【25-28】上海市、海外若手研究者との国際共同研究を公募開始
JST北京事務所 2025年10月29日
中国上海市科学技術委員会は10月18日、「世界の若手研究者とその関係機関」に宛てた国際共同研究プログラムの公募について、同委員会のウェブサイト(参考リンク参照)に掲載した。
掲載内容によると、プログラムの目的は、上海の各種イノベーション関係機関が高リスク・高付加価値の基礎研究および先端技術分野の海外若手研究者を上海に招へいし、共同研究および学術交流を行うことを支援するとしている。
主な申請要件は以下の通り。
・ 申請者:世界レベルの大学や国際的に著名な研究機関で、自然科学または工学の博士号を取得した45歳以下の研究者(非中国籍)
・ 受入機関:上海市に登録された法人、非法人組織が受入機関。
・ 実施期間:2025年12月1日~2027年11月30日
・ 研究費助成額:1件あたり40万元(約840万円)
(直接経費が総経費の80%以上を占めること。申請時に経費の内訳の提出は不要)
・ 公募締切:2025年11月7日16:30(中国時間)
(受入機関によるチェックおよび 上海市科学技術管理情報システム でのオンライン申請をこの時間までに終了させることが必要)
・ 採択された申請者は、2年間の共同研究期間中に累計6か月以上(3か月以上の継続した滞在を含む)受入機関に滞在して研究を行う。
・ 受入機関は、プログラムアシスタントを配置し、申請やプロジェクト管理を支援する。
この制度は、中国内での研究費の執行を前提としているとみられるが、外国籍の研究者を対象として研究費を支給する極めて珍しい公募型研究制度であり、注目すべき試みと思われる。
知的財産の取り扱いについては、制度上の明確な要求は設けられておらず、個別に協議することとなる。受入機関において、客員研究者などの職位が発令される場合は、受入機関の規定の適用が前提とされる可能性もあるため、留意しつつ、調整すべきであろう。おそらく開始時には、「貢献に応じて取り扱いを定める」といった形で開始することになると考えられる。研究費の提供者および研究場所はいずれも中国側となるが、将来の具体的な取り扱いに関する調整においては、知的財産の帰属先のみならず、自国または第三国での実施権の設定についての条件なども含め、双方にとってウィンウィンとなる柔軟な対応が大切だと考える。
参考リンク
- 上海市科学技術委員会「Call for Proposals: Shanghai Sci-tech Co-research Program」2025-10-18(英語)
- 上海市科学技術委員会「上海市科学技术委员会关于发布2025年度"上海伙伴科研计划"项目申报指南的通知」2025-10-18(中国語)