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【20-045】東部と西部の地域的格差が教育予算にも反映

JST北京事務所 2020年8月14日

 教育部のホームページでこのころに公開された2020年度教育部予算によると、当年度の予算は2019年度決算額より約156.4億元(11.1%)減少した。これによって、各大学の教育経費収入も減ることになったという。中国科学報が伝えた。以下その概要をまとめる。

 これを受けて、河北大学の研究者は2013年以降の大学への教育支出予算の変遷について調査分析し、全国の大学教育予算は2016年(4.18%減)と2020年(9.04%減)に減少したことがあったが、全体的には順調に伸びている傾向にあると分かった。ちなみに2016年と2020年の減少については、それぞれ一部予算の支払い遅れと新型コロナウイルスによる全国的予算削減に関係しているという。

 この調査から、教育予算は中国の経済開発に見られる東西地域不均衡の情勢と一致し、大きな格差が存在していると指摘されている。

 同調査で調べた省(日本の県に相当)単位の教育予算からみれば、東部地域の大多数の省は200億元以上の教育経費を政府資金として確保しており、そのうち江蘇省(412.6億元)、浙江省(396.8億元)と北京(304.8億元)が全国でトップ3をしめる。これに対して、西部地域は、最少の青海省の4.5億元から最多の陝西省の158.7億元まで(一部の省のデータ欠如)、全てが200億元未満となる。特に、江蘇省と青海省の90倍もの差から、東西地域間の格差は明らかである。

 このほか、同調査は、予算が公開された28校の「双一流」大学(注)に対し、2017~2019年の過去3年間予算の変遷を調べて比較した。要旨は以下である。

 ・収入において、大学の自己収入(全体の42.1%を占める)は政府から支払われる財政収入(同40%)を上回り、もっとも主要な収入源になりつつある。支出において、教育への支出は全体支出の92.8%を占め、依然として教育がもっとも重要な使命とされていることが分かる。そして、科学技術への支出は4.6%である。

 ・大学別にみれば、清華大学は収支総額が410億元強(3年間平均値)に達し、2位(北京大学、同270億元弱)以降の大学を遥かに上回る。

 ・中・西部の大学の予算収支は、当該地域全体の予算不振にも関係あるとみられて、東部地域の大学に劣る状況にある。

注:「双一流」大学とは、中国政府が、一流の大学と一流の学科を建設するために指定した大学であり、主に旧「985」大学と「211」大学からなっている。