【21-055】中国、2020年度国家科学技術賞を発表―国際科学技術協力も重視
JST北京事務所 2021年11月15日
2020年度国家科学技術賞の表彰式が11月3日、北京市内の人民大会堂で開催された。国家最高科学技術賞をはじめとする5つの賞で個人として10人、264件の研究成果やプロジェクトと1つの国際機関が受賞した。自然科学賞、科学技術進歩賞と科学技術発明賞の3つの賞で揃って在中国の外国人研究者が受賞したことは初めて。国際協力を重視する方向性を示すものとして報道されている。光明網等の報道の概要を以下にまとめる。
今回表彰された各賞の受賞者の内訳は以下のとおり。
国家最高科学技術賞
2名
・顧誦芬氏:航空機動力設計
・王大中氏:原子力エネルギー(高温ガス炉等)
国家自然科学賞
46件:一等賞2件、二等賞44件
一等賞
・ナノ閉じ込め触媒(中国科学院大連化学物理研究所)
・規則性メソポーラスポリマーと炭素材料の創制と応用(復旦大学)
国家科学技術発明賞
61件:一等賞3件(一般プロジェクト1件、専門プロジェクト2件)、二等賞58件(一般プロジェクト43件、専門プロジェクト15件)
一等賞(一般プロジェクト)
・超高精細映像の多態性プリミティブに基づいたエンコードのキー技術(北京大学ほか)
国家科学技術進歩賞
157件:特等賞2件(いずれも専門プロジェクト)、一等賞18件(一般プロジェクト11件、専門プロジェクト7件)、二等賞137件(一般プロジェクト110件、専門プロジェクト27件)
国際科学技術協力賞
8人と1国際機構
・日本から藤嶋昭東京大学特別栄誉教授が受賞
2020年度は賞の選考の厳格化が進められ、これを反映し、全体の受賞率は推薦された件数の14.9%に下がり、科学技術進歩賞の特等賞と一等賞に入選した件数は前年度より20%減少した。このほか、今年度表彰された結果から、以下の特徴が見られる。
・基礎研究が継続的に奨励されている。
・研究成果の応用が重要視されている。今度の応募では、成果が応用されて3年以上経ていることが求められた。
・国際間の科学技術協力が重視されている。自然科学賞、科学技術発明賞と科学技術進歩賞に外国人が主導または参加して完成した課題が5件入選したほか、進歩賞受賞課題の半分以上が「一帯一路」事業で応用されている。また、国際科学協力賞の選考に、22カ国から54人と1機関が推薦され、同賞設立以来最も多かった。
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