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GRIPS客員研究員中共中央党校公開セミナー

GRIPS客員研究員中共中央党校公開セミナー(2008年3月12日開催)

  政策研究大学院大学(GRIPS)と(独)科学技術振興機構(JST)中国総合研究センター共催の「GRIPS客員研究員中共中央党校公開セミナー」は3月12日(水)GRIPSにて実施されました。 

GRIPS客員研究員中共中央党校公開セミナーの様子

 中国共産党中央党校経済学部・徐祥臨教授、同国際戦略研究所・趙黎青教授を講師にお招きし、それぞれ「日本の農業経済理論と中国の農業発展」「中国のNPO:日 本との比較と今後の課題」についてご講演いただきました。

 徐教授は中国の農業発展の成果として、改革開放・市場経済政策がもたらした中国の食料増産を挙げ、中国だけでなく、ア ジアひいては世界の食料不足の解消に貢献した意義を説明された上で、問題点として中国国内における農産物の価格上昇や残留農薬・食品安全問題、そして農村部と都市部との所得格差の拡大を指摘されました。また、日 本農業の近代化に貢献した農学者・東畑精一氏の農業発展理論及び日本の農協組織や農業補助金、低金利融資などといった制度や経験が中国の農業問題解決の参考になるとの見解を示し、中 国はもっと日本の農業発展理論を学び、日本との農業交流を積極的に推進すべきだと強調されました。

GRIPSにて講演中の徐祥臨教授

資料:徐教授の講演資料 ( PPT:7 ,503kb)

 趙教授は中国社会の変化という視点から中国のNPO、NGO問題を取り上げられました。中国にはかつて(49年新中国建国から78年改革開放政策が打ち出されるまで)NGOというものは存在しなかったが、< . . . . . 78年以降各種NGOが中国で活動するようになっていると説明。中には、外国からNGOと認められない従来からある政府行政機関に準ずる「人民団体」もあるが、工商部門で「企業」と して登録されたり、. 或 いは登録さえできないままであったりして、十分な活動空間が得られない「非公式組織」も数多く存在していると指摘されました。また、NGO活動は公民精神の確立、民主政治の発展、市 民の権利の保護、調 和社会の形成、対外開放の促進、市場経済の進展、とりわけ中国が責任ある国際社会の一員になる上で有益であるとの見解を示し、今後中国でNGOを発展させるためには、国 際的に認知されたNGOの一般原則や価値観に合致することが重要であり、専門家や学者、マスコミによる研究、宣伝活動の強化、党や政府によるNGO活動に対する積極支援、NGOに関する法律の整備、外国政府・国 際組織による支援・影響の拡大及び政府系人民団体をも含む中国のNGOとの交流、協力の促進、そしてNGO活動を政治目的に利用しないようにすることが重要だと強調されました。

GRIPSにて講演中の黎青教授

 講演の後質疑応答があり、活発な意見交換が行われました。セミナーには、在日中国大使館はじめ、報道機関、大学、在日中国人留学生、企業及びJSTなど多数の関係者が参加しました。

(中国総合研究センター フェロー 内野秀雄 記)