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【13-29】中国4位に低下 海外事業展開有望国調査

2013年12月 2日

 海外に事業展開する日本の製造企業が、中期的に最も有望な国として見ているのはインドネシアであることが、国際協力銀行の調査「わが国製造業企業の海外事業展開の動向」で明らかになった。この調査が始まった1989年以来、ずっと1位だった中国は、今回初めて4位に落ちている。

表1

表1 中期的(今後3 年程度)有望事業展開先国・地域(複数回答可)

出典:国際協力銀行の調査「わが国製造業企業の海外事業展開の動向

 調査は、今年7-9月、海外事業に実績のある日本の製造業企業992社を対象に実施された。中期的(今後3年程度)な有望事業展開先としては、回答した488社のうち219社、44.9%の企業がインドネシアを挙げた。次いでインド213社、43.6%、タイ188社、38.5%と続き、中国は4位で183社、37.5%となっている。インドネシアを有望国とした企業が挙げた理由は「現地マーケットの今後の成長性」が、最も多かった。

 昨年まで1位の座にあった中国は、昨年の319社、62.1%から大きく数字を落とした。中国を前回の調査で有望国に挙げ、今回、外した企業に理由を聞いた結果、「労働コスト上昇・労働力確保困難」を挙げた社が41.2%と最も多かった。次いで「中国経済の減速」(26.0%)、「他社との競争激化」(20.6%)の順となっており、「日中間の政治的関係の悪化」を挙げた社が12.2%あった。これらの企業は昨年の調査で、4社に3社(75.1%)が「中国事業を拡大・強化する」と答えていたが、今回の調査では、43.8%に減り、代わって「現状程度を維持する」が24.1%から52.7%に増えている。

 昨年同様今回も中国を有望国に挙げた企業も、中国での事業に懸念を持つところがほとんどであるのが目を引く。「他社との競争激化」(29.5%)、「中国経済の減速」(25.6%)、「日中間の政治的関係の悪化」(23.3%)、「労働コスト上昇・労働力確保困難」(20.9%)という結果が示された。

 ただし、この後3年程度の間に具体的な事業計画があるかどうかで順位付けした場合、中国は、昨年より減少したものの、事業計画を持つ社が116社と1位の座を守っている。これらの企業が中国を引き続き事業展開の有望国とみなす理由は、「現地マーケットの今後の成長性」と「現地マーケットの現状規模」が多かった。また、長期的(今後10年程度)に見た有望国では昨年に引き続き中国が、インドに次ぐ第2位となっている。

 これらの結果は、中国とインドが日本企業にとって今後も主要な事業展開先として認識されていることを示す、と国際協力銀行は言っている。

 調査は、中国、東南アジア諸国連合(SEAN)5カ国、インドという新興国市場で各企業がどの程度の製品競争力を持つと見ているかも調べている。回答企業全体では、中国系、韓国系、インド系企業に比べ概ねどの市場においても自社の競争力が上だが、欧米系企業は自社よりやや上と評価しているという結果となった。