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【13-20】平和友好条約の精神に立ち戻れ 中国研究者156人訴え

2013年10月23日 小岩井 忠道(中国総合研究交流センター)

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 日中関係の悪化に危機感を募らせる中国研究者156人が「新しい日中関係を考える研究者の会」を発足させ、10月22日「排他的なナショナリズムを越えて」と題するアピールを公表した。

 アピールは、日中両国政府と国民に対し「主権・領土の相互尊重や武力行使の回避を約した日中平和条約の精神に立ち戻る」「滞っているさまざまな日中の学術交流を一刻もはやく正常に復す」「極端で排他的ナショナリズムを乗り越える」よう訴えている。

 会として、「学術的知見の提供を通し、日中の政府、国民、研究者間の信頼構築を進め、東アジアにおける国民間の和解の道を探るよう力を尽くす」決意も表明した。日中の研究者を中心に国際的な知的ネットワークを広げ、新しい善隣関係の構築に寄与できる日中関係の新たなパラダイムも追求する意志も明らかにしている。

 具体的な行動としては、来年3月8日に東京大学駒場キャンパスで国際シンポジウム「現代日中関係の源流―再検証・1970年代」を開催するほか、再来年以降も「『比較和解学』の出発」「国際法と国家利益」といったテーマで国際シンポジウムを続けることを明らかにした。また市民を対象にしたセミナー「新たな日中関係をどう作っていくか」を年6回程度開催する計画も示している。

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 日本記者クラブで行われたアピール発表の記者会見には、代表幹事の毛里和子・早稲田大学名誉教授のほか、19人の呼びかけ人のうち高原明生・東京大学法学部教授と菱田雅晴・法政大学法学部教授も出席した。毛里氏は「これまで研究者として進めてきたことがなんの役割も持たなかったのか、とがく然とした。中国と新しい学術交流の仕組みを作りたい」と研究者の役割と責任の大きさを協調した。

 氏はさらに「相手国が苦手という関係が日中双方にある。1970年代は一種の安定があったが、2000年代になってパワーシフトが起き、どう対応してよいか、特に日本側が分からなくなっている面がある」と指摘する一方、「中国の対日政策はあらっぽく、(日本に対し)こうやるべき、ああやるべきと偉そうに言うだけだ」という声が中国の研究者の中にもある事実も紹介している。

 また、排他的ナショナリズムを乗り越える鍵は広範な世論にあることを強調し、「世論に大きな影響を持つメディアの役割は大きい。ナショナリズムを暴走させないよう切望する」とメディアに求めた。