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【25-09】《中関村フォーラム》帰国した留学経験者が北京で活躍

JST北京事務所 2025年04月14日

 2025中関村フォーラムの平行フォーラム(サブフォーラム)として留学者イノベーション・創業フォーラムが3月30日に行われた。同フォーラムでは、帰国した留学経験者の北京市における動向やイノベーション創出での活躍などを反映した「北京帰国留学者青書」(以下「青書」)が発表された。以下に科技日報が伝えた概要をまとめる。

「青書」では、北京市が2024年までに計122.85万人の留学経験者を受け入れていると推算。留学経験者が海外で取得した学位は主に修士号と博士号で、修士・博士・博士に準ずる者 を合わせると全体の76%を占めている。留学先は米国と英国が全体の6割を超える。帰国後の就職では科学技術、経済、教育が主要分野となっており、うち科学技術に従事する者が最も多く、全体の20.8%を占める。

 留学経験者の北京での活躍については、以下のように分析できる。

・北京で就職している者は78%。

 うち6割がAIや最新情報技術、医薬健康、インテリジェントコネクテッドカー、次世代製造などの新興産業に勤めている。

・イノベーション創出・創業に携わる者が14.2%。

 うち8割以上がが「新しい質の生産力」または新興産業に所属し、技術イノベーションやビジネスモデル創出などに大きく貢献している。

・フレキシブル就職などの新たな就職形態を選んだ者が2.6%

 2024年現在、北京市内にあるユニコーン企業115社のうち37社が創業者または共同創業者が留学経験を有しており、AI、スマート装置、集積回路などの業界に集中している。

 科学研究においても、数多くの留学経験者が北京市内の大学や研究機関でリーダーや中堅になっている。中国グローバル化シンクタンク(CCG)の統計では、2024年7月現在、北京に在籍する中国科学院院士(アカデミー会員)403人のうち、302人は留学経験があり、全体の75%を占める。北京在籍の中国工程院院士448人のうち、留学経験者が211人で、全体の47%を占めている。

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