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【25-10】《中関村フォーラム》中国で世界一流の科学技術ジャーナル発刊を推進へ

JST北京事務所 2025年04月21日

 中国でこのほど、中関村フォーラム年次総会の平行フォーラム(サブフォーラム)として「国際一流科学技術ジャーナル発展フォーラム」が開催された。フォーラムでは、関係者が「世界の知を創出する『中国の中枢』構築を目指し、世界トップレベルの科学技術ジャーナルを育てよう」と呼びかけた。科技日報が伝えた概要を以下にまとめる。

 中国では近年、「中国科学技術ジャーナル卓越行動プラン」など一連の科学技術ジャーナル支援策を実施した結果、以下のような形で、科学技術ジャーナルの実力向上が示されている。

・ 2023年現在、中国発行の科学技術ジャーナルは5211誌に増えた。

・ SCI(サイエンス・サイテーション・インデックス)収録誌での発表数は、2018年の128件/誌から2023年の163件/誌に増えた。

・ ジャーナルの学術水準は、166誌がSCI発表の学会ランキングでトップ25%にランクインし、さらに『細胞研究』(Cell Research)などがトップレベル学術誌リストに入った。

 こうした実績を上げた一方で、多くの課題も抱えている。

・ ジャーナル誌数が論文発表のニーズに適っていない。特に、中国発行の国際論文誌の論文掲載数と、中国発の国際論文発表ニーズとの間に20倍の差がある。

・ 分野ごとの均衡がとれていない。SCIがカバーする178分野の中、49分野で発刊がされていない。新興の学際分野でもまだ発刊されてない分野が多い。

・ 出版社平均の科学技術ジャーナル発行数がわずか1.17誌であり、運営能力が不足している。

 フォーラムでは、中国の科学技術ジャーナル、特に世界トップレベル誌の育成を加速させるために、①学術系ジャーナルが重要な創造的成果を披露し、技術系ジャーナルが産・学・用(ユーザー)連携の高度化に貢献し、科学普及系ジャーナルが科学と教育を結びつけ、生産や生活に役立てる、②国際協力を深化させ、ジャーナルの質と国際化を高めることで、国際的に影響力を持つジャーナルプラットフォームを構築する、③AIなど新技術を導入して、スマート査読、ナレッジグラフ構築、マルチモーダル出版などを探索するといった、さまざまな提案が取り上げられた。

参考リンク

 

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