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【20-030】科学技術部、全人大・政協会議の提案に応えた取り組みを紹介

JST北京事務所 2020年5月21日

 国務院は5月9日に政策定例ブリーフィングを開催し、2019年度全人代(全国人民代表大会=国会衆議院に相当、議員は「代表」と呼ぶ)・政協会議(全国政治協商会議=国会参議院に相当、議員は「委員」と呼ぶ)で提起された提案に対応した国務院傘下各省庁の対応をめぐり、科学技術部(MOST)、文化・観光部、衛生健康委員会と中国人民銀行(中央銀行)が出席して各々の取り組みを紹介した。

 昨年3月に開催した2019年全人代と政協会議からの提案への対応について、国務院傘下各省庁は全人代提案7,162件(全体の87.7%を占める)、政協会議提案3,281件(同85%)を担当し、全て期限通りに対処を済ませた。これらの提案のうち、3,000余件は各省庁に採用され、1,500件を超える施策の策定へ反映されたという。

 科学技術部はこの中で、全人代提案408件、政協会議提案441件への対応を実施し、対処完成率と満足度とも100%を達成した。これは、李萌科学技術部副部長がブリーフィングに出席して紹介した。以下、科学技術部の取り組みをまとめる。

・ 科学技術部が対応した提案の分野別での割合として、キーとなるコア技術研究開発関係が21%、基礎研究関係が19%、科学技術体制改革・科学研究信用整備関係が12%、技術移転・地域イノベーション創出関係が17%、人材育成・拠点整備関係が17%。

・ これらの提案へ対応しながら、提案の内容を施策策定や科学技術業務の推進への反映徹底に努めた。例えば、基礎研究強化に関した提案に基づいて、「ゼロから1へ」の基礎研究を強化するプランを策定した。

・ 人工知能に関した提案は33件あり、基礎研究、オープンソース・開放、人材育成、倫理の規範・立法、産業化開発などに関わった。これらの提案を基に、1)AI技術の研究開発とオープンソース・開放に関する配置の手配、2)AIに関する学科整備・人材育成の強化、3)AIに関する倫理規範の推進、4)地方におけるAIのパイロット展開の推進、5)AIと実体経済との高度融合の推進等の取り組みを講じた。

・ 数学や物理等の基礎研究の取組を強化し、各地に13の国家レベルの数学応用センターを整備した。

・ 国家実験室の体系の強化も加速している。

・ 2019年基礎研究に投入された資金は1,209億元で2018年に比べ10.9%の増加。地方政府や企業の基礎研究への投資を促す取組みに力を入れている。現在、多くの地方で基礎研究のレベルが高くなっている。

・ 基礎研究に関しては、このほか"十年かけて一本の剣を磨く"精神での取組みや誰も取り組んでいない"科学の無人区"に特に若い世代の研究者が取り組むことを奨励している。