北京便り
トップ  > コラム&リポート 北京便り >  File No.22-015

【22-015】エルゼビア社:中国はクリーンエネルギー研究で世界をリード

JST北京事務所 2022年03月23日

 科学研究・医療情報分析業者であるエルゼビア社(Elsevier)はこの頃、「ネットゼロに向けた道:世界におけるクリーンエネルギー研究実態レポート」(以下、「レポート」という)を発表し、クリーンエネルギーに関する研究が世界科学研究で最も注目を集めるようになり、中国が関連分野の論文発表と特許取得において世界トップを占めると指摘した。科技日報が伝えた。以下にその概要をまとめる。

 レポートによると、中国は2001年以来当該分野において論文を40万編以上発表し、世界1位となった。ここ10年のアウトプットから見れば、中国の当該分野での研究は、主にリチウム電池又は二次電池に集中しているという。また特許数では、中国は2012年と2014年に相次いで米国と日本を抜いて同分野で特許出願最多の国になった。そして2020年末現在、同分野の特許の約半数は中国からであるという。

 レポートから示された上述の中国の実績について、「これは中国が当該研究分野への注力と『双炭(CO2排出ピークアウト・カーボンニュートラル)』達成にむけた決心を示している」と、エルゼビア中華圏総裁の李琳が語った。また、清華大学地球システム科学科関大博教授からは、これはクリーンエネルギーへのモデルチェンジが中国で益々重要視され、そして国から政策や資金によって長期的に支援されていることに関係が深いと評価された一方、相対被引用度(Category Normalized Citation Impact: CNCI)では、クリーンエネルギー分野でここ10年に生まれた中国発アウトプットの学術的インパクトは世界同分野の平均レベルを上回っているものの、同分野関連の標準やデータ、モデルなどにおいて一部の欧米主要国までには差があると指摘された。

 レポートでは、研究者らの同分野での関心が応用技術に変換しつつあるとも示され、電気推進技術、スマートグリッドやIoT装置に関連する太陽エネルギー、風エネルギー、無線データなど技術領域の成長が目立っているとしている。

関連記事

爱思唯尔研究报告:中国领跑全球清洁能源研究】 科技日报 2022-1-6