【19-010】中国NSFC、UKRIとファンディングエージェンシーに関するワークショップを開催
JST北京事務所 2019年12月18日
12月5-6日にかけて、中国国家自然科学基金委員会(NSFC)が、英国のUKリサーチイノベーション(UK Research and Innovation〔UKRI〕)とともに、世界各国で研究費を支援するファンディングエージェンシーを集めて、学際融合研究やオープンイノベーション等に対応した改革の方向性や経験の共有を図ろうとするワークショップを開催した。
NSFCは、WeChat(中国で広く使用されているSNS)公式アカウントにおいて下記のとおり発表した。
12月5-6日、NSFCが北京で「科学基金の改革と発展国際ワークショップ」を開催した。英国、ロシア、米国、ドイツ、スイス、イスラエル、日本、韓国、トルコ等21各国・地域から30のファンディングエージェンシーあるいは国際組織の代表や学者ら計80余人が参加した。
NSFC主任の李静海院士はワークショップに出席し、趣旨演説において、NSFCの改革の方向と最新の進展状況について紹介した。李主任は、新時代に入り、グローバルなチャレンジがますます深刻なものとなっていること、世界経済成長の勢いが緩慢なものとなってきている中、科学技術イノベーションが国家の経済を促進し、社会の調和と持続的な発展のための尽きることのない原動力となるべきことを指摘した。科学技術の発展動向から見れば、科学技術革命の新しいステージがまさに始まっている。科学研究のパラダイムの深刻な変革が起きている。学術分野を超えた融合は大きな趨勢となり、オープンな協力は深化してきている。各国のファンディングエージェンシーは、新しいチャレンジとチャンスに直面している。
NSFCは、まさに改革を推進中であり、その内容は、「支援方向・方針の明確化、評価の仕組みの改善、分野間のバランスを優れたものにすること」である。各国のファンディングエージェンシーは、国際的な科学技術の発展動向について議論し、科学研究のパラダイムの重要な変革の動因、状況と影響について分析することが望まれている。加えて、連携と協力を強め、研究支援の改革の道筋を探求するべきである。さらに、共同でチャレンジに対応し、解決の道を探ることが期待されている。
4つのセッションでは、中国内外のファンディングエージェンシーの代表と学者が、「支援方向の明確化と資源配分の最適化」、「学際融合研究の推進」、「評価メカニズムの改善」、「オープンな協力の促進」などのテーマについて熱心に議論を行った。その後、2つのラウンドテーブルディスカッションで、重要なオリジナリティのあるイノベーションや科技人材への支援などに関する新施策等の各国のファンディングエージェンシーの改革の経験について、参加者間の情報共有・意見交換を行った。
討論を通じて、参加各国のファンディングエージェンシーは、科学研究のパラダイムの変革とグローバルなチャレンジに関する認識、相互の理解と信頼関係を深め、さらなる戦略的な対話と協力のための基礎を堅固なものとした。
参加者は、NSFCの科学と社会の変革の動向に対するフォローとタイムリーな改革推進の取組みを高く評価し、その方向性を支持した。ハイリスクハイリワードな研究や学際研究への支援に関して、各国から参考となる示唆が得られた。今回のワークショップは、NSFCの戦略・政策・企画などの面での重要な国際交流となっただけではなく、グローバルな科学技術のガバナンスへの深い関与を示すものであり、中国の叡智による世界への積極的な貢献となるものであった。
また、研究費の公募情報等を配信する「科研之友(科研の友)」公式アカウントもほぼ同内容を配信し、NSFCの改革の内容について、6つのメカニズムと2つの重点として、以下のとおりポイントをまとめている。
6つのメカニズムは、国家の重大なニーズに向けた科学的な課題を抽出するメカニズム、世界の科学の最先端にむけた科学的な課題を抽出するメカニズム、重大プロジェクト立案のメカニズム、一貫して成果の応用までを行うメカニズム、学際融合メカニズム、マルチファンディングのメカニズムである。
2つの重点は、オリジナリティのある探求プログラムと人材育成のためのプログラムの発展である。「NSFCは、マネジメントの改善のための努力、オリジナリティのあるイノベーションと人材養成という2つの重点の強化により、先進的な理念と規範となる制度のある、公正で効率的な新しい時代のファンディングの体系の確立を進めている」と主任は強調した。
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