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【19-025】外商投資企業の再投資に関する規制緩和~「クロスボーダーの貿易及び投資の利便化の更なる促進に関する通知」について~

2019年11月5日 中倫律師事務所東京オフィス

 中国の国家外貨管理局は、中国国内の「放管服」[1]改革の更なる推進、並びにクロスボーダーの貿易及び投資の利便化促進等を目的とし、2019年10月23日に「クロスボーダーの貿易及び投資の利便化の更なる促進に関する通知」(以下「本通知」という。公布日から施行)を公布した。

 本通知の施行により、「非投資性外商投資企業」(投資を業とする投資性会社等以外の外商投資企業)は、その資本金で、中国に再投資することが可能となった。これは外国投資家の中国における資本政策にとって非常に重要な規制緩和であり、注目を集めている。

1.これまでの外資規制

 これまで、外商投資企業がその資本金を利用することには多々の制限があり、資本金で再投資(会社設立及び企業買収)を行うことも規制対象であり、禁止されていた。中国に現地法人を有する日本企業も当然に規制の対象であり、ビジネス展開の足枷となっていた。

 近年、関連法規の整備に伴い規制緩和が進み、投資性会社、持分投資企業及び会社の経営範囲に「投資」が含まれている外商投資企業は、その資本金にて再投資を行うことが、徐々に認められるようになって来ている。

 このような動きにより、中国での投資及びその後の管理等の便宜のために、中国で投資性会社を設立するケースが散見されるようになった。しかし、投資家や資本金等について求められる条件が厳しく、投資性会社設立のハードル[2]は高い。そのため、中小規模の外国投資家のほとんどが、それら条件を満たすことができない。

2.本通知による新たな規制緩和

 本通知によって、「非投資性外商投資企業」がその資本金にて再投資を行うことに対する、長年にわたる規制が廃止され、外商投資企業は、その資本金で会社を設立する、又は中国資本企業を買収することが可能となった。

 但し、本通知は、当該資本金による再投資に対して一切の制限を解除したわけではなく、下記の要求を満たす必要がある。

(1)ネガティブリストの遵守

 外商投資企業が資本金にて再投資を行う場合、これまで同様、ネガティブリストは守らなければならず、禁止業種への投資は禁止されたままである。

(2)真実性・コンプライアンス性

 外商投資企業が資本金にて再投資するプロジェクトは、その真実性・コンプライアンス性の要求が守られていなければならない。「真実性・コンプライアンス性」については、実務上、銀行によりその判定が行われており、当該外商投資企業のかかる投資の経済合理性、その業務との関連性を裏付ける資料の提出を求める等により判定されるものが多い。

 そのため、投機目的の投資や脱法的な投資のほかに、実態のないSPCの設立も認められない可能性が高いと思われる。

 本通知の施行を受け、外商投資事業会社による中国への再投資が活発化すると期待できる。但し、各地方の外貨管理部門及び取引銀行が本通知を理解し、実行するまでにどの程度の時間がかかるかは不明であり、しばらくは、主管当局や銀行と協議しながら進めることになるではないかと推測される。


[1] 「行政簡素化と権限委譲」、「監督管理の強化」、「サービスの最適化」の3つの用語を合わせた略語。

[2] 例えば、外国投資家の資産信用状態が良好であり、投資性会社を設立・運営するのに必要な経済的実力を備えており、申請前1年間の当該投資家の資産総額が4億米ドルを下回らず、かつ当該投資家が中国国内において外商投資企業を既に設立しており、外国投資家が実際に払い込んだ登録資本に対する出資額が1000万米ドルを超えていること等。

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※本稿は、中倫律師事務所東京オフィス発行の「中倫東京事務所ニュースレター『外商投資企業の再投資に関する規制緩和』」を中倫律師事務所東京オフィスの許諾を得て転載したものである。