第84回CRCC研究会「中国における産学連携と知的財産上の課題」/講師:篠部 正治(2015年 5月21日開催)
「中国における産学連携と知的財産上の課題」
開催日時・場所
2015年 5月21日(木)15:00-17:00
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)東京本部別館1Fホール
講演資料 「 中国における産学連携と 知的財産上の課題」( 5.01MB )
講演詳報 「 第84回CRCC研究会 詳報」( 5.03 MB )
中国での産学連携は人的パイプづくりを含む将来への布石-富士電機の篠部氏
富士電機技術開発本部の篠部正治・知的財産センター長は5月21日、科学技術振興機構(JST)中国総合研究交流センター(CRCC)主催の研究会で「中国における産学連携と知的財産上の課題」と 題して講演し、同社が進める中国の国立浙江大学との産学連携の現状や成果、知識財産権問題の注意点などを紹介した。
篠部氏はこの中で、富士電機と浙江大学との産学連携が2004年に電力系統の特定領域共同研究によってスタートしたと述べると共に、10年後の2014年4月には「協業センター」の 設立にまで拡大したと強調。スマートグリッド、店舗の省エネシステム、EV駆動などの実証実験を進めており、「台所ゴミ破砕選別装置」などの製品も生み出されていることを明らかにした。
しかし、「共同で特許出願にまでこぎつけたものはそう多くなく、(富士電機の得意な)自販機を除き、製品化して実際のビジネスにつなげるところまではいっていない」という。が、篠 部氏は産学連携の意義について「政府などとの人的パイプづくりや(中国側との)信頼関係の醸成に大いに役立っている」と指摘し、双方が共同で開発した技術や初歩的な製品を、長期的な視野にたって、市 場で通用する製品に育てていく必要性を訴えた。
また、篠部氏は中国の大学との共同研究開発に関連し、「コア技術」の提供には極めて慎重に対応していると述べ、成果はあくまで双方の連携によって生まれるものだと強調。「 相手側が一方的に特許を出願したケースはこれまでなかったか」との質問に対して、「聞いたことがない」と答え、大学側との信頼関係確立の大切さを表明した。
このほか、篠部氏は「中国において完成された発明、または、実用新案を、他国に出願する場合は、事前に秘密保持審査を受ける必要がある」とし、共同研究開発で生まれた発明(特許、実用新案、意匠)を 中国で共同出願する際は「共同出願契約で合意しておく必要がある」と語った。
(文・写真 CRCC編集部)
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篠部 正治(しのべ まさはる)氏:
富士電機技術開発本部知的財産センター長
略歴
明治大学法学部卒業。1982年富士電機製造株式会社(当時)入社。同年弁理士登録。入社以来知的財産業務に携わり、2014年10月より現職。