【25-18】NSFC、民間企業と共同で基金を設立
JST北京事務所 2025年07月10日
中国の国家自然科学基金委員会(NSFC)は、国内の民間企業と共同で「民間企業イノベーション発展連合基金」を6月30日に設立した。これは、民間企業が国家主導の基礎研究に本格的に参画する重要な一歩になるとみられている。科技日報が報じた内容を以下にまとめる。
基金に参加したのは、恒瑞医薬、邁瑞医療、協合医療、斉魯製薬注1の国内民間企業4社。NSFCの竇賢康主任(会長相当)は基金の設立について、「これは民間企業が『出題者』として国の基礎研究体系に加わる取り組みである」と評価し、「NSFCは新時代における役割と使命に立脚点を置き、『連合基金』を牽引する役割を発揮し、社会全体の高度な科学技術人材に対して医薬分野の基礎研究への参加を促していきたい」と語った。
今回の民間企業との共同による基金設立は、NSFCにとって試行的な施策でもある。科学技術イノベーション型の民間企業による基礎研究への資金投入を奨励、牽引し、全国の優れた研究資源を集約することで、国家の経済・社会発展における緊急性の高い課題に対応するための、重要技術分野における中核的な科学問題に関する基礎研究と応用基礎研究を推進することを目的としている。
基金に参加した4社からは、以下の関心分野が示されている。
恒瑞医薬:腫瘍免疫や新型ドラッグデリバリーシステムなど最先端領域
邁瑞医療:医学イメージング装置のコア部品及びハイエンド医療機器の国産化
協合医療:バイオ製薬材料の基礎研究
斉魯製薬:バイオ医薬や小分子革新薬など領域における産・学・ユーザー共同ネットワークの構築
NSFCが産業界と提携して企業イノベーション発展連合基金を始めたのは2018年12月に遡るが注2、今回、民間企業を対象とした新たな基金を設立するまでは、いずれも国有企業が対象となっていた。
注1:公開されている情報では、2025年から2027年にかけて、恒瑞医薬は合計1.2億元(約24億円)、斉魯製薬は合計9千万元(約18億円)を出資し、NSFCはこれらに対してそれぞれ1:10の比率で出資する。
関連URL
http://www.xinhuanet.com/health/20250702/b4ce0cfbc2284da6a571fe6284ca26b9/c.html
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1836410829354666393
注2:国家自然科学基金委員会 関連URL
https://www.nsfc.gov.cn/publish/portal0/tab440/info74718.htm
参考リンク
- 科技日報「自然科学基金委试点与民营企业设立民企联合基金」2025-7-1