企業が担当するシステムになっています。永崎氏ご自身の現地調査によって得られた非常に詳細なデータをたくさん紹介していただきました。

 講演後、まず日本原子力学会元会長/日立製作所特別顧問の河原暲様よりコメントを頂きました。その後活発な質疑応答では活発な意見交換が行われ、中国総合研究センター細川参事役の挨拶により閉会いたしました。

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 今回の研究会には、民間企業、報道機関を中心に、官公庁などから100名近い方々にご聴講いただきました。今後とも皆様のお役に立てるような各種研究会を企画、開催して参りますので、引き続き温かいご支援、ご協力をお願い申し上げます。

(中国総合研究センター フェロー 邢 嘉驊 記)

講演資料