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【22-031】中国初の国産新型コロナ経口薬による治療研究レポート発表

JST北京事務所 2022年05月31日

 中国初の新型コロナ治療薬の投与によって治療したレポートが5月18日に発表された。5人の感染者に対し、PCR検査で陽性が検出されてから3日以内に投薬して治療した結果、平均で5日(中位数)後に陰性に戻ったという。一方、投薬しなかった対照群の陰性回復に所用した日数は平均で11.13日間。同研究の詳しいデータは、5月18日の「Emerging Microbes & Infections」誌オンライン版で公開された。科技日報が伝えた。以下にその概要をまとめる。

 同研究は、中国科学院上海薬物研究所などが企業と協力して開発した「VV116」と名付けられた新型コロナ治療用経口薬について、オミクロン株に感染した非重症者のPCR陰性回復への影響評価を目的としたものであり、国家感染症医学センター/復旦大学附属華山医院感染科張文宏教授が上海公共衛生臨床センター範小紅教授の率いたチームと提携して実施した。本研究は、新型コロナウイルスに感染した136人を対象とし、本人らの志願によって、60人の投薬する被験群と他76人の投薬しない対照群に分け、被験群に12時間ごとにVV116を300㎎投与して進めた。

 研究では、PCR検査で初めて陽性が検出されてから5日以内に投薬することが重要だと分かった。具体的には、投薬後PCR検査で陰性になるまでの所要時間をみると、5日以内に投薬を始めた被験者の場合は8.56日間であり、対照群の11.13日間より短くなった。一方、同5日以上経ってから投薬を開始した被験者は11.46日間で、対照群とほとんど違いがないという。同様の結果は、先に新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認されたモルヌピラビル(Molnupiravir)とパキロビッド(Paxlovid)の研究でも検証されていた。

 同研究では、投薬の安全性についても関連のデータを収集した。データによると、肝機能の軽度な異常が7人、血清尿素窒素(BUN)上昇が1人、白血球数増加が1人と報告されたが、いずれも何の手当てもせずに改善・全快したという。また、厳重な不良作用がなかったことも報告された。

 VV116の作動メカニズムとは、新型コロナウイルスが生体で自己合成する際、VV116が同ウイルスのRNAポリメラーゼによる合成を妨害し、生体での複製繁殖ができないようにさせる。

 張文宏教授らの研究に先立って、中国科学院上海薬物研究所沈敬山研究員らの研究チームは同VV116をアデノウイルスの実験用マウスに投与した実験を行い、同薬がウイルス力価を検査限度値以下に抑え、そして実験動物肺組織の病理的変化を顕著に改善できると発見した。

 VV116は2021年末にウズベキスタンで新型コロナ治療薬として承認されており、中国では、臨床試験への展開が認められていた。

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