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【21-045】科技部「2019年中国科学技術論文統計分析」を発表

JST北京事務所 2021年08月04日

 中国科学技術部(MOST)HPでこのほど公開された「2019年中国科学技術論文統計分析」によると、中国は2019年に科学技術論文を国内ジャーナルで44.8万本(前年より1.6%減)、SCI収録誌で49.6万本を発表した。以下に概要をまとめる。

国内ジャーナルで発表した論文について

・ 中国国内で発表された科学技術論文数は分野別で見ると、臨床医学、計算技術、電子、通信・自動制御、中医学、農学、予防医学・衛生学、地学、環境科学、土木建築、化学工業の順となり、合計28.2万本であった。この数字は国内発表論文数全体の62.9%で、このうち最多の臨床医学の論文数は11.8万本であり、全体の四分の一強を占めるほどであった。

・ 論文数を地域別で見ると、北京市、江蘇省、上海市、陝西省、広東省、湖北省、四川省、山東省、河南省および浙江省(前年度の遼寧省と入れ替わった)の順となり、これら10省・市の論文数の累計が全国全体の6割を占めた。

・ 所属先別の論文数では、大学が最も多く、全体の66.3%を占め29.7万本(前年より1.4%減)となった。医療機関と研究機関はそれぞれ5.5万本と5.2万本で2位・3位を保ったが、論文発表数がそれぞれ前年より7%と1.1%減少となった。4位になった企業は2.8万本の論文を発表し、前年より11.3%と二桁の伸びとなった。

SCI論文について

・ 2019年、中国のSCI収録誌に掲載された論文数は49.6万本(前年より1.3ポイント増)で、この年の世界全体のSCI論文数の21.5%を占めており、11年連続で世界2位となった。

・ 分野別論文数では、化学、生物学、臨床医学、物理学、材料科学、電子・通信・自動制御、基礎医学、地学、環境科学、計算科学の順となり、これらの10分野の論文数の合計は全分野の合計の68.2%を占めた。このうち、最も多かった化学分野の論文数は6.2万本となり、その割合は全体の12.4%となった。

・ 世界でのシェアについて、2010年~2020年9月現在までの統計では、8分野で世界全体における中国のシェアが20%を超えた。その8分野とは、材料科学(35.4%)、化学(28.25%)、エンジニアリング技術(27.9%)、計算機科学(26.5%)、物理学(24.1%)、地学(22.1%)、数学(21.6%)および分子生物学・遺伝学(21.2%)である。また、同期間に発表された分野別のSCI論文数では、化学(51.6万本)、エンジニアリング技術(41.6万本)、材料科学(34.9万本)、臨床医学(32.7万本)および物理学(26.8万本)の5分野で20万本を超えた。

・ 被引用回数では、2010年~2020年9月現在の間に発表された中国のSCI論文数が合計で301.9万本となり世界2位をキープしている。また同期間の被引用回数は3,605.7万回(2019年の統計より26.7%増)となり、同じく世界2位であった。一方、1本あたりの被引用数は11.94回(2019年の統計で10.92回/本)で、世界平均の13.26回/本との差が顕著であった。分野別では、化学、エンジニアリング技術および材料科学の3分野の論文の被引用回数が、それぞれ世界最多となっている。

国際共著論文について

・ 2019年、中国のSCI収録誌論文(49.6万本)のうち、国際共著論文は13万本(前年より17.4%増)であり、全体の26.2%を占めた。この中で、中国人が第一著者であった論文は9.6万本で、全共著論文中の73.9%を占め、それらの論文の共著者は167カ国(地域)に所属し、米国、英国、オーストラリア、カナダ、ドイツ、日本の順で多かった。また、中国人が第一著者ではない共著論文は3.4万本で、それらの論文の共著者は190カ国(地域)に所属し、米国、英国、ドイツ、オーストラリア、日本、カナダの順で多かった。

・ 国際共著論文の分野別では、主に化学、生物学、物理学、臨床医学、材料科学および電子・通信・自動制御等の分野に集中している。第一著者が中国人である共著論文の中では、化学分野が11,498本となり最も多く、全体の17.2%を占めた。一方、中国人が第一著者ではない国際共著論文では生物学分野が最も多く、全体の7.9%を占める4,389本であった。

関連リンク:

中国科学技术部《2019年中国科技论文统计分析》,2021年6月8日