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【25-08】《中関村フォーラム》中国、研究施設の開放に注力 イノベーション創出の国際協力を促進

JST北京事務所 2025年04月11日

 2025中関村フォーラムの平行フォーラム(サブフォーラム)として、「開放共有を推進し、国際科学技術協力を促進する」をテーマとしたオープンサイエンス国際フォーラムが3月28日に開かれた。中国科学技術部(部は日本の省に相当)の陳家昌副部長ら、中国内外の関係者が参加して、中国国内の研究インフラ施設の公開などについて議論した。以下に、科技日報が伝えた概要をまとめる。

 陳副部長は開会のあいさつで、「中国は一貫してオープンサイエンスを提唱し、先行している」と述べ、科学研究インフラ施設のさらなる開放推進や国際的開放共有プラットフォームの整備を進めたいと、研究施設の開放に関する中国政府の方針を示した。

 中国国内関連の取り組みに関し、実例として、中国科学院文献情報センターにおけるサイエンスデータや学術論文等の発信に資する公益学術プラットフォーラムPubScholar[1]、「一帯一路」とグローバルサウス諸国での実装に向けたPubScholar国際版の整備、そしてEUや南アフリカ、米国等と調整を進めているオープンサイエンス情報基盤共有ネットワークの共創などが紹介された。また、北京市郊外で新たに建設された懐柔科学城の37の科学施設のうち、10の施設を開放し、国内外の延べ622チームの研究を支えていることなど、研究施設の開放における具体的な実績も紹介された。

 中国国外の発表者からは、米オープンサイエンスセンター(COS)のダミアン・パティンソン副センター長が、共有・開放された研究インフラ施設は科学研究を確保するための重要な基盤であり、もっと多くの国がデジタル化インフラ施設の恩恵を受けるよう期待したいと表明した。

 OpenAIREのナタリア・マノラ最高経営責任者(CEO)は、自らの機構が中国科学院文献情報センターとオープンサイエンスの展開に関する協力覚書を締結したと紹介し、「欧州と中国の間でオープンサイエンスを展開するためのカギは、双方の関連インフラ施設を繋げることだ」と訴えた。

 このほか、ユネスコ東アジア地域事務所のシャバズ・カーン所長も出席し、開会のあいさつで、中国がオープンサイエンスに積極的に参加し、貢献していることを評価した。

 中国では、2015年に「国家重大科学研究インフラ施設と大型研究機器の社会への開放に関する国務院の意見」が発表され、2017年には科学技術部など3部門が共同で「国家重大科学研究インフラ施設と大型研究機器の開放・共有に関する管理弁法」など、中央レベルで一連の政策・法令が打ち出された。2024年11月には、ブラジルや南アフリカ、アフリカ連盟と共同で「オープンサイエンス国際協力イニシアティブ」を提唱するなど、研究インフラ施設の開放に積極的に取り組んでいる。


[1] 中国科学院が運営する公益学術プラットフォーム

参考リンク

 

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