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【20-012】新型コロナウイルスに係る中国から日本への支援および中国の検査技術について

JST北京事務所 2020年2月25日

 2020年2月20日、中国側から日本側に新型コロナウイルス検査キットを支援した件について、在日本中国大使館報道官と記者による質疑応答が公開された[1]

 日本国内で新型コロナウイルスの検査キットが不足していることを受け、中国側は直ちに協力の意向を日本側に伝達、関係方面と調整し中国のBGIグループと深圳市マンモス公益基金会を通じて、新型コロナウイルス検査キットを国立感染病研究所に無償提供したとのこと。

 併せて、ウイルスには国境の区別がないため、国際社会が共同で対応することが求められ、中国側は引き続き日本側にできる限りの支援を提供し、緊密に意思疎通と協力を展開し、手を携えて新型コロナウイルス感染症との戦いを一日も早く勝ち抜き、両国国民の健康と安全および地域と世界の公衆衛生の安全を共に守っていきたい、と表明した。

 上記の中国BGIグループは、深圳に本社を置く遺伝子の塩基配列の解析およびそのための機器開発を主たる業務としている中国を代表するバイオ企業である。

 2月15日付科学技術日報記事において、同社の深圳「ファイアーアイ(火眼)」研究所において、コロナウイルスの核酸を1日あたり10,000件を検出可能な体制が整ったと記事が掲載された。深セン市および広東省の発熱患者の確定診断、高リスク集団のスクリーニング、疑われる症例の特定、陽性感染者の隔離、健康な人々のスクリーニングに求められる科学的根拠を提供し、感染症と戦い、社会と経済の秩序ある運営を回復するための科学的保証を提供するとのこと。

 BGI社は深圳の他に武漢、天津、長沙、石家荘、北京、上海の6か所にファイアーアイ研究所を配備の上、サンプルテストを実施している。特に武漢ファイアーアイ研究室はわずか5日間で建設され、1日あたり10,000件の検査能力を有する。同社が運営するファイアーアイ研究所は、武漢および湖北省の他の地域から23,000件のテストサンプルを蓄積し、流行との戦いに強力な科学的サポートを提供している。

 また、重慶、昆明、青島、貴陽のファイアーアイ研究所も建設中であり、テクニカルサポーターとして、2月12日に無錫のファイアーアイ研究所の共同建設にも参加した。

 現在、BGIのウイルス検査能力は、中国全土で1日50,000件に達することがあり、必要に応じて1日あたり80,000件に増やすことが可能である[2]

 更に2月14日には、BGIグループ子会社のMGI社(シーケンサーの製造会社)から、上海Tolo Biotechnology社が開発した試薬を使用することにより、新型コロナウイルス検出機器を開発したとの発表があった。完全自動化により1時間で新規コロナウイルスの検出が可能という。

 これに先立つ2019年10月に、MGIは第14回国際ゲノミクス会議(ICG-14)でDNBelab Dシリーズシーケンサーをリリースした。このシーケンサーは電極により実験者がプログラムを書くように自由に液滴を操作し、チップ上で分子生物学実験の複雑なステップを実現した。今回、DNBablab Dシリーズシーケンサーをベースにした、完全に密閉されたデスクトップ型の新規コロナウイルスラピッドテスターは、コンパクトで信頼性が高く、操作が簡単で安全である。

 この新製品は、磁気ビーズ抽出、マイクロ液体操作、温度サイクリング、定量蛍光およびその他の機能を統合し、qPCR(定量的ポリメラーゼ連鎖反応)、CRISPR、およびその他のキットで使用でき、これにより、試薬の量を効果的に減らし、反応効率を向上させ、反応時間を短縮できる。この製品は、一般的な医療機関の現場で新型コロナウイルスのPOCT(迅速検体検査)製品として使用でき、医療スタッフの負担が効果的に軽減するとのこと[3]


[1] 在日本中国大使館ウェブサイト 2月20日付公開
中国側から日本側に新型コロナウイルス検査キットの支援について中国駐日本大使館報道官が記者の質問に答える

[2] 科技日報ウェブサイト 2月15日付記事
深圳今日检测量过万!华大基因在全国新冠检测能力已达5万人份/日

[3] MGI社ウェブサイト 2月14日付公開
Novel Coronavirus Nucleic Acid Test Report Delivered Within One Hour MGI Develops "Fully Closed Desktop Novel Coronavirus Rapid Tester"