【16-03】沖村憲樹さんの中国の国際科学技術協力賞受賞の祝賀会
2016年 3月23日 馬場錬成 中国総合研究交流センター 上席フェロー
中国の「国家国際科学技術協力賞」を授与された沖村憲樹さん(JST特別顧問、さくらサイエンスプラン推進室長)をお祝いする会が、3月8日、東京・一橋の如水会館で開催された。沖村さんの広い人脈を物語るように、政官界、学界などから三百人以上がお祝いに駆けつけ、行政官として異例の受勲を受けた沖村さんをお祝いした。
写真1 元財務大臣の尾身幸次STSフォーラム理事長からの祝辞。右は沖村憲樹さん。
祝賀会の翌日に中国駐日本大使館をはじめ、政府関係の人民網、新華網、環球網、また中国では人気の高い鳳凰網、新浪網、中国網、北京週報などなど50以上のメディアから報道された。
写真2 高村正彦自由民主党副総裁からの祝辞
写真3 駐日中国大使館の郭燕公使からの祝辞
沖村さんは、受賞に際して次のように語っています。
「今回の受賞は、程中国大使にご推薦頂き、中国科学技術部、国務院、中国の国家指導者が判断して下さったおかげであります。更に、程大使には、2月18日、中国大使館におきまして、盛大な祝賀会を主催していただき、心より御礼申し上げます。私は、日本と中国の歴史的関係を考え、日本と中国の将来を考え、JST理事長時代から、15年にわたり日中科学技術交流を進めて参りました。
写真4 あいさつする沖村憲樹さん
JSTに、北京事務所と中国科学技術総合研究交流センター(CRCC)を創設することにより、中国との交流体制を整備し、日中大学間交流、調査研究の実施、シンポジウムの開催、データーベースの作成、中国語と日本語のウェブの運営等等、多くの事業を実施して参りました。
今回の受賞の大きな理由は、昨年度から始めましたアジア青少年交流事業「さくらサイエンスプラン」だと思っております。「さくらサイエンスプラン」は、当初の案は、中国だけが対象でありまして、有馬先生のお供をして、今日ご出席頂いております下村元文部科学大臣にお願いに上がりましたところ、アジア全般を対象にするように、とのご指導がありました。誠に適切なご指導で、このご指導で、さくらサイエンスプランは生まれたと思っておりまして、心から深く感謝申し上げます。
写真5 下村博文前文部科学大臣による乾杯
この事業を中国で実施するにあたり、日中関係が極めて厳しい時であり、色々なご意見が出て、程大使始め中国外交部、国務院にご尽力頂き、科学技術部が中心となって、スタートすることが出来ました。中国大使館、科学技術部のご協力に対し、心より御礼を申し上げる次第であります。
お陰様で、この事業は、中国を始めアジア諸国、日本国内の大学等から大きな反響があり、日本の高校、大学のグローバル化に大きな役割を果たしつつあります。
初年度は、3000人、本年度は4300人、そのうち、中国からは2700人の若者を招くことが出来ました。来年度は三十五カ国を対象に5000人を予定しておりますが、私の夢は、なるべく早く1万人、将来は3万人の青少年を、中国をはじめアジア各国からお招きし、日本の科学技術に触れてもらい、日本の青少年と仲良くなって貰うことであります。
今回の私の受賞は、習近平体制下で初めての日本人に対する授賞であり、この賞が創設されて以来初めての研究者以外への授賞であります。私個人に対する授賞ではなく、日中関係が極めて厳しい時も、一貫して、日中科学技術交流活動をすすめてきた、文部科学省、日本政府の活動に対する授賞だと思っております。
さらに私は、外国人受賞者7名中第2位にランクして頂きました。このことは、日本人を、習近平主席、李克強総理と共に、新聞やテレビで、広く中国全土に報道するということであります。私は、習近平主席を始め中国政府が、文部科学省、日本政府の努力をよく理解し、評価して、中国国民に広く知ってもらう措置をとって下さったと思っております。
さらに本日は、尾身先生、高村自民党副総裁、土屋文科事務次官はじめ政府の要人が発起人となって下り、島尻科学技術担当大臣、冨岡文部科学副大臣を初め日本政府のトップ、多くの国会議員がご参加くださり、安倍総理、谷垣自民党総裁、馳文部科学大臣が、お祝いのメッセージを下さいました。本日、多数ご参加頂いた中国の方々には、習近平主席を始め中国政府による授賞の内容を、日本政府がしっかりと受け止めて下さったことをわかって頂けたと思っております。本当に有り難く、長年活動を続けて良かったと心から感激を致しております。
写真6 島尻安伊子内閣府特命担当大臣
写真7 冨岡勉文部科学副大臣
写真8 土屋定之文部科学事務次官によるお祝いのスピーチ
最後になりますが、長年、活動を支えて下さった文部科学省関係者、JSTのスタッフ、特に、七人の中国人のスタッフに心から御礼申し上げます。」
写真9 祝賀会会場の様子
沖村さんは早くから中国の発展を予想し、これからの日本は、中国の科学技術研究と協調してアジアや世界の発展に貢献することが重要であるとことあるごとに主張してきた。科学技術は、イデオロギーを超えて人類の福祉に貢献できるものであるから、中国と共生できるというのが沖村さんの考えである。その考えを出席者に伝えようと配布されたのが、この日の「引き出物」の文書であり、折りたたんだ大きさは内ポケットに入るように工夫されていた。
この日の祝賀会で祝辞に立った有馬朗人・元文部大臣・東大総長は「このままでは日本は滅びる。いまこそ国家の未来を考えなければならない」と声を張り上げて自説を訴えた。
写真10 元東京大学総長の有馬朗人CRCCセンター長によるお祝いのスピーチ
写真11 濵口道成科学技術振興機構理事長
沖村さんは、中国の科学技術の実態を知ってもらうために客観的なデータを示して参加者に中国の重要性をアピールしたものである。同時に日本の中国に対する態度と方針を改める必要性を暗に示したものである。