【20-039】《新型コロナウイルス》北京の感染への対応
JST北京事務所 2020年6月30日
北京市では、中国国外から来た人をのぞき、新規確定診断者は2か月近くゼロの状態が続いていたが、6月11日に1名、12日に2名の新規確定診断者が報告された。12日の2名は職場が同じであり、11日の1名と12日の1名はともに新発地市場(北京最大の食品市場)を訪れていたことが判明。同市場やその関係者を中心にPCR検査が行われたところ、多くの感染者が現れ、検査の対象者が拡大した。
北京市内の発熱患者に対しては、1+3検査(PCR検査、抗体検査、CT検査、血液検査)を行うとされた[1]。確定診断された患者を集中入院させている病院には、早速、支援医療スタッフの派遣が手配された。
6月15日までに、区書記、副区長、市場の責任者らの解任が決まった[2]。
6月16日朝6時までに、市場276か所、飲食業者(社食等も含む)33,173か所を消毒した[3]。
6月16日、11日以来6日間の確定診断者数が、計106名に達した。6月13日、14日の36人、6月16日の31人より前の時点で、北京市の一日当たりの確定診断者数が最も多かったのは1月31日の29人だった。また、北京当局は、市内の5つの区域の指定を、中リスク区域に引き上げた。これにより、北京市内の高リスク区域が1、中リスク区域が27となった[4]。
他の市・省が次々と、市民に対して、北京市への移動を控えるよう通知[5]。北京市内の高・中リスク区域からの来訪者に対して、PCR検査、14日間もしくは7日間の集中隔離、来訪地関係部門への登録などを求める地域が多い。北京市も、市民に対して不要不急の他地域への訪問をしないよう呼びかけ、鉄道や航空機を利用して北京を離れる場合、7日以内に受けたPCR検査の結果を提示するよう求めている。
6月16日夜には、突発公共衛生事件緊急対応が3級(比較的重大)から2級(重大)に変更された。北京市の警戒レベルは、1月25日に1級(特に重大)となった後、4月30日に2級、6月6日に3級へと段階的に引き下げられていたところだった。
なお、最初に感染が拡大した湖北省は、6月13日に2級から3級に引き下げられ、15日には、無症状感染者および観察を要するその密接接触者もゼロになったと発表した[6]。
北京市は、6月16日、市民に次のような対応を求めた[7]。
北京市の突発公共衛生事件緊急対応2級対応における15のポイント ① 市場、飲食店、職場、食堂等の感染防止措置(マスク、手袋等)、消毒、環視強化、地下(暗く冷たく湿った箇所)の使用停止。 ② 食品検査・管理 ③ 高・中リスク区域、新発地市場関係者が北京を離れることを禁止。他の人々も不要不急に北京を離れないこと。離れる場合は、7日以内のウイルス陰性証明が必要。 ④ 区域の出入り管理(検温、健康コードアプリのチェック、居住者の居住証明確認、居住者以外の出入記録)の復活。高・中リスク区域への外来人員・車両の進入禁止。高リスク区域の自宅観察、ウイルス検査。 ⑤ 公共交通の制限(乗車率、消毒・通風、観察ゾーンの設置、発熱者の移動の記録等) ⑥ 14日以内に問題の3市場等に立ち入った者及び密接接触者のウイルス検査等。 ⑦ 通学の停止、オンライン授業の実施。キャンパス外居住の学生がキャンパスに戻ることを停止。 ⑧ オフィスビル、スーパー、ホテル、工場等出入りの体温測定、風通し・消毒等に留意。弾力的勤務を奨励。 ⑨ 図書館・博物館・公園等は、人数制限スポーツ施設の人数制限、チームスポーツは行わない。地下施設、ジム、プール等の停止。 ⑩ 刑務所、老人ホーム、福祉施設、精神病院等の厳格な管理、外部からの感染を持ち込まないように措置。 ⑪ 感染防止措置を厳格に講じた上で100人以内の規模の会議・オンライン会議は開催可。展覧会やスポーツイベント、舞台活動は停止。 ⑫ 医療機関の外来診察予約の堅持。 ⑬ 省・自治区を越えた国内団体旅行の停止。 ⑭ マスクの携帯・科学的利用の堅持。1m以内の距離となる場所、密集・密閉場所でのマスク着用。 ⑮ 不必要な集会を避ける。1m以上の距離を取り、通風に留意。清掃・消毒の頻度と範囲の拡大。 |
今回の北京市のケースについて、6月15日の報道によれば、最も早い患者は、6月4日に発症していた[8]とのことだが、新規確定診断者が報告された6月11日以降、早期に大規模な対策が展開されている。北京市は、6月17日までに35.5万人の検査が完了するとの見通しを示した[9]。
武漢で始まった感染の全国への拡大が懸念されたとき、専門家は、1月20日に人から人の間の感染が公式に発表され、1月23日に武漢の駅や空港が封鎖されたことを受け、1月28日時点の報道で、感染者数のピークの予測は困難としつつも、1週間から10日程度は感染者が増えるが、その後、一連の対策の効果が出て、感染者数の新規増加は、それまでのような大きな数を越えることはないのではないかとの見通しを示していた[10]。その見通しのとおり、2月4日には、新規感染者数はピークを迎え、それ以降は減り始めた。後に、定義の変更や報告の漏れ等の理由で感染者数が増加したことはあるが、基本的には、減少傾向で推移した。中国政府が6月7日に発表した白書でも1ヶ月強で急速な感染拡大を抑制したと言っている。
今回、北京で再び感染が拡大しているが、新型コロナウイルスは、ウイルスとしては既に既知であり、中国での治癒率は、従来からの既知のウイルスによる感染性肺炎の治癒率を上回った とのことであり、その意味でももはや"新型"ではない。
北京でのこれからの展開は、今後、想定されている第2波、第3波に対する対策を考える上で参考になると思われる。展開を注視していきたい。なお、専門家は、ウイルスが暗く湿ったところに潜伏していた可能性を指摘している[11]。
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