【20-006】デジタル社会と危機対応
JST北京事務所 2020年2月5日
新型コロナウイルスへの対応が続く中、2月4日午後、フフホトの女性タクシードライバーが、確定診断を受けたことを告げるニュースが配信された。
デジタル社会である中国では、スマートフォンのアプリでタクシーを呼び、支払いもアプリを使うことが多い。
このドライバーは、1月18日から30日の間、2日間の休息を除き、142人の乗客からアプリによる支払いを、21人から現金で支払いを受けた。
配信されたニュースには、支払い日時と支払ったSNSアプリ上の名前(ニックネームを使用している者が多数。ただし、実名と思われる名前もかなりの数ある。なお、中国ではスマートフォンについて実名登録が義務付けられている。)と、GPSアプリによると思われる現金支払者の乗車経路を示す地図が掲載されている。また、併せて市の対策部署の電話番号と注意事項が記載されている。日本の感覚で言えば、ニュースというより通知に近いだろう。
プライバシーの観点で抵抗を持つ方もいるかもしれないが、危機対応においてこのようなデータの使い方は、技術的に可能である。デジタル社会化、デジタル技術による危機対応の可能性について考えさせられる一例である。
中国は中央銀行発行のデジタル通貨について議論していることが知られているが、3月に開催予定のボアオフォーラムにおいて、" The Debut of Digital Currency"というセッションが予定されている。
さらにデジタル社会を進めることになるのか、注目したいと思う。
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