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【20-046】《研究倫理》科学技術部:科学技術活動における規則違反の行為を厳罰化

JST北京事務所 2020年8月25日

 科学技術活動の規範化を図り、科学研究へ気風の整った良い環境をつくるよう、中国科学技術部(MOST)はこのほど、「科学技術活動における規則違反行為を処罰する暫定規程」(以下、「規程」[1])を公布し、科学技術活動において規則を違反した関係者を厳罰に処するよう求めることとなった。人民日報が伝えた。以下その概要をまとめる。

「規程」は同規程の適用対象について、受託管理機関(研究費の大学・企業等への配分や管理を政府から受託している機関)およびそのスタッフ、科学技術活動の実施機関、科学技術者、科学技術活動の諮問・審査者、外部科学技術サービス機関およびそのスタッフという5つのステータスを定義している。

 規則違反となる行為の種類について、

①受託管理機関およびそのスタッフに対し、レントシーキング、私情にとらわれた不正行為、職権の乱用、受託管理の科学研究費の横領等

②科学技術活動の実施機関に対し、偽りの材料の提供、裏口取引、不法再委託、財政科学研究資金の横領や移転等

③科学技術者に対し、偽りの材料の提供、裏口取引、研究成果の課題宣伝、技術リスクの隠蔽、知財権侵害等

④科学技術活動の諮問・審査者に対し、裏口取引、諮問・審査への妨害、明らかな不当の評価意見の提出等

⑤外部科学技術サービス機関およびそのスタッフに対し、不正手段による営業、学術論文の売買や代筆、研究データの捏造や改ざん、回避制度違反等

というように、ステータスごとに細かく定めている。

 このほか、これらの規則に違反した行為に対し、警告や期限を決めた改善の要求、支援金の回収、奨励の取り消し、科学研究信用喪失データベースへの記入等10の処罰項目によって対処するよう求める。

 違反行為に対する処罰の執行は、省・市などそれぞれのレベルの科学技術行政機関が具体的に担当するが、全体的な調整、監督、指導は科学技術部が行うとする。「規程」は、2020年9月1日より実施する。


1. なお、中国語では「規定」。日本語では、ルールの名称は、「規程」とすることが多いので、ここでは「規程」と訳した。