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【22-010】中国人研究者、100Gbps級のTHz波によるリアルタイム無線伝送通信を実現

JST北京事務所 2022年03月11日

 南京にあるネットワーク通信・安全紫金山実験室(以下、「紫山金実験室」)は、同実験室に設置されている周波数360GHz~430GHz帯のテラヘルツ(THz)波による100/200Gbps級リアルタイム無線転送通信実験システムによって、単波長103.125Gbps、2波長206.25Gbpsに達するリアルタイム無線伝送を実現した。同通信速度は5G通信の10~20倍に相当し、今までに公開されている最速のテラヘルツ波によるリアルタイム無線通信記録を更新したという。科技日報が伝えた。以下にその概要をまとめる。

 テラヘルツ波による無線通信は未来の6G移動通信システムを構成するためのコアになると広く見られ、伝送速度を現在の5Gより1~2桁程度引き上げることができると見通される。但し、伝統的なエレクトロニクステラヘルツ技術では、電子デバイスの固有属性によって理論的限度に迫りつつあり、伝送ロスが増え、周波数や帯域幅が制約される等の難題を抱えている。これに対し、紫金山実験室ではフォトニクステラヘルツ波による無線通信を6Gの新しい方向として、国内をリードし世界で一流なフォトニクステラヘルツ波の実験基盤を構築したと、紫金山実験室副センター長、同研究代表者を務める尤肖虎教授は説明した。

 同研究は、紫金山実験室が東南大学、鵬城実験室(注:ネットワーク通信分野の新型研究機関として中央政府の許可を得て設立、本部を深圳に置いている)、復旦大学およびチャイナモバイルなどと提携し、国家重点研究開発計画6G特定プログラムなどによる支援の下で進めている。今度の成果は、世界光通信分野トップレベル学術会議OFC2022のDemo Zone論文として取り上げられており、これも中国本土の研究者が独立で完成したテラヘルツ波通信分野における初めてのDemo Zone論文となった。

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