【19-001】ゲノム編集ベビー事件の調査結果
JST北京事務所 2019年1月22日
新華通信社の報道によると、先頃中国の科学界で大きな騒ぎを起こした「ゲノム編集ベビー事件」に関して、広東省の同事件調査グループの調査により、当事者である賀建奎氏(南方科学技術大学准教授、当時)が 名誉と利益を追い求めるため、自己調達した資金により、適切な監督管理を受けず、独自に集めた関係者と、国の法令で明確に禁じられている生殖目的のヒト胚胎のゲノム編集を実施したことが判明したという。要 旨は以下である。
賀氏は2016年6月から外国人を含めたチームを結成し、上述した生殖目的のヒト胚胎ゲノム編集の活動に取り組んだ。2017年3月~2018年11月の間に、他人に頼んで倫理審査書類を偽造し、8 組の夫婦(男性がHIVウィルス陽性、女性が同陰性)をボランティアとして募集して実験に参加してもらった。期間中、HIVウィルス所持者を対象とする生殖補助を禁ずる規制を避けるために、血 液検査に替え玉も使った。遺伝子を編集された胚胎が母体に戻された後、2組が妊娠した。うち、1組は既に双子の女の子を出産し、もう一組はまだ妊娠中であり、他の未妊娠の6組のうち、1 組が実験参加を取りやめたという。
同調査を担当した関係者によると、同行為が倫理道徳と科学研究への信頼及び国の関連法令に反し、国内外に極めて悪い影響を与えたとして、賀氏及び事件に参与した関係者と関係機関に対して、法 に照らして厳格に処罰するため、罪を犯した者を公安(警察)部門へ引き渡すという。また、生まれた嬰児と妊娠中のボランティアに対し、広東省は、国の関係部門の指導を受けて、医 学的観察と事後再検査等を行うという。
出所:新華網ウェブサイト(URL: http://www.xinhuanet.com//2019-01/21/c_1124020517.htm)