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【24-02】深圳、マテリアルゲノム・ビッグサイエンス装置を年内に試運転へ

JST北京事務所 2024年03月06日

 中国で高い注目を集めるマテリアルゲノム・ビッグサイエンス装置(以下「同装置」)は、広東省深圳市にある南方科技大学の主導で建設が進められ、年内に試運転を開始する見込みだ。同装置の稼働は、中国が材料科学において飛躍的発展を遂げるための重要な技術基盤になるという。深圳特区報が伝えた。以下にその概要をまとめる。

 同装置は先端科学と産業のニーズに焦点を当て、産業化応用を重視する総合的プラットフォームとして2018年1月に立案された。2022年10月より、南方科技大学、北京大学深圳大学院、清華大学深圳国際大学院の共同によって、関連施設の整備が進められてきた。深圳光明科学城に立地した同装置の仮設施設はすでに竣工し、恒久的な施設の建設は年内に着工するという。

 中国では、新材料技術について、研究開発を海外の技術に依頼し、応用も海外市場に依存しているという課題を抱えている。このような背景の下で立案された同装置について、同措置の総括を務める南方科技大学理学院長で中国科学院院士(アカデミー会員)の兪書宏氏は「マテリアゲノム計画は中国が戦略的なコア材料において飛躍的な進展を実現するための重要な取り組みである」と語り、「航空・宇宙、電子情報、エネルギー・環境、バイオ製薬、バイオミメティクス材料(生物学的材料)の各産業における新材料に対するニーズを視野に入れ、戦略的新興産業の創出・グレードアップおよび先端科学研究の加速に貢献させたい」と述べた。また、同装置の稼働によって、新材料の研究開発期間・コストの半減やエンジニアリングへの応用の加速も期待されている。

 深圳に拠点を置く同装置は将来、広東・香港・マカオ・グレーターベイエリア(GBA)や全国の大学、研究機関、企業を開放する重要な科学技術インフラとして位置づけられている。


出所:深圳特区报「深圳材料基因组大科学装置年内建成」(2024/2/14)

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南方科技大学

 

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