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【25-11】量子コンピューター実機で10億パラメータ級AI大規模モデルのファインチューニングを実現

JST北京事務所 2025年04月23日

 科技日報4月7日付の報道によると、本源量子計算科技(合肥)股份有限公司や合肥総合性国家科学センター人工知能研究院などにより、超電導量子コンピューター「本源悟空」[注]の実機において、世界で初めて10億パラメータ級AI大規模モデルのファインチューニング(微調整)が実施された。

 このファインチューニング試験では、パラメータ数を76%減らした場合、同モデルのトレーニング効果が8.4%アップしたと示された。この成果は、量子計算によって大規模モデルの軽量化を実現できることを検証するとともに、大規模モデルのコンピュートアンザイエティ(compute anxiety、計算能力への不安)解決に新たな道筋を切り開くものとなるという。また、実験で得たデータから最適化されたモデルは、心理カウンセリングデータセットでのトレーニングロスが15%減少し、数学的推論タスクの厳格的正確性が68%から82%に上昇した。

 今度の大規模モデル実験について、合肥総合性国家科学センター人工知能研究院の陳昭昀アシスタントリサーチャー(准教授相当)は、「既存のハードディスクが大規模モデルのファインチューニングに初歩的に対応可能であることを検証した」と述べた。


注:本源悟空とは、中国のプログラミング可能な第3世代超電導量子コンピューターであり、2024年1月に本源量子計算技術(合肥)股份有限公司で稼働し、同年4月に国家スーパーコンピューティングインターネットプラットフォームに移転した。これまで、139カ国の2300万人以上に量子計算脳ラウンドサービスを提供し、35万件の量子コンピューティングタスクを完了した。
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