【20-022】科学技術部、企業生産の再開と経済の平常運行をサポートする措置を実施
JST北京事務所 2020年3月27日
新型コロナウイルス感染症(COVID-2019)に対応すべく、中国科学技術部(MOST)は企業生産の再開と経済の安定運行に資する施策として、このほど「科学技術イノベーションによる生産再開と経済の平常運行のサポートに関する若干の措置」(以下、「措置」)を制定し、実施を徹底するよう求めた。中国科技網が伝えた。以下にその概要をまとめる。
「措置」は9つの面に関して、「科学技術がサポートする経済2020」重点特別プロジェクト、科学技術型中小企業イノベーション発展アクション等を含む18の具体的な取り組みを制定した。
「措置」は、ハイテクパーク、科学技術型中小企業・ハイテク型企業、ハイテク産業等、科学技術イノベーションを推進する主要拠点および新型コロナウイルス感染症の影響が深刻な地域からのニーズに焦点を合わせて、科学技術イノベーションによって企業の操業・生産再開、経済の平常運行における難題の解決へ貢献するよう求めた。また、年内に効果があるよう、精確でコントロール可能な取り組みを講じるよう、中短期目標の達成を根本的な基準に設定した。
個別的な取り組みとして、主に以下が挙げられる。
「科学技術がサポートする経済2020」重点プロジェクトについて
「周期が短く、早く効果を達成でき、手続きを簡素化する」を原則とし、重点研究開発計画によって、技術イノベーションプロジェクト、特に短期に実際の効果が見え、明らかな波及効果がある技術成果の移転実施に関するプロジェクトを快速に立ち上げ、実施期間は2年を超えないとする。また、優良な科学技術型企業が新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのアプローチを支援し、その影響の大きかった地域を適宜優遇する。
科学技術型中小企業イノベーション発展アクションの実施について、主に以下3つの支援策が講じられた。
1)重点地域と条件の整った地域において創新(イノベーション)券の流通・交換を促進し、「双創」(大衆によるイノベーション、万衆による創業)に従事するサービス機関に対してその中小企業へ提供した実績によって事後補助で支援する。
2)科学技術型中小企業への支援を強化する。中央財政による科学技術型中小企業、特に小規模・マイクロ企業の研究開発活動へのインセンティブ支援を拡張する施策の制定を検討して、省・部(地方政府・中央政府双方)の共同支援メカニズム等を整備する。
3)国家科学技術成果転化誘導基金による科学技術型中小企業への融資支援を拡大する。新薬、医療機器、検査、ワクチン等の開発を支援するサブファンドを設立し、新型コロナウイルス感染症に関する研究成果の移転・産業化を加速させる。そして、既存のサブファンドによるウイルス感染の重点地域における科学技術型中小企業への支援指導、関連部門と協力して技術移転のためのローンのリスク補償のパイロットプロジェクトを検討・推進する。
先進技術展開応用「百城百園」アクションについて、「1都市に1テーマ、1パークに1産業」という原則に従って、100程度のイノベーション都市(県・市)と100程度の国家ハイテクパークや国家農業ハイテク産業モデルパークを選び、地方の実用にも結び付けて先進的な技術と科学技術イノベーション製品の迅速な展開応用を推進する。同時に、国家技術移転システムの整備を加速させ、一部の大学において国家技術移転センターを試験的に設立する。
新産業・新業界・新モデルの育成について、以下2つの面に重点を置くよう求める。
1)コアとなる要素技術の開発へ注力し、5G、AI、量子通信、脳科学、工業IoT、重大感染症対策、重要性の高い新薬、ハイエンド医療機器、新エネルギー、新材料など重大な科学技術プロジェクトの実施・支援強化。
2)スマート医療、スマート農業、公共衛生、スマートシティ、現代食品、生態系修復、グリーン生産等の応用に向けた技術リストの制定、医療保健、スマート製造、無人配送、オンライン教育等の新興産業に関する技術プロジェクトの実施指導、消費と投資の誘導。
このほか、「措置」は、農業生産や貧困対策への技術指導を行う科学技術特派員の派遣、大学卒業生の就職支援、国家科学技術計画支援下の大学、研究機関が実施するプロジェクトにおける研究アシスタントまたは補助員の配置等を要求している。
関連リンク
教育部:教育部、国家知识产权局、科技部发布《中国科技网:「科技创新支撑复工复产!科技部推出九大"硬核"举措》2020年3月23日付