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【21-015】《十四五・全人代》2021年政府活動報告の科学技術イノベーションに関する発言

JST北京事務所 2021年03月08日

1.概要

 3月5日から開催された中国の全国人民代表大会(国会に相当)において、李克強国務院総理から2021年政府活動報告がなされた。科学技術イノベーションに関する発言の概要を速報する。

2.2020年の活動

○科学技術イノベーションを大いに促進し産業の業態転換・高度化が加速した。

○国際科学技術イノベーションセンターと総合的国家科学センターを建設し、第一期の国家実験室を整備した。

○火星探査機「天問1号」、月探査機「嫦娥5号」、有人深海潜水艇「奮闘者号」等の大きな成果が次々と生み出された。

○キーとなる核心技術の研究開発を強化した。科学技術の応用や成果移転を支援し、大・中・小それぞれの規模の企業が連携したイノベーションを促し、全面的イノベーションに向けた改革の試行措置を推進した。

○産業のデジタル化・インテリジェント化を進め、戦略的新興産業の成長を加速した。

3.第13次五カ年計画期の発展成果および第14次五カ年計画期における主要な目標・任務

(1)第13次五カ年計画期の発展成果

  ・この5年で、我が国の経済・社会発展は新たな歴史的成功を収めた。経済の動きが全般的に安定し、経済構造が持続的に最適化し、70 兆元に届かなかったGDPが100兆元を超えた。

  ・革新型国家建設が多大な成果を上げ、有人宇宙飛行、月面探査プロジェクト、深海プロジェクト、スーパーコンピューティング、量子情報等の分野で大きな科学技術成果を得た。

(2)第14次五カ年計画期における主要な目標・任務

  ・イノベーション駆動型の発展を堅持し、現代的産業体系の発展を加速させる。

  ・中国の現代化建設においてイノベーションを核心とする姿勢を堅持し、科学技術の自立自強を国の発展の戦略的柱とする。

  ・国家イノベーションシステム整備し、国家実験室が主導する戦略的科学技術力の構築を加速させ、キーとなる核心技術の攻略戦に取り組み、基礎研究十年行動計画を策定・実施し、企業の技術イノベーション能力を高め、人材のイノベーション活力を引き出し、科学技術イノベーションの体制や仕組みを整え、社会全体の研究開発費を年平均7%以上増やし、その対GDP比が第13次五カ年計画期の実績値を上回るようにする。

  ・経済発展の重点を実体経済に置くことを堅持し、産業基盤の高度化、産業サプライチェーンの現代化を推進し、製造業の割合が安定し在来産業の改善・高度化を図り、戦略的新興産業を発展・成長させ、サービス業の繁栄・発展を促す。

  ・従来型インフラと新型インフラの整備を統一的に推進する。

  ・デジタル化を加速させ、デジタル経済の新たな優位性を築き、デジタル産業化と産業デジタル化のパターン転換を協同推進し、デジタル社会の構築のペースを上げ、デジタル政府建設の水準を高め、良好なデジタル環境をつくり出し、「デジタル中国」を築く。

4.2021年の重点活動

○イノベーションにより実体経済の質の高い発展を推し進め、新たな原動力を大きく育成する。

○科学技術イノベーションと実体経済の高度な融合を促進し、イノベーション駆動型の発展の役割をよりよく発揮させる。

○科学技術イノベーション能力を向上させる。国の戦略的科学技術力を強化し、国家実験室の整備を推進し、科学技術プロジェクトとイノベーション拠点の配置を最適化する。

○キーとなる核心技術の難関攻略プロジェクトにしっかりと取り組み、「科学技術イノベーション2030―重大プロジェクト」を踏み込んで計画・実施し、科学技術重大特別プロジェクトの実施方式を改革し、「イノベーション主導者公募」等の仕組みを推進する。

○条件を満たした地方が国際科学技術イノベーションセンターと地域科学技術イノベーションセンターを建設することを支援し、国家自主イノベーションモデル地区等の先導効果を増強する。

○疾病予防・治療のブレークスルーなどの民生科学技術を発展させる。

○科学技術分野の開放・協力を促進する。

○知的財産権の保護を強化する。

○基礎研究は科学技術イノベーションの源であるため、安定的に支援する仕組みを充実させ、投入を大幅に増やし、中央レベルの基礎研究支出を10.6%増とし、研究費の使用に係る裁量拡大化政策を実施し、プロジェクト評価と人材評価の仕組みを整備し、科学研究者の不合理な負担を着実に軽減し、安心して科学研究に専念できるようにし、「十年一剣を磨く」(長い間、修練を積むこと)精神でキーとなる核心分野において大きなブレークスルーを実現させる。

○市場化メカニズムにより企業のイノベーションを奨励する。イノベーションの主体としての企業の地位を高め、リーディングカンパニーによるイノベーション連合体の設立を奨励し、産・学・研・用の融合ルートを広げ、科学技術成果の財産権インセンティブメカニズムを整え、ベンチャー投資の監督管理体制と成長促進策を充実させ、大衆による起業・イノベーションを更に深く推進する。

○企業研究開発費加算控除政策(現行:比率75%)を引き続き実施し、製造業企業の加算控除比率を100%にまで引き上げ、税制優遇の仕組みにより企業の研究開発投資の拡大を奨励し、企業がイノベーションに注力し、より発展をリードしていくよう促す。

○産業チェーン、サプライチェーンの安定と改善をはかる。「三つの解消、一つの低減、一つの補強(過剰生産能力の解消、過剰在庫の解消、過剰債務の解消、コストの低減、脆弱部分の補強)」の重要任務に引き続き取り組む。

○先進的製造業企業を対象に増値税の増加留保税額(2019年3月末の残価と比較した場合の当期増加分)を月ごとに全額還付し、製造業向け融資の割合を高め、製造業の設備更新と技術改良への投資を拡大する。

○産業サプライチェーンを改善し、産業基盤再建プロジェクトをしっかりと実施し、大企業の先導的・支柱的役割及び中小・零細企業の協力的・統合的役割を発揮させる。

○インダストリアル・インターネットを発展させ、より多くの汎用技術研究開発プラットフォームを構築し、中小・零細企業のイノベーション能力と専業化の水準を高める。

○5Gネットワークとギガビット級光ファイバーの整備にいっそう注力し、アプリケーションの作成に取り組む。

○新興産業の配置を統一的に行う。

○品質インフラ(NQI)の整備を強化し、品質向上キャンペーンを踏み込んで実施し、基準に関する産業チェーンの川上・川下の効果的連携を促し、匠の精神を発揚し、職人技によって中国製造の品質を向上させる。

以上