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【21-038】国家重点研究開発計画、研究代表者の職位等を問わない公募制度を導入

JST北京事務所 2021年06月11日

 国家重点研究開発計画は「第14次五カ年計画(2021~2025年)」(以下「十四五」という)の方針を踏まえ、同計画の初年度に、重点特定プロジェクトとして784課題を公募し、中央財政より197億元を支出することとなった。課題公募の実施に向かってすでに52件についてパブリックコメントの募集を始めている。同52件のうち、25件に研究代表者の職位等を問わない「掲榜挂帥」[1]制度が導入されているという。新華網が伝えた。その概要を以下にまとめる。

 中国科学技術部(MOST)がこの度に発表した、「数学と応用研究」など「十四五」国家重点研究開発計画における重点特定プロジェクトの2021年度第1回目の公募において、「掲榜挂帥」制度が適用され始めたという。応募事項の説明、研究と評価に対する要求などを盛り込む独立の募集要項を添付している。

「掲榜挂帥」制度について、解鑫MOST資産管理局長は、「国にとって戦略的に急を要するものであり、応用の方向性と端末ユーザが明確化された研究開発に特化して適用する。応募に当たって、応募代表者所属機関の設立時間[2]や研究代表者の年齢、学歴と職位などを問わない」と紹介し、「キーとなるコア技術の研究開発に自信と能力のある優秀なチームに積極的に応募してほしい」と強調した。そして「掲榜挂帥」制度適用プロジェクトに対し、「リスト化」管理を中心として、進捗不調なタスクを直ちに止める管理体制、目標を計画とおりに完成させると目指す「宣言書」制度を採り入れた責任体制、およびプロジェクトの実施効果向上に資するイノベーション創出主体の活力刺激政策体系を運用することとされる。

 上述した今年度第1回目の公募において8特定プロジェクトが取り上げられ、うち、「数学と応用研究」プロジェクトに、従来の制度で5重点領域の13テーマを公募すると同時に、「5.5G大規模MIMO通信システムの超解像パラメーター推定と補完」などの5領域に「掲榜挂帥」制度を導入し、独立した募集要項に則って公募するとなった。この募集要項では、タスクの目標、研究開発の完了期限と支援費上限額について明確に記述しているが、応募に関して、制度設定趣旨のとおり、主となる応募者所属機関の設立時間、および研究代表者の年齢、学歴と職位について要求しないと明記している。

 また、2021年度は、特にコア材料、重大研究機器、病原学と疫病対応、クリーンエネルギーなどの重点特定プロジェクトにおいても、「掲榜挂帥」は重要な難関の攻略手段として今後も積極的に導入される見通しである。

 この他、新華網の報道によると、第13次五カ年計画の国家重点研究開発計画では、69の重点特定プロジェクトにおいて延べ3,500件を超えた課題を支援し、支援金は760億元近くに達したという。


1. 「掲榜挂帥」とは、中国古代の故事に由来する、条件を一切設けずにだれでも応募でき、その中から有能な人だけを採択する制度である。2020年の全人代で発表された李克強総理の政府活動報告において、国にとって重要な難関攻略型の研究開発課題に「掲榜挂帥」を導入すべきと強調された。

2. 国家財政支援の科学研究計画系の公募では、主となる応募者の所属機関について、設立してから一定の年月経歴を要求する場合が多い。

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