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【22-037】《生命科学》中国人研究者、全能性幹細胞研究に新たなブレイクスルーを実現

JST北京事務所 2022年07月08日

 清華大学薬学院の研究チームは全能性幹細胞を体外で指向誘導し安定的に発育する薬剤組合せを発見した。この成果は6月21日付けで「ネイチャー」誌オンライン版で発表された。科技日報が伝えた。以下にその概要をまとめる。

 清華大学薬学院の丁勝教授が率いたチームは研究において数千の小分子組合せを選び、繰り返しの分析を踏まえた上、TTNPB、1-Azakenpaullone、WS6(TAW)という3種の小分子から構成された薬剤組合せを選定し、そして、同薬剤組合せによって、マウスの多能性幹細胞を、全能性(胚胎内外で分化する潜在能力)を持つ細胞に誘導できることを発見した。

 この発見について、丁教授は、これは生殖細胞ではなく、もっと成熟した細胞から生命の原始細胞を取得する新しい代替手段であり、生命の起源を探索するために重要な一歩を歩み出したと説明した。また、この研究は、クローン技術から再生医学の生命科学分野において、自然な胚胎発育以外のルートで新しい生命の創造または復原に可能性を提供できると評価されている。

 同研究は、科技部の「幹細胞および転化研究」重点特定プログラム、国家自然科学基金、清華大学・北京大学生命合同センター、清華大学自主研究プログラムなど複数のファンドから支援を受けている。

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