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【19-009】名大天野教授、中国工程院外国籍院士に 2019年両院院士新メンバー選出

JST北京事務所 2019年11月27日

 11月22日(金)、中国科学院と中国工程院(工学院)は新たに選出された院士の新メンバーを発表した。

 中国では、「院士」は高い権威を持ち、政府への提言を求められたりなどする。地方政府や研究機関・大学などが、自らの広報活動において、何人の院士が輩出されているかを示すことも多い。近年は、隔年で新しい院士が選出され、発表されている。

 今回、日本からは、2014年ノーベル賞受賞者である天野浩名古屋大学教授が工程院外国籍院士に選出された。天野教授は、2016~2018年度、JSTのSICORP(国際科学技術共同研究推進事業〔戦略的国際共同研究プログラム〕)「都市における環境問題または都市におけるエネルギー問題に関する研究」において鄭州大学産業技術研究所の劉玉懐教授と有害物質分解システムに向けた高性能紫外線レーザーダイオードに関する共同研究を実施している。

 中国工程院のウェブサイト[1]によれば、工程院の外国籍院士は、2017年までに64名選出されており、日本からは、藤島昭、大村智、小泉英明、田村幸雄の4氏が選出されている(任命順)。科学院のウェブサイト[2]によれば、現在、飯島澄男、福田敏男、野依良治の各氏が任命されている(アルファベット順)。

 このほか、工程院院士に選出された呂西林同済大学教授は、2010~2012年度にかけて、JSTのSICP(戦略的国際科学技術協力推進事業)「都市や社会基盤における地震及び台風災害の環境へのインパクト評価と緩和技術」において東京工業大学の笠井和彦教授と超高層建物の耐震性評価および地震被害抑制技術に関する共同研究を実施している。

 科学院は、64名の新院士を発表し、最も若い院士は42歳、最高齢は67歳。60歳以下が87.5%を占め、平均は55.7歳。女性は6名。科学院の部門構成に照らした人数では、数学・物理学は11人、化学が10人、生命科学・医学が10人、地学が11人、情報技術科学が7人、技術科学が15人の構成。42歳の新院士は、孫斌勇氏で専門は基礎数学。

 また、外国籍院士も発表されており、科学院の外国籍院士は20名である。科学院の外国籍院士は、8人が米国、2名がフランス、英国、豪州、オーストリア、パキスタン、ロシア、カザフスタン、オランダ、カナダ、スウェーデン、イタリアが各1名。ノーベル賞受賞者が3名、一帯一路構想の国から5人が選出されており、カザフスタンとイタリアは初めて選出された。

 工程院は、75名の新院士を発表。同院の部門構成に照らした人数では、機械・運搬工学が10人、情報・電子工学が9人、化工・冶金・材料工学9人、エネルギー・鉱業工学が9人、土木・水利・建築が9人、環境・軽工業・紡績農学が7人、医薬衛生学が10人、エンジニアリングが6人。また米国、カナダ、日本、ロシア等から29人の外国籍院士が選出された。

 科学院は、全体で924人の中国籍院士と94人の外国籍院士を有し、工程院と合わせれば、1,757人の中国籍院士と201人の外国籍院士となる。ほとんどが男性でおよそ35%が80歳を超えている。

 科学院の白春礼院長は、今回、全体的に若く、ダイバーシティに富んだ選出であることを強調し、院士になることは名誉だけではなく、義務と責任を伴うことを強調した。院士は、科学技術関連政策に関する政府へのコンサルタントとしての役割が求められ、新しい院士の選出における推薦や投票を行う。また、若手人材の育成や科学界の高潔さの維持、科学と社会のコミュニケーションや国際協力の推進における役割が期待されている。

 一方、科学院院士には、月1,000元の手当とともに、住居、医療、交通等における特別待遇のほか、関連の研究所や大学からの追加的な厚遇がある。また、関連分野の尊敬を広く集め、組織やプロジェクトにおいて重要な役割を果たすことになる。しかし、外国籍院士は、中国の科学技術への助言は行えるが、中国籍院士のような優待や新しい院士選出の権能はない。

関連サイト

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日本―中国 国際共同研究「都市における環境問題または都市におけるエネルギー問題に関する研究」平成28年度年次報告書

日本―中国 国際共同研究(都市における環境問題または都市におけるエネルギー問題に関する研究)平成29年度年次報告書

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研究終了報告書都市における超高層建物の耐震性評価および地震被害抑制技術に関する研究


[1] http://www.cae.cn/cae/html/main/col50/column_50_1.html#anchor_point

[2] http://casad.cas.cn/ysxx2017/wjysmdyjj/