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【20-049】《量子技術》北京量子情報科学研究院、"直接通信"方式のプロトタイプを開発

JST北京事務所 2020年09月24日

 9月19日、北京で開催されていた中関村フォーラムにおいて、中国のイノベーション拠点建設活動の成果の一環として、"量子直接通信技術"のプロトタイプの開発が報告された。

 これは、北京量子情報科学研究院の兼任招聘研究員である龍桂魯清華大学教授のチームの成果。同教授のチームは、この技術理論を2000年に提唱し、最近、世界初の実用価値を持つプロトタイプの開発に成功したという。設計と長時間安定性の測定を完成し、光ファイバー上で10kmの距離を4kb/sの通信速度で量子秘密電話を実現した。

 龍教授によると、量子鍵配布、量子秘密共有、量子直接通信は、量子通信の最も主要な3種類の理論であるという。このうち,量子鍵配布と秘密共有は、いずれもまず量子チャネルで鍵をやりとりし、古典的な秘密通信で情報を伝送する。量子直接通信は、従来の鍵配布と暗号文伝送のダブルチャネル構造を1本の量子チャネルのみの単一チャネル構造に変更するものであり、鍵配布を必要とせず、直接量子チャネルで情報を伝送する方法である。これにより、通信安全性を高め、応用範囲が拡大するという。

 龍桂魯教授のチームは清華大学との兼任研究員、副研究員と北京量子情報科学研究院常勤の研究者ら16名から構成され、アメリカ物理学会のメンバー等を含み、専門領域は量子通信、無線通信、暗号理論、符号化理論、電子制御、衛星通信に及ぶ。

 今回の成果は、量子直接通信の実用化を推進する成果として報道されている。

北京日报《量子通信重大进展!北京成功研制首台量子直接通信样机