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【26-01】中国の7大学、エンボディド・インテリジェンス専攻の新設進める

JST北京事務所 2026年1月7日

 人型ロボットの応用などに代表される「具身知能」(エンボディド・インテリジェンス)という語が、中国の両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)の政府活動報告に今年初めて盛り込まれ、様々な動きが顕在化している。教育部のサイトには7つの大学がエンボディド・インテリジェンス専攻を新設するための申請資料が掲載され、11月14日から20日にかけて意見募集が行われた。今後、この内容で新設が認められれば、2026年度から7大学合計330人の新入生がこの新たな領域を専攻として学ぶことになる。

 中国の大学は、2018年度前後に集中的にAI(人工知能)の専攻を新設しており、それに続く新たな波として注目される。

 7つの大学は、北京航空航天大学、北京理工大学、北京郵電大学、東北大学、上海交通大学、浙江大学、西安交通大学(教育部ウェブサイト掲載順)。

 いずれも工学学士の学位を授与するものであるが、専攻の分類においては、北京航空航天大学と北京理工大学が学際的エンジニアリング類、北京郵電大学と東北大学が電子情報類、上海交通大学がコンピュータ類、浙江大学と西安交通大学が自動化類に位置付けている。これらのうち、例えば北京航空航天大学は、2017年にロボットエンジニアリング、2019年にはAIの専攻を、北京理工大学は1998年に自動化、2018年にAI、2021年にロボットエンジニアリングの専攻を、浙江大学は1998年に自動化、2018年にAIおよびロボットエンジニアリングの専攻をそれぞれ設置している。

 規模としては、北京理工大学が120人(うち70人の大学院進学、50人の就職を想定)、東北大学が60人(30人の大学院進学、30人の就職を想定)、他は30人であり20~25人の大学院進学を想定している。

 専任教員中35歳以下の者が占める割合は、上海交通大学が最も高く約6割、低いところでも十数%を占める。いずれの大学も最も若い教員は、1993~1994年生まれだ。

 学生一人当たりの教育経費としては、4000元台から20000元(北京理工大学)までの幅がある。

 カリキュラムでは、集中的な実践として、イノベーションや起業のコンペティションで入賞した場合や、専攻分野に関連した技術を使う企業を起業したり、会社の主要パートナー(株式保有者)として参画した場合、卒業研究や卒業論文と同等の最大10単位に代える例などが見られる。

 関連産業の見通しについて、複数の大学は、2025年4月に北京市中関村で開かれた「第2回中国人型ロボット・エンボディドインテリジェンス産業大会」で公表された「2025人型ロボット・エンボディドインテリジェンス産業研究報告」のデータを引用している。そこでは、2025年の世界市場規模を195.25億元(うち中国は52.95億元で全体の27%)とし、2030年には世界で2326.3億元、中国は1037.52億元(44.6%)に拡大すると予測している。

 7大学での専攻新設の動きを取り上げた環球網の記事では、企業情報プラットフォーム「企査査」のデータとして、次の内容をグラフ付きで紹介している。12月1日時点で、中国国内の人型ロボット関連企業は1218社あり、地域別では華東が46.14%と最も多く、次いで華南が22.74%となっている。登録資本金で見ると、1000万元以上の企業が全体の5割以上を占め、中でも5000万元以上が最も多く30.47%に達する。設立件数は、今年1~11月だけで263社に上り、すでに前年通年(136社)の倍近い水準になっている。

 企業数の増加に伴い、人材需要も高まっている。ある大学の調査によれば、2025年の人型ロボット分野の求人は前年の5倍になった。ロボット産業の人材需給を見ると、生産や販売よりも技術職の比重が大きく、求人では全体の62%、求職では71%を占める。アルゴリズムエンジニアの平均月給は2万5368元で、5年以上の経験者では4万~7万5000元に達し、トップクラスの専門家は6万元を超えるという。さらに、シミュレーションアプリケーション、自然言語処理、大規模モデルのアルゴリズムといった領域でも人材不足が続き、求職者数は求人数の8割にとどまっており、人材育成が喫緊の課題だとしている。

 

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