【15-06】日本語スピーチコンテストで銭鋮さん優勝
2015年 2月 5日 小岩井 忠道(中国総合研究交流センター)
中国の大学生を対象にした第9回「全中国選抜日本語スピーチコンテスト」が2月2日、東京・大手町の日経ホールで開かれ、上海外国語大学4年生の銭鋮(センセイ)さんが優勝した。
このコンテストは、日本語学習の意欲向上と、日本に対する理解を深めてもらうことを目的に、日本経済新聞社、中国教育国際交流協会、日本華人教授会議の主催で2006年から開かれている。中 国で日本語を学ぶ大学生は約68万人と言われるだけに、今回も中国での予選を勝ち抜いた16人が、それぞれ日本人と変わらない発音で見事なスピーチを披露した。
優勝した銭さんは、主催者から与えられた「10年後の自分への手紙」というテーマで、健康、命の大切さと、将来、日本語教師になるための夢を素直な言葉で表現した。
立石博高審査委員長(東京外国語大学学長)は、「全員が言葉を大切にしており、特に優勝、準優勝者のスピーチは優劣がつかなかった」と評した上で、銭 さんの優勝は質疑応答での答え方が決め手になったことを明らかにした。銭さんに対する司会者の問いは「自分の話をするのと人の話を聞くのとどちらがすきか。それはなぜか」。立石委員長は「 人の話を聞くことの大切さ、対話の大切さをきわめて自然、率直に語ってくれた。人の話を聞くだけでなく、人に自分の話を聞かせる力も優れていることに感心した」とたたえた。
司会者の質問に対する銭さんの答は次の通り。
私は人の話を聞く方が好きです。聞くには能力が必要です。その人のアクセント、ニュアンス、そして言葉の意味から、どのような気持ちを抱いているか、その人にはどのような思い出があるか、が 分かるようになります。私は最初は話すのが好きだったのですが、だんだん、ひたすら話すだけでは駄目だと気付きました。なぜなら、お互いを尊重するということが一番大事だからです。
もし、自分の言葉だけに夢中になって、相手の存在を忘れてしまうようでは、大切な対話が成立しません。相手を尊重することは、相手の言葉を聞くことから始まります。その人の言葉から自分の性格が分かり、反 省することもできます。最初は苦手だったのですが、日がたつにつれて、少しずつ相手の言葉を聞くことの楽しみを見つけることができるようになりました。
いずれ私も社会に出ます。そのとき、聞くというテクニック、コミュニケーションが、大事なことの一つになるでしょう。まだ上手とはいえませんが、これから聞くテクニックを磨き、頑 張っていきたいと考えています。
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