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【20-044】中国本土の大学院修了生、1,000万人の大台を突破

JST北京事務所 2020年8月12日

 教育部によれば、中国は2020年現在、本土における国民教育の最高レベルと位置付けられる大学院教育において、累計1,000万を超える修了生を社会へ送り出し、中国国内に立脚点を置いてハイレベルな人材を育成するという国の戦略目標を基本的に達成したという。人民日報が伝えた。以下その概要をまとめる。

 中国の大学院教育は、新中国が建国された1949年と2020年の募集者数と在学者数を比べると、それぞれ242人と629人から110万人超と300万人超までに増え、非常に大きな実績を積み上げてきた。うち、博士号の授与数は、1996年に韓国を、2000年にインドを、2002年に英国と日本を、2005年にドイツを抜き、米国に次ぐ世界2位となった。

 中国本土の大学院教育は、中国の科学技術進歩とイノベーション駆動型発展戦略の推進において極めて重要な貢献を果たしている。

 ・科学研究において、大学は中国国内最高レベルの国家科学技術賞3項目(注:自然科学賞、技術発明賞、科学技術進歩賞)の3分の2、国家自然科学基金支援課題の8割強、全国基礎研究の6割強、高レベルな科学論文の8割強を占める。

 ・2019年に新規で選ばれた139人の院士(中国科学院・中国工程院)のうち、中国国内で大学院教育を受けた経験がある者は9割強、中国国内で最終学位(博士又は修士)を取得した者は8割近くを占める。

 ・国にとって極めて重要なプロジェクトの研究代表者を務めている。例えば、水素爆弾の父と呼ばれる于敏、月探査プロジェクト研究代表者欧陽自遠、500メートル球面電波望遠鏡(FAST)プロジェクト元研究代表者南仁東、軌道上実験モジュール「天宮1号」およびCOVID-19ワクチン開発に携わる陳薇院士チームのコアメンバー等。

 ・中国国内大学の専任教師の内、大学院の学歴の所持者は2019年に64.1%であり、1990年の19.6%より大幅に増加した。

 中国の大学院教育は、建国当初の「高度な専門人材を養成する」から、国家イノベーションシステムの重要な一環、人材・科学技術競争の重要な柱、イノベーション型国家づくりのコア要素としての位置づけへと変わりつつ、国は大学院教育の発展促進に当たって一連の施策を講じている。

 ・2013年、「大学院教育改革を深化させるための意見」を公表、需要に応え、質を高めると強調。

 ・2014年、学位授与機関、教育行政機関、学術機関、業界部門と社会機関が共同参与する「五位一体」の品質確保・監督システムを構築し、大学院教育に対する品質管理の強化に資する。

 ・2015年、「世界一流大学・一流学科の建設を統一に推進する全体プラン」を発布し、大学院教育強国を目指す。

 ・2017年、「学位と大学院教育発展に関する『13・5』計画」は、大学院教育を、国の人材競争・科学技術競争の重要な柱、イノベーション駆動型発展戦略とイノベーション型国家づくりのコア要素として位置づけた。

 ・2020年、新たな大学院教育改革がまもなく開始

 中国は国内向けに大学院教育を推進している一方、他国からの留学生受入れにも力を注いでいる。中国は世界最大の留学生派遣国でありながら、アジア最大の留学目的国にもなり、現在、203ヵ国・地域から9.1万人の修士・博士課程の留学生を受け入れている。このほか、中国は2019年現在、英国、フランス、ドイツ等の先進国を含む52の国・地域と、学位・学歴相互認定に関する協定を結んでいるという。